【夏の文芸エクラ大賞】大人も楽しめる!’23年の年間ベストセラー総合第1位となった“子供向け本”

この1年間の売れた本&話題の本をプレイバック。文芸評論家・斎藤美奈子さんと本の最前線から世の中を考える!今回は2023年の年間ベストセラーの児童書をご紹介。
斎藤美奈子

斎藤美奈子

さいとう みなこ●’56年生まれ。’94年『妊娠小説』でデビュー。’02年『文章読本さん江』で小林秀雄賞を受賞。ほかの著書に『挑発する少女小説』『出世と恋愛』など。最新刊は『あなたの代わりに読みました』(朝日新聞出版)。

なんと“子供向け本”が、’23年の年間ベストセラーに。

’23年の年間ベストセラー総合1位、2位が児童書。斎藤さんによると「理由ははっきりしませんが、それぞれの本に特徴がありました」とのこと。

「1位の『大ピンチずかん』は絵本。細かな“日常のピンチあるある”をちょっと笑わせながら教えていきます。大人はこういう本に“ピンチのあとの対処法”を期待しますが、ここではナシ。笑って終わりで、“ピンチになっても気にするな、笑い飛ばそう”という作者の主張を感じます。瞬間を切り取るという点では、インスタグラム感覚といえるかもしれませんね」

2位は『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』。

「これは“算数ドリル”。数字を記入しながら暗算法を覚えていく本です。大人が読むと“なるほど”と思い、自慢したくなる。子供だけでなくそういうシニア層にも受けたのかもしれません(笑)」

『大ピンチずかん 2』

『大ピンチずかん 2』

鈴木のりたけ

小学館 ¥1,650

『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』

『小学生がたった1日で 19×19までかんぺきに暗算できる本』

小杉拓也

ダイヤモンド社 ¥1,100

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