【有元葉子「夏の絶品レシピ」まとめ】作りおきや旬食材を上手に活用!夏の疲れた体を癒やしてくれるレシピ

素敵で豊かな暮らしを体現し、多くの女性の憧れである人気料理研究家・有元葉子さん。そんな有元さんの夏の過ごし方とおすすめのレシピについて聞いてみた。

体が欲しがるものを食べて、目が愉しむ景色を見る

ここ数年、日本の夏は大変な暑さです。日本だけじゃなくて、イタリアも灼熱だし、どこへ行っても暑さから逃れられない。

だから私の夏はいつもどおりです。東京の自宅やスタジオで、仕事をいくぶん控えめにさせていただいて、ゆったりと静かな日々を過ごす。2日、3日空いた日ができると、野尻湖の山の家へ出かけて湖畔で過ごす。

さいわい、夏バテは経験がないし、食欲が落ちることもありません。ただ、火を使う台所に立つ時間は、やっぱりできるだけ短いほうがいい。作りおきの食料や、自家製の冷凍品をうまく活用して、サッとおいしいもの(=好きなもの)を作って食べています。

有元葉子さん

そう、ちゃんと食べることは、夏を元気にのりきる基本です。ひとりの食事でも、うりの粕漬けを作って「この器が合うかしら」と骨董の染付の皿に盛りつけてみる。粕漬けやぬか漬けのような発酵食品や、お酢などの酸味は、暑い季節に体が自然と欲しがります。そうしたものを作って、目が愉しむように食卓を整え、おいしくいただく。これに勝る健康法はない気がします。

無理をせず楽に、でも美しく暮らすこと。食事も身のまわりもいいかげんにしていると、どんどんだらけてしまいます。心身がしゃんとしなくて、気持ちが悪いのです。夏こそ美しく。自分なりにきれいな暮らしを心がけると、暑さの中にも涼風が吹くような気持ちのよい日々を過ごせると思います。

夏はきゅうり三昧。好きな食べ方がたくさんあります

実は大のきゅうり好き。皮をむくと、皮のすぐ下が青っぽい色をしている旬のきゅうりは、香りがよく、最高においしいです。うまくできたもので、夏に出盛りのウリ科の野菜は体を冷やしてくれるそうです。

夏はきゅうり三昧。好きな食べ方がたくさんあります

きゅうりの中華風あえ物(写真右)

きゅうりは種を取り除くと、コリコリとした食感が増して、また違うおいしさに。中華風のあえ物は、「きゅうりで何かひと品」と思うと手が勝手に作っているほどのわが家の定番。酒の肴にもなります。

材料(作りやすい分量)

きゅうり…3~4本

塩…適量

A(ごま油…少々、赤とうがらし(種を抜いてちぎる)…1~2本、にんにく(たたく)…1かけ、しょうゆ…大さじ1、酢…大さじ1、実山椒(塩ゆでしたもの)…少々)

作り方

❶きゅうりは縦半分に切って、スプーンなどで種をとり、10㎝長さに切る。塩をふってしばらくおく。

❷ボウルにAを混ぜ合わせ、①のきゅうりを水気をきって加え、さっくりあえて器に盛る。

きゅうりとうりの粕漬け(写真左)

実家で夏のお集まりのときに、必ず登場したのが野菜の粕漬け。親類の造り酒屋から送られてくる、まだお酒がたっぷり絞れそうな軟らかい酒粕に、塩でもんだ野菜を漬けるだけの簡単なひと品ですが、みずみずしくて子供にもおいしかったのです。お試しあれ。

材料(作りやすい分量)

きゅうり…2~3本

うり…1~2本

塩…適量

酒粕(軟らかいもの)…適量

作り方

❶きゅうりは乱切りにする。うりは縦半分に切り種をとり、1㎝厚さに切る。

❷①をボウルに入れ、塩(野菜の重量の3~4%)をふって、重しとして皿2~3枚をのせて1時間からひと晩おく。

❸容器に酒粕をたっぷり入れ、②の野菜の水気を絞って漬け込む。漬けたてからすぐに食べられる。

きゅうりのお寿司

これも昔から作り続けている夏のお料理。薄切りにしたきゅうりに塩をふり、これ以上は水気が出ないというところまで、ぎゅっと絞るのがコツです。食べてみて、きゅうりの塩気が強いようなら、少し洗ってからさらしで水気を絞ってください。じゃこでもいいのですが、うなぎを入れるとごちそうに。

