【春のピッツァ&フォカッチャまとめ】旬食材も豊富!一度食べたら忘れられない「有元葉子さんのレシピ」

「ピッツァもフォカッチャも、とても自由な食べ物です。好きな季節の野菜、フルーツ、ハーブをトッピングして焼けばよくて、あつあつをみんなでほおばりながら、赤ワインを飲むのは最高」。有元さんが日本の風土に合わせて作りやすく考えたレシピは、超シンプル。「ピッツァには具がたくさんのって、チーズがかかったイメージがあるかもしれませんが、あれはアメリカ的なピザ。イタリアのピッツァやフォカッチャはもっと素朴で、だからこそ小麦のおいしさ、野菜などのおいしさが引き立ちます」。この野菜にはこのハーブ、というおすすめの組み合わせをご紹介。一度食べたら忘れられない魅惑の味ばかりです。
教えてくれたのは
有元葉子

有元葉子

ありもと ようこ●料理研究家。50代でイタリア中部にも家(もとは修道院の一部だった14世紀の建物!)を構えて、憧れの“海外ひとり暮らし”を実践。『ひとりを愉しむ 食事』(文化出版局)などの著書で、さまざまなピッツァの楽しみ方を紹介している。

一種類の生地を作れば、バリエーションは無限大

イタリアでは、ピッツァとフォカッチャの区別が割とあいまいです。フォカッチャはパンのような生地で、ふっくらもちもちとしていますが、「どう見てもフォカッチャよね」というものを、南イタリアではピッツァと呼んでいたりもします。


小麦粉、イースト、少々の塩と砂糖、水。ピッツァの生地もフォカッチャの生地も、基本的に材料は同じ。フォカッチャはピッツァよりもほんの少し水分が少なめかな、という程度の差なので、私たちは一種類の生地で両方を楽しむことにしましょう。

イタリアで一般的にピッツァに使う小麦粉は一種類で、日本の強力粉とも少し違います。それで私は日本では強力粉に少し薄力粉を加えて、扱いやすくしています。強力粉1:薄力粉1(半々)が一番軟らかい生地です。強力粉4:薄力粉1ぐらいまでの間で、ご自分の扱いやすい配合を見つけてください。生地はフライパンやバットに合わせて使い、余ったものは冷蔵庫へ。2〜3日は保存できます。

基本の材料

基本の材料

生地(作りやすい分量)

強力粉+薄力粉…合わせて250g

塩…小さじ1ぐらい

砂糖…小さじ1ぐらい

ドライイースト…5g

水…1カップを目安に

強力粉…手粉、打ち粉としてたっぷり用意する

手でこねる場合

1.強力粉+薄力粉、塩、砂糖、ドライイーストを混ぜ合わせ、作業台に真ん中をくぼませたリング状に広げる。真ん中に水を少しずつ入れて、内側から粉類をくずして水を混ぜていく。水が足りなくなったら足して、全体がベトベトとした生地にまとまればよい。作業台がない場合は、大きなボウルなどで粉類と水を混ぜる。

2.よく混ざったら、軽くこねて、ひとまとめにし、手粉を使って生地のまわりをなめらかにまとめる。ベトベトとして、軟らかいお餅のような感触になるのがよい。

生地

生地

生地

生地

生地

フードプロセッサーを使う場合

1.フードプロセッサー(ドゥブレードの刃を使用)に強力粉+薄力粉、塩、砂糖、ドライイーストを入れて撹拌(かくはん)し、粉類を混ぜる。

2.1に少しずつ水を加えて撹拌する。ベトベトと軟らかい生地にまとまるまで、水を加減しながら加えて撹拌する。

3.2を取り出して、打ち粉をした台の上で軽くこねて、ベトベトとして、軟らかいお餅のような感触にする。丸くまとめる。

生地

生地

生地

共通

大きな密閉容器にオリーブオイル(材料外)を塗り、丸くまとめた生地を入れ、冷蔵庫でひと晩寝かす。冷蔵庫で2~3日保存が可能(下の写真は生地2個分)。

生地

生地

トマトとオレガノのフォカッチャ

もっちりとして甘酸っぱくてジューシー

ピッツァよりもふっくらとしたフォカッチャ。「うま味のあるトマトにはオレガノの香りがイタリアンの定番」。

トマトとオレガノのフォカッチャ

材料(直径約25cm 1枚分)

