【今月のおすすめ本】定時制高校の青春を描いた『宙わたる教室』ほか

エクラ世代におすすめしたい書籍を厳選! 科学部に入部した定時制高校の生徒たちを描く青春サイエンス小説『宙(そら)わたる教室』や、超不器用ながらDIYに挑戦する試行錯誤の日々をつづったエッセー『自由の丘に、小屋をつくる』など4冊を紹介。

定時制高校の一室から火星と希望が生まれる

本1

『宙わたる教室』

伊予原 新
文藝春秋 ¥1,760
自分は不良品と思い込んでいる青年。フィリピン人の母をもち、子供のころ学校に通えなかった中年女性。中学を出て集団就職で上京してから懸命に働いてきた70代の男性。不登校の少女……複雑な事情を抱えた定時制高校の生徒たちが、風変わりな教師の誘いで科学部へ。火星の青い夕焼けやクレーターを教室で再現するうち、埋もれていた素質を掘り起こされ、衝突しながら絆を結び、希望を見出していく。大学院で地球惑星科学を学んだ作家ならではの青春サイエンス小説。

「やればなんでもできる精神」をDIYで磨く

本2

『自由の丘に、小屋をつくる』

川内有緒
新潮社 ¥2,420
40代で母になったのを機に、超不器用にもかかわらず小さな小屋を手づくりしようと決意。完成したとき、1歳だった娘は小学生に、著者は3つのノンフィクション賞に輝く作家となっていた。試行錯誤の日々を軽快につづったエッセーにワクワク。「生きる力」を養うヒントにも。

そばにいて介護する=親孝行ではない

本3

『遠距離介護の幸せなカタチ』

柴田理恵
祥伝社 ¥1,760
富山でひとり暮らしをしていた母が要介護に。東京暮らしの女優が選んだのは、親の願いをかなえ自分も犠牲にしない遠距離介護だった。6年間におよぶ体験記は、しんどくならない介護のコツが満載。3人の専門家に精神面から金銭面まで疑問をとことんぶつけた対談も参考になる。

想像の翼を広げ、闇と絶望を遠ざける男たち

本4

『イスタンブル、イスタンブル』

ブルハン・ソンメズ 最所篤子/訳
小学館 ¥2,750
’80年代にトルコからイギリスに亡命したクルド系作家が、自身の体験を踏まえて描く物語。暗い地下牢にとらわれた4人の政治犯が、繰り返される拷問に耐え、絶望を遠ざけるためにとった方法は……。極限状況にあってもいたわり合い、時に笑い合う姿に、深く激しく胸打たれる。

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