きゅうりのお寿司

材料(作りやすい分量)

きゅうり…5本

塩…きゅうりの重量の3%ぐらい

うなぎの蒲焼き(市販品)…1串

米…3合

〈すし酢〉

 米酢…75㎖

 塩…小さじ2/3

 メープルシロップ(ゴールデン)…大さじ2~3

実山椒(塩ゆでしたもの)…大さじ1

しょうがの甘酢漬け…適宜

作り方

❶きゅうりは薄切りにして塩をふり、重しをしてしばらくおく。塩が完全に溶けて、きゅうりがしんなりするまでおく。生の青い実山椒は4〜5回ゆでこぼして塩をまぶす。

❷米は研いで浸水させ、普通に炊く。


❸ボウルにすし酢の材料を合わせて、よく混ぜておく。

❹炊きたてのごはんを飯台か、大きめのボウルにあけて、③のすし酢を回しかける。しゃもじで切るように上下を返して混ぜ、うちわであおいで冷ます。

❺①のきゅうりを食べてみて、塩気が強いようなら軽く洗い、さらしで水気をギュッと絞る。

❻うなぎの蒲焼きはついているタレを少しかけて温め、1.5㎝幅に切る。

❼④の寿司めしに⑤のきゅうり、⑥のうなぎを半量ずつ散らし、しゃもじで上下を返すようにして、ごはんをこねないように混ぜる。きゅうり、うなぎの残りを散らし、実山椒を散らして、しゃもじで上下を返すようにして、ごはんをこねないように混ぜる。器に盛り、しょうがの甘酢漬けを添える。

夏の必需品。ようやく満足のいくめんつゆのレシピができました

素麵、冷たいうどんやそば、夏野菜の揚げ浸し……。めんつゆの作りおきがないと、夏は困ってしまいます。長年、かつお節と昆布と調味料でめんつゆを作っていましたが、いまひとつもの足りなさを感じて、数年前から煮干しと厚削りのレシピに変更。パンチがあって、これがとってもおいしい。ようやく満足のいく味わいになりました。

「夏野菜の揚げ浸し&めんつゆ」レシピ

めんつゆ

だしで割れば温かいかけつゆにもなるし、麵を食べるだけでなく、私はこのつゆで牛肉ときのこをサッと煮たりもします。作っておくと本当に重宝します。

材料(作りやすい分量)

だし昆布…7~8㎝

厚削り…50g

煮干し…50g

A(水…1ℓ、しょうゆ…250㎖、みりん…250㎖)

水…200~250㎖

作り方

❶煮干しは黒いはらわたを取り除く。

❷だし昆布、厚削り、煮干し、Aを鍋に入れる。竹串などを利用して、鍋底からの深さを測っておく。

❸②に水を200㎖以上加える。


❹弱めの中火にかける。煮立てないようにしながら、②で測った深さになるように煮詰める。風味が十分に出てきたら味をみて、塩味が足りなければしょうゆを加えてもよい。


❺だしを漉(こ)して、だしがらを取り除く。熱がとれたらステンレスのボウルに移し、ステンレスのふたをして冷蔵庫で冷やす。熱がとれた段階で空き瓶などに小分けにして冷凍してもよい。

夏野菜の揚げ浸し

子供たちが小さいころからずっと作っている、超をつけたいくらいの定番おかず。油を吸った夏野菜と、濃いめのめんつゆの相性のよさといったら!このおつゆで素麵を食べてもいいんですよ。

材料(4人分)

めんつゆ(作り方は上)…適量

なす…3本

新しょうが…4本

いんげん…1パック

みょうが…3個

揚げ油…適量

しそのせん切り…適量

作り方

❶めんつゆを大きなボウルに入れておく。

❷新しょうがは長めの乱切りにする。みょうがは縦半分に切る。いんげんはヘタをとり、長さを半分に切る。

❸揚げ油を高温に熱して、新しょうが、みょうがをそれぞれサッと揚げて、すぐに①のボウルに入れて、めんつゆにつける。いんげんは揚げ油に入れて、しなしなになれば火が通っている証拠。引き上げてめんつゆのボウルにつける。

