「劇団☆新感線以外ではなかなか経験できない演出でロマンがありますよね。そりゃあもう気持ちいいですよ(笑)」
劇団☆新感線の舞台には『偽義経冥界歌(にせよしつねめいかいにうたう)』など4作品に出演してきた生田斗真さん。
「古田新太さんを筆頭に劇団の皆さんがカブキ者ぞろいなのはもちろん、作品も“歌舞伎”なんです。登場人物たちの衣裳やキャラクター、フォーメーションの美しさ、間のよさ。そこから生まれる様式美をすごく追求している。役者の演技にしても、揺れ動いている内面を描くというよりは、気持ちが揺れ動いていることを伝えるにはどんな体の形がいいのか、どう動くかを重視する。見せ方だけでなくドラマそのものも、え、ここから出発したのにゴールはそこなんだ!というとんでもなさも(笑)」
生田さんは尾上松也さんが主宰する自主公演で、実際に新作歌舞伎に出演したことがある。
「自分の好きな表現の手法が歌舞伎にはすべてつまってるなあと、そのときわかったんです。お客さまにこう感じてもらうにはこの形が一番カッコいい。じゃあそこに感情を寄せていこう。逆に体がその形になると思いがけず気持ちもわくようになったりしましたね。400年の歴史をもつだけあってよくできているなと。新感線の芝居づくりにも、まさにそういうすごみがあると思っています」
4年ぶりに劇団☆新感線の舞台に出演する。いのうえ歌舞伎『バサラオ』で美しさを武器に天下取りをもくろむダークヒーロー、ヒュウガを演じる。
「僕は自分で顔(メイク)するのがヘタなんですよ。ファンデーションを塗るのはまだしも、むずかしいのは目ですね。ぼかしや縁取りなど、やっていくうちにエスカレートして、どこまでが目?ってわけがわからなくなる(笑)。まわりからも“斗真、何がしたいんや”とつっこまれがち。でも今回は美が武器ですからヘタとかいっていられない。改めてもう一度舞台メイクをしっかり学ばないと」と口もとを引き締める。
ヒュウガの美しさには女も男も幕府も帝も狂い乱れる。生田さん自身は最近は何に美しさを見出し、心を乱したのだろう。
「X JAPANのYOSHIKIさんと食事に行きまして。ラルク(L’Arc~en~Ciel)のhydeさんもいらしてて、なんでこの人たち、こんなにきれいなんだろうと思いましたね。オーラがすごくて見入っちゃいました。そしてとてもいい香りがしていました。美しさの秘密を盗みたかったんですけど……わけがわかりませんでしたね(笑)」