生地…全量

ミニトマト…20個

オレガノ(ドライ)…たっぷり

粗塩(フルール・ド・セル)…適量

オリーブオイル…適量

強力粉…手粉、打ち粉として用意する

作り方

1.冷蔵庫から生地を取り出して、フタをしたまましばらく室温におく。


2.ミニトマトはヘタをとり、横半分に切る。


3.天板を一番下に置き、オーブンを上火下火ともに最高温度に予熱する。


4.作業台に打ち粉をして生地をのせ、手粉を少なめにつけて生地を丸める。打ち粉をした麵棒で生地をトントントンと軽く押さえてのばし、麵棒や手で中心から外へ向かって丸く薄くのばす。オーブンに入れられる鉄のフライパンにオリーブオイルをひき、生地を麵棒に巻き付けて持ち上げ、フライパンに移して広げる。

5.生地を指で押してたくさんの凹へこみを作り、オリーブオイルをたっぷりかける。粗塩を全体にまぶし、トマトを散らして、オレガノを全体にたっぷりふりかける。

6.フライパンごとオーブンに入れて、下段で2~3分焼き、十分に膨らんだら、上段に移して上火で2~3分焼く。

トマトとオレガノのフォカッチャ

玉ねぎとローズマリーの薄ピッツァ

クリスピーな生地に甘い香りをのせて

「ワインに合う、大好きな組み合わせ」。三日月のような白い玉ねぎと緑のローズマリーの取り合わせもきれい。

玉ねぎとローズマリーの薄ピッツァ

材料(直径約18㎝ 1枚分)

生地…全量

玉ねぎ…2個

ローズマリー…2~3枝

粗塩(フルール・ド・セル)…適量

オリーブオイル…適量

強力粉…手粉、打ち粉として用意する

作り方

1.冷蔵庫から生地を取り出して、フタをしたまましばらく室温におく。

2.玉ねぎは縦半分に切り、繊維に沿って5mm幅に切る。

3.オーブンを上火下火ともに最高温度に予熱しておく。


4.作業台に打ち粉をして生地をのせ、手粉を少なめにつけて生地を丸める。打ち粉をした麵棒で生地をトントントンと軽く押さえてのばし、麵棒や手で中心から外へ向かって四角く薄くのばす。

5.天板にオーブンペーパーを敷いて、④の生地を麵棒に巻き付けて持ち上げ、ペーパーの上に移して広げる。指で押してたくさんの凹みを作り、オリーブオイルをたっぷりかける。玉ねぎを散らし、ローズマリーを枝からしごいて散らし、粗塩をふる。

6.天板を最初によく熱したオーブンの下段に入れ、3分ほど焼いてまわりが膨らみ下のほうに焼き色がついたら上段に移し、上面に焼き色をつける。

玉ねぎとローズマリーの薄ピッツァ

揚げピッツァのサンドイッチ

やみつきになる人続出のおいしさ!

「小さくまとめた生地を揚げるだけ。好きな具をはさんで無限に食べられそう。ジャムなどの甘い味もおいしいです」

揚げピッツァのサンドイッチ

材料(直径約7cm約7枚分)

生地…全量

揚げ油(オリーブオイル)…適量

オリーブオイル…適量

強力粉…手粉、打ち粉として用意する

〈具材〉好みのサラミ、アンチョビ、モッツァレラ、にんにくのみじん切り+オリーブオイル、ルッコラ、メープルシュガー、ジャム、粗塩(フルール・ド・セル)など…適量

作り方

1.冷蔵庫から生地を取り出して、フタをしたまましばらく室温におく。

2.作業台に打ち粉をして生地をのせ、手粉を少なめにつけて生地を丸め、7等分に分割する。オリーブオイルをつけた手で生地をそれぞれ丸くまとめ、麵棒で軽くのばし、中心から外へ向かって厚みのある円形にのばす。

3.すぐに食べられるように、具材を食卓に用意しておく。


4.揚げ油を中温に熱して、②の生地を揚げる。きつね色になって膨らんだら取り出し、油をきる。揚げピッツァに切り込みを入れて、好きな具をはさんだり、オイルやジャムをつけていただく。

揚げピッツァのサンドイッチ

菜の花としらすのピッツァ

旬の素材で春の優しさを味わう

「春のピッツァならこの組み合わせ」。菜の花のほのかな苦味としらす+チーズの塩分がたまらない!