❹なすは1本ずつ、切るそばから揚げる。揚げ油を高温にし、なすのヘタを落として乱切りにし、油に入れる。切り口が色づいたら引き上げて、①のめんつゆのボウルに入れる。

❺器に盛り、しそのせん切りを盛りつける。

庭の植物にも、人間にもたっぷりの水を

庭の植物にも、人間にもたっぷりの水を

夏はなにしろ水やりです。スタジオの前庭の木々も、自宅のベランダに育つハーブも、朝にたっぷりお水をあげないと、またたく間に元気がなくなってしまう。人間も植物と同じ。カラカラになった体には、まずはおいしいお水を。清らかな水がスーッとしみ込んでいくのを感じる瞬間が好きです。

庭の植物にも、人間にもたっぷりの水を

私は銅製のやかんやポットに水を入れ、冷蔵庫で冷やしておきます。超微量の銅が水に溶けて、水道水の塩素を分解してくれるそうですが……よくわかりません。でも銅のものに入れた水は本当においしいのです。暑い中いらっしゃるかたがたにも、まずは冷たいお水をおすすめします。お好きなグラスを選んでいただくと、移動したときも自分のグラスがどれだかわかって便利です

スタジオの前庭にはミモザ、ノブドウ、ベリー類や柑橘の木がわさわさと。その下にはいろいろなハーブが育っています。日が高くなる前に水をたっぷりやるのが夏の一番大事なお仕事。水を浴びた植物は、目にも涼しい緑になります

スタジオの前庭にはミモザ、ノブドウ、ベリー類や柑橘の木がわさわさと。その下にはいろいろなハーブが育っています。日が高くなる前に水をたっぷりやるのが夏の一番大事なお仕事。水を浴びた植物は、目にも涼しい緑になります

元気なときもそうでないときも、おいしく。夏の作りおきは有元流エレガントのもの

ちょっとした時間に、自分が食べたいものをまとめて作っておきます。こうした作りおきが冷蔵庫や冷凍庫にあると、例えば人がいらしたときにも気軽に「ごはん食べていかない?」っていえるでしょう?

冷茶いろいろ

すっきりとした水出しの冷茶が好きです。夏は毎晩、翌日の分を作って冷蔵庫に入れておきます。自分も飲みますし、お客さまにもお出しします。

冷茶いろいろ

茶葉の量は適当。緑茶はひとつかみ、ほうじ茶はけっこうガバッとつかんで容器に入れ、1回だけ上下を逆さまにし、冷蔵庫にひと晩入れる。

牛たたきのしょうゆ漬け

牛のたたきを作って、しょうゆに漬けておくだけ。こうしておけば、薄くスライスするだけで上等なひと品がサッとできる。晩酌の肴に最高です。

牛たたきのしょうゆ漬け

材料(作りやすい分量)

牛(赤身)かたまり肉…500gぐらい

太白ごま油…適量

しょうゆ…1/2カップ

作り方

❶牛肉は室温にもどす。

❷フライパンに油をひき、牛肉を入れて、全面に焼き色をつける。一面が色づいたら、トングで面を変えて焼き、火かげんを調節しながら、おいしそうな焼き色をつける。金串を肉に刺して引き抜き、下唇にあててみて、温かくなっていれば中までほどよいレア状態に火が通っている。温かくないときは、フライパンにふたをして、火を弱めて少し焼き、また金串を刺して様子を見る。

❸中まで温まったら火を止めて、フライパンにふたをしてしばらくおく。あるいはアルミ箔で肉をしっかり包み、常温におく。

❹密閉容器に牛肉を入れて、しょうゆをかける。

※冷蔵庫で2、3日以内。夏なのでなるべく早く食べきって。

ごまクッキー

自分の好きな味のクッキーを作っておきます。甘いものが欲しいとき、むしやしないにこれがあると安心。

ごまクッキー

材料(作りやすい分量)

