【今月のおすすめ本】芥川賞作家・中村文則による最新作『列』ほか

寒い冬に温かい部屋で読みたい書籍を厳選! 列をとおして人間の内面を深く掘り下げた作品『列』や、料理研究家・有元葉子の定番おせちを紹介する「我が家のおせち【決定版】」など3冊をピックアップ。

その列に、あなたは並ばずにいられるか

『 列 』

『 列 』
中村文則

講談社 ¥1,540

主人公をはじめ、大勢の人間が列に並んでいる。何の列か、見えない先頭や最後尾がどこにあるのか誰も知らないが、みんな自分より前の者をうらやみ、後の者を軽んじている。列から離れたが最後、すぐさま間隔を詰められ、もう二度と戻れない……。人間の内面を深く掘り下げた作品で海外でも評価の高い気鋭による怪作。人類史上、最も互いを比べ合っている時代のゆがみと生きづらさを、意味もわからずひたすら列に並ぶ人々の姿を通して浮き彫りに。その力業に圧倒される。

新年を寿(ことほ)ぐために、手作りしてみたくなる

『我が家のおせち【決定版】 』

『我が家のおせち【決定版】 』
有元葉子

東京書籍 ¥2,200

ズバぬけたセンスで定評のある料理研究家が、30年以上かけて極めた25品の定番おせちとは? タイムスケジュールに沿って、だしのとり方から盛りつけの極意まで、美しい写真をふんだんに交えて伝授。本書を参考に1、2品でも手作りすれば、2024年がいい年になりそう。

“哲学する”動物たちにクスッ、ズキッ、ホロリ

『 動物哲学物語 確かなリスの不確かさ 』

『 動物哲学物語 確かなリスの不確かさ 』
ドリアン助川

集英社インターナショナル ¥2,000

命の不確かさと確かさについて考えるリス。どちらの生活が過酷かを議論するウミイグアナとリクイグアナ。心の進化を問うアリクイ……。作家、詩人、歌手としてマルチに活躍する著者が、動物たちの生態に哲学のエッセンスをからめて描く21編は、ユーモラスでいて深遠だ。

集英社 2023年度 出版四賞決定!

主催/集英社 一ツ橋綜合財団

■第47回 すばる文学賞 『みどりいせき』大田ステファニー歓人(おおた・すてふぁにー・かんと)〈選考委員〉奥泉光/金原ひとみ/川上未映子/岸本佐知子/堀江敏幸 ※受賞作品と選評は「すばる」11月号に掲載

■第21回 開高健ノンフィクション賞 『MOCT(スト)「 ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』

青島顕(あおしま・けん)〈選考委員〉加藤陽子/姜尚中/藤沢周/堀川惠子/森達也 ※選評は集英社クオータリー「kotoba」秋号、「青春と読書」10月号に掲載

■第36回 柴田錬三郎賞 『ハヤブサ消防団』(集英社刊)池井戸潤(いけいど・じゅん)

〈選考委員〉伊集院静/逢坂剛/大沢在昌/桐野夏生/篠田節子/林真理子 ※選評は「小説すばる」12月号に掲載

■第36回 小説すばる新人賞 『正しき地図の裏側より』(「遡上の魚」改題)逢崎遊(あいざき・ゆう) 『我拶(がさつ)もん』神尾水無子(かみお・みなこ)
〈選考委員〉朝井リョウ/五木寛之/北方謙三/辻村深月/宮部みゆき/村山由佳

※受賞作品(抄録)と選評は「小説すばる」12月号に掲載

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