菜の花としらすのピッツァ

材料(直径約22㎝ 1枚分)

生地…全量

釜揚げしらす…70g

菜の花…6本

パルミジャーノ…適量

粗塩(フルール・ド・セル)…適量

オリーブオイル…適量

強力粉…手粉、打ち粉として用意する

作り方

1.冷蔵庫から生地を取り出して、フタをしたまましばらく室温におく。

2.作業台に打ち粉をして生地をのせ、手粉を少なめにつけて生地を丸める。打ち粉をした麵棒で生地をトントントンと軽く押さえてのばし、麵棒や手で中心から外へ向かって丸く薄くのばす。


3.オーブンを上火下火ともに最高温度に予熱しておく。オーブンに入れられる鉄のフライパンをよく熱してオイルをひく。


4.2の生地を麵棒に巻き付けて持ち上げ、3のフライパンに移して広げる。指で押してたくさんの凹みを作り、オリーブオイルをたっぷりかける。しらすを散らし、菜の花を並べ、粗塩をふり、パルミジャーノをすりおろして全体にかける。


5.4のフライパンを最初によく熱したオーブンの下段に入れ、3分ほど焼いてまわりが膨らみ下に焼き色がついたら上段に移し、上面に焼き色をつける。

菜の花としらすのピッツァ

レモンと蜂蜜とタイムのピッツァ

春のイタリアの野の恵みを思わせる

蜂蜜レモンの甘酸っぱさ。そこへタイムの砂糖がけのエキゾチックな芳香をプラス

レモンと蜂蜜とタイムのピッツァ

材料(直径約18cm 2枚分)
生地…全量

ハチミツ…適量

レモン…1個

粗塩(フルール・ド・セル)…適量

オリーブオイル…適量

強力粉…手粉、打ち粉として用意する

〈タイムの砂糖がけ〉

タイム(フレッシュ)…好きなだけ

グラニュー糖…1カップ+適量

水…1カップ

作り方

1.タイムの砂糖がけを作る。小鍋にグラニュー糖1カップと水1カップを入れて火にかけ、とろんとしてくるまで煮て火からおろし、シロップを作る。

2.適量のグラニュー糖を平らな容器に広げておく。シロップの粗熱がとれたらタイムをひたし、すぐにグラニュー糖を全体にまぶしつけて、そのまま乾かす。

3.冷蔵庫から生地を取り出して、フタをしたまましばらく室温におく。


4.オーブンを上火下火ともに最高温度に予熱しておく。オーブンに入れられる直径18㎝の鉄のフライパンをよく熱してオイルをひく。

5.作業台に打ち粉をして生地をのせ、手粉を少なめにつけて生地を丸め、2分割する。打ち粉をした麵棒で生地をトントントンと軽く押さえてのばし、麵棒や手で中心から外へ向かって薄く丸くのばす。指先でたたいて、生地に凹みをつける。


6.4のフライパンに5の生地を移し、周囲の生地を少し立ち上げて、真ん中を薄くする。ハチミツをたっぷりかけて、上からレモンの皮をすりおろす。

7.6のフライパンを最初によく熱したオーブンの下段に入れ、3分ほど焼いてまわりが膨らみ下に焼き色がついたら上段に移し、上面に焼き色をつける。残りの1枚も同様に焼く。

8.器に盛り、タイムの砂糖がけをのせる。

ざまなピッツァの楽しみ方を紹介している。 レモンと蜂蜜とタイムのピッツァ

金柑と黒オリーブのフォカッチャ

色合いも味わいもおしゃれの極み!

「金柑の甘酸っぱいフレッシュな果汁と、黒オリーブのコクあるうま味。赤とうがらしは甘さの引き締め役です」

金柑と黒オリーブのフォカッチャ

材料(バット1台分)

生地…全量

金柑…10個

黒オリーブ(種あり)…20粒

赤とうがらし(種を除いてみじん切り)…1本

グラニュー糖…少々

粗塩(フルール・ド・セル)…適量

オリーブオイル…適量

強力粉…手粉、打ち粉として用意する

作り方

1.冷蔵庫から生地を取り出して、フタをしたまましばらく室温におく。

2.金柑はヘタをとり、横半分に切って種を取り除く。黒オリーブも種を取り除く。オーブンを220℃に予熱する。

3.作業台に打ち粉をして生地をのせ、手粉を少なめにつけて生地を軽くこね、まとめる。打ち粉をした麵棒で生地をのばしながら、厚みのある四角形にする。バットにオーブンペーパーを敷き、生地を移す。

4.3の生地を指で押して、凹みをたくさん作る。金柑、黒オリーブを散らし、オリーブオイルをたっぷりかけて、粗塩、赤とうがらしを散らす。金柑の上にグラニュー糖を少しずつふる。

5.オーブンを200℃に下げて4をバットごと入れ、30分ほど焼く。

金柑と黒オリーブのフォカッチャ

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