薄力粉…200g

ベーキングパウダー…小さじ1/2

バター…100g

塩…ひとつまみ強

砂糖…80g

卵黄…2個

炒りごま(白、黒)…適量

作り方

❶薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるう。

❷ボウルにバター、塩、砂糖を入れて、ハンドミキサーや泡立て器でクリーム状になるまで混ぜる。

❸②に卵黄1個、①の粉類の1/3量を入れて、よく混ぜる。さらに卵黄1個、粉類の1/3量を加えて、ヘラなどでこねずにそっと折りたたむようにして、生地を合わせる。残りの粉類を加えて、折りたたむように合わせる。


❹粉気がなくなるまで生地を合わせたら、生地をラップで包み、冷蔵庫に30分以上入れて冷やす。

❺④を冷蔵庫から出し、1.5㎝ほどの厚さにのばして、型で抜く。上にごまをつける。

❻天板にオーブンシートを敷き、⑤をすき間を空けて並べる。175℃に予熱したオーブンに入れ、18分ほど焼く。

※生地は冷蔵庫にひと晩おいてもよく、また冷凍しておいてもよい。

玄米ごはん

季節を問わず、白米と同じ感覚で食べている玄米ごはん。1回分ずつに分けて冷凍しています。

玄米ごはん

作り方(2カップ分)

❶玄米2カップは洗って、水2カップとともにムカム鍋に入れる。カムカム鍋のふたをし、圧力鍋に入れて、カムカム鍋の高さの半分まで水を入れ、圧力鍋のふたをする。

※圧力鍋用陶器製内鍋。

❷強火にかける。圧力鍋からシューッと蒸気が出てから55分〜1時間弱火で炊く。時間がきたら圧力鍋の火を止め、ふたの上から水をかけて急速に冷ます(やけどに注意)。

❸ふたをとり、玄米ごはんをほぐして粗熱をとる。

❹玄米ごはんを1回分ずつに分け、ラップでふわっと包んで冷凍する。

肉みそ

玄米ごはんと食べるほか、冷奴(ひややっこ)にかけたり、きゅうりや白髪ねぎと一緒に中華麵にのせても。

肉みそ

材料(作りやすい分量)

豚ひき肉…300g

太白ごま油…適量

にんにくのみじん切り…大1かけ分

しょうがのみじん切り…大1かけ分

長ねぎのみじん切り…1/2本分

赤味噌、信州味噌…各大さじ2

メープルシロップ(ゴールデン。または良質なみりん)…大さじ1

※辛味が欲しければ豆板醤トウバンジャン)や甜麵醤(テンメンジャン)を加えても

作り方

❶鍋の底に流れるぐらいの太白ごま油をひき、にんにく、しょうが、長ねぎのみじん切りを炒める。

❷香味野菜の香りが立ったら、ひき肉を加え、ほぐしながらしっかり炒める。ひき肉から出る水分が透明になり、パチパチと音がしてくるまで十分に炒める。


❸赤味噌、信州味噌、メープルシロップを加え、木べらで混ぜながらひき肉に調味料をよくなじませる。

❹③に水をカップ1杯ほど加え、水分がなくなるまで混ぜながら弱火で少し煮込む。冷めたら保存容器に移して冷凍する。

ひき肉スパイス炒め

本格的なカレーを作るのは大変ですがこれなら手軽にカレーっぽい味が楽しめます。しょうゆをちょっと加えると、ごはんに合う味に。

ひき肉スパイス炒め

材料(作りやすい分量)

豚ひき肉…300g

オリーブオイル…適量

にんにくのみじん切り…大1かけ分

しょうがのみじん切り…大1かけ分

クミン(シード)、コリアンダー(シード)、クローブ(ホール)…各大さじ1弱

シナモンスティック…1本

とうがらし(小)…2~3本

カレー粉…大さじ2~3

クミン(パウダー)、コリアンダー(パウダー)、シナモン(パウダー)…各大さじ1弱

こしょう…少々

しょうゆ…大さじ1½~2

塩…少々

作り方

❶鍋の底に流れるぐらいのオリーブオイルをひき、クミン、コリアンダー、クローブの粒状のスパイス、シナモンスティック、とうがらしを入れて弱火で炒める。

❷①の香りが立ったら、にんにく、しょうがのみじん切りを加えて炒める。

❸ひき肉を加え、ほぐしながらしっかり炒める。ひき肉から出る水分が透明になり、パチパチと音がしてくるまで十分に炒める。

❹③にカレー粉と、クミン、コリアンダーのパウダー状のスパイスを加えて炒め、こしょうをふって炒め合わせる。

❺ひき肉を少しよけて鍋底を出し、ここへしょうゆをジュッとたらして香りを立てる。木べらで混ぜてしょうゆを全体にからめ、塩を加えて味をととのえる。

❻⑤に水をカップ1杯ほど加え、弱火で水分がなくなるまで混ぜながら煮込む。煮上がったら塩で味をととのえ、仕上げにクミンパウダー、コリアンダーパウダー、シナモンパウダーを好みの量加えて香りをたてる。冷めたら保存容器に移して冷凍する。

火を使わなくても大丈夫。夏の元気は、「玄米ごはん」と「ひき肉のおかず」で

香ばしさが好きで、日ごろから食べている玄米ごはん。わびたイメージがありますが、意外と、スパイスを効かせた味つけや、にんにくとしょうがのインパクトのある味と相性がいいのです。ひき肉みそのようなものをまとめて作って冷凍しておけば、たっぷりの野菜と一緒に玄米ごはんをおいしく食べられる。ヘルシーで元気の出る、まさに夏向きのごはんです。

玄米ごはん+ひき肉スパイス炒め

カレー風味のひき肉を、塩もみしたきゅうりとあえて、玄米ごはんにのせます。これもうちの夏の人気メニュー。

玄米ごはん+ひき肉スパイス炒め

きゅうりを7~8㎜幅の薄切りにし、塩少々をまぶしてしばらくおき、水気が出たらギュッと絞る。玄米ごはんにきゅうりを混ぜて器に盛り、ひき肉スパイス炒めを解凍してかける。ミント、半分に切ったミニトマトをあしらう

玄米ごはん+肉みそ

ぱつんと張りがあって、元気いっぱいの夏のピーマン。玄米と中華風の肉みそを入れてガブリ。いくらでも食べられてしまいます。

玄米ごはん+肉みそ

ピーマンを縦半分に切り、種とヘタを取り除く。サニーレタスやフリルレタスをたっぷり用意する。ピーマンの中に玄米ごはんを詰めて、肉みそを解凍してのせ、レタスで包んでがぶりとほおばる。

アジア旅の気分は、エスニックな2皿で

ベトナムに足繁く通っていたのは30年ほど前。まだ観光地化していないころで、屋台で食べるような料理がおいしくてハマりました。最近は足が遠のいているけれど、蒸し暑い季節にはやっぱり、スパイシーなアジアのごはんが恋しくなります。

ベトナム風焼き肉あえ麵

ベトナムでは、ハーブ類で下味をつけた肉を、路上に置いた七輪でじゅうじゅうと炭焼きにする光景をよく見ました。焼きたてあつあつの肉を麵にのせて、たっぷりの香菜と一緒にいただく。香ばしくて本当においしいんです。そんなイメージを再現。みんなで食べるお昼にもいいですよね。

ベトナム風焼き肉あえ麵

材料(4人分)

牛(赤身)かたまり肉…400gぐらい

A(にんにくのすりおろし…2かけ分、グラニュー糖…小さじ1ぐらい、こしょう…少々、レモングラス(白い部分)のみじん切り…3本分、バイマックルー(こぶみかんの葉)のみじん切り…4~5枚、香菜の根のみじん切り…2~3株分)

ヌクチャム…大さじ1ぐらい

えび麵(乾麵)…4玉

太白ごま油…適量

生赤とうがらし、青とうがらし…適量

香菜…適量
B(ヌクチャム…大さじ3、米酢…大さじ3、メープルシロップ…大さじ1½、水…大さじ3~4、生赤とうがらしのみじん切り…1本分、にんにくのみじん切り…2かけ分)

作り方

❶牛肉は3㎜ほどの厚さにスライスして、バットに並べる。片面に混ぜ合わせたAを均等にのせて、ヌクチャムをふりかけ、しばらくおいてマリネする(1時間以上)。

❷Bを混ぜ合わせてタレを作る。


❸生赤とうがらし、青とうがらしは斜めに薄切りにする。香菜は葉先を摘んでおく。

❹えび麵はゆでて水で洗い、水気をきって太白ごま油をかけておく。

❺①の牛肉をこんがりと網焼きする。


❻えび麵をキッチンバサミで食べやすく切って器に盛り、焼き肉、③を均等にのせる。Bのタレをかけていただく。

豆乳ゼリーとしょうがシロップ

エスニック料理のときによく作る、私のオリジナルのデザート。甘味をつけない豆乳のゼリーに、しょうがのシロップをかけるだけ。シンプルですが、食べるとやみつきになる人が多いんです。

