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【パリクリエイターたちのインテリア】ワークスペースと寝室はマスキュリンな空間に
クリエイターたちにとって、住まいはいわば作品であり、想像力を培う場所でもある。パリ左岸に住むアイウエアデザイナー、アーレム・マナイ=プラットの家をたずねて、クリエイションとライフスタイルの本質を探った。寝室とワークスペースは、クリーンでマスキュリンな空間に仕上げている。
【パリクリエイターたちのインテリア】ナチュラルトーンのミニマルインテリア
素朴さとぬくもりを感じるモノトーンのミニマル・インテリア
壁のペンキのニュアンスから引き出しのノブの素材まで、細部にこだわるアーレムのアパルトマンは、オープンスペースと大きな窓、そしてナチュラルトーンが特徴だ。またおもしろい逸話をもつ写真やオブジェの数々は、クリーンなデザインにぬくもりを添える。

キッチンで花を生けるアーレム。キッチンの素材は大理石と木に絞り、生活感のある物をほとんど見せないつくり
癒しのカラー、灰緑色のソファがリビングルームの主役

グレートーンでまとめたリビングルーム。大型ソファは、ピエール=オーギュスタン・ローズ。“癒される色”を求め、グレーとグリーンの中間色を選んだ。暖炉の上の写真は日本の作家を多く扱うパリのギャラリー、カメラ・オプスキュアで見つけた山本昌男の作品
リノベーションで、キッチンからリビングまでを、広々としたオープンスペースに

完璧なアシンメトリーのダイニング・コーナー。暖炉の上右手に置いたのは、ティム・オールによる2つの体が抱き合う形の彫刻。結婚記念日に夫に贈ったもの。椅子はデンマークのヘイ、テーブルはスウェーデンのムードで

リビングでは、目線を極力下に保つようアレンジした。だから背が高いのは壁側に配した観葉植物とランプのみ。ソファから肘かけ椅子とスツール、コーヒーテーブル、天井と暖炉の上の照明器具やつぼ、そして観葉植物を収めた鉢まで、丸い形が至るところにリピートされて小気味よいリズム感を演出している

ダイニングテーブルでは、息子エリオと夫ボー用のゲームもディスプレイの役割を果たす。ウィーンで数代続くプロダクトデザイナー、カール・オーボックによるチェスは、レザーのボードにスチールの駒。バルコニーで摘んだフレッシュ・ハーブティーを添えて。

朝食や軽食は、このキッチンの一角が定位置。もっと小さかったのを改装で大きくした窓からはエッフェル塔が見えるので、カーテンはつけずに。

花は豪華でカラフルなものより、野花が好み。花瓶もスウェーデンで。アクネ ストゥディオズの仕事で頻繁にストックホルムに行っていたからか、北欧のミニマルなコンテンポラリー・デザインにも目がない。
ルールのひとつは、家具類を極力低い位置でまとめること
ゆったりとした空気が流れる、アーレム・マナイ=プラットのアパルトマン。7歳の息子がいるとは思えないほどミニマルで整然とした165㎡は、長いバルコニーつきだ。キッチンからダイニング、リビングまでがひと続きのオープンスペースは、大改装の賜物。
「まだロサンゼルスに住んでいた3年前、一家でパリに移ろうとなって。コロナ禍にハウスハンターを雇って見つかった物件は、構造と彩光が気に入って、実際には見ないで決めたのよ」。彼女は感慨深げにこう回想する。写真に見る“物件”のもとの姿はいくつかの部屋に古びた家具がひしめき、今のインテリアとは似ても似つかない。彼女自身は元マーチャンダイザー、アメリカ人の夫は広告フィルムの監督という職業柄か、彼らには完成図を予測しつつ、自身のこだわりでいろいろな要素をまとめていく才能があったのだ。
「テイストは、もって生まれるもの。私が4、5歳で母親にせがんだのは、カメラと腕時計、そしてメガネだった」。こんな逸話は、マスキュリンでクオリティ重視の彼女のセンスを象徴する。シンプルながらインパクトのあるフレームで、クラフツマンシップを大切にする「アーレム」アイウエアのデザインにも共通するものがあるだろう。一方、夫とシェアする好みのひとつは、視線の位置だ。
「重心重視、つまり目に入るものは低い位置にあったほうが落ち着く、という考え方。長い間私の概念をうまく表現できなかったけれど、最近やっとこの言葉に落ち着いたの」と、アーレム。

Ahlem Manai-Platt(アーレム・マナイ=プラット)

Ahlem(アーレム)
9, rue du Dragon 75006 Paris 11時〜19時
tel 01 58 90 11 12 M Saint Germain Des Prés
https://www.ahlemeyewear.com
アーレム・マナイ・プラットによるアイウエアのブランド「アーレム」は、バウハウスのデザインに言及されるピュアかつグラフィカルなフォルムが特徴。昨年夏に、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークに続く、ヨーロッパでははじめての旗艦店がパリにオープンした。北欧スタイルを好む彼女らしく、起用した内装チームはストックホルムのSpecific Generic。ガラス、コンクリート、くるみの木、プラスター、メタルから成る小さなブティックは、1927年のイサム・ノグチのデッサンParis Abstractionが着想源。
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