豆乳ゼリーとしょうがシロップ

材料(1~2人分)

豆乳…100㎖

板ゼラチン…1.5gのもの1枚

〈しょうがシロップ〉

 しょうがのすりおろし…1かけ分

 メープルシロップ(ゴールデン)…大さじ3~4

 水…2カップ

作り方

❶板ゼラチンはたっぷりの水に10~15分浸してふやかしておく。

❷鍋に豆乳を入れ、沸騰しないように温める。①のゼラチンを水気をきって加え、混ぜながら完全に溶かす。

❸②を器に流し入れて冷まし、冷蔵庫に3~4時間入れて冷やし固める。


❹しょうがシロップを作る。小鍋に水とメープルシロップを入れて温め、火を止めて冷ます。完全に冷めたら、しょうがのすりおろしを加えて混ぜる。

❺③のゼリーにしょうがシロップをかける。

夏休みは山の家へ避暑に。何時間でも緑や空を見ています

日本の夏はゆったりと、動きすぎず。静かに、心穏やかに過ごしたい

有元葉子さん

野尻湖の山の家へは、東京から片道3時間半の距離。そこへ、2日の空きがあれば、車を飛ばして行くわけです。ずっと都会にいると、どうも窮屈になってしまって……。

山の家へ行って、何をするわけでもないのです。等高線に沿って山肌に立っている細長い平屋で、ダイニングキッチンと、ベッドをひとつ置いた寝室だけの家です。食べることと眠ること。必要最小限のことだけができるようになっている。

テレビも電話もない。そのかわり、壁一面が床から天井までのガラス張りで、目の前に圧倒されるような木々の緑が広がっています。椅子に腰かけて、何時間でも緑を見ています。私の憩いの時間です。

有元葉子さん

お昼を過ぎて、よっぽど暑くなってくると山の下まで下りて、湖畔にあるレストランのテラスで午後を過ごします。端っこのテラス席に座ると、湖面を吹いてくる風が気持ちよくて。自然の風が一番涼しいですね。

山の家にはピアノも置いています。ここなら誰にも気兼ねなく、朝でも夜中でも好きな時間に好きなだけ弾けるので。

山の景色は刻々と姿を変えていき、一日中飽きることがありません。日が沈んだ直後は、一瞬景色があせるけれど、しばらくするとバーッと、空がなんともいえず美しい色になるのです。そういうシーンを見ると、胸がすく思いです。夏の夜の空は、ことさら美しいのです。

有元葉子さん

幼いころに習っていたピアノは、ずっと私とともにある楽器。クラシックの中でも、ショパンの交響曲やアルビノーニのアダージョなど、古い時代の音楽に惹かれます。ピアノのほかにはチェロの音色も好き。アルビノーニのアダージョはチェロの演奏もよくて、山の家で大音量で聞くとすごく感動的です

有元葉子さん

道の駅で新鮮な野菜や花を買うのも、山の家へ行く楽しみのひとつ。元気いっぱいのハーブの苗は、東京に持ち帰ってベランダで育てます

有元葉子さん

山の家と東京では、不思議と映える器が違うのです。夏の食卓に登場するのは、オーストラリアで見つけたブルーのガラス皿、沖縄の大嶺清(おおみねじっせい)さんのターコイズの器。海を感じさせる色は、山の緑とも相性がいいみたい

有元葉子さん

山の家は本当に山の中にあって、まわりに緑しかないのです。窓から見えるのは緑と空と妙高山。聞こえるのは鳥の声、木から実が落ちる音、風にそよぐ木々の音。気がつくと2時間ぐらいぼうっと緑を見ていて、お茶にしようかな、と台所に立つ。そんな夏休みを過ごしています

発泡日本酒は盛夏のお楽しみ。作りおきの牛肉のたたきで一献

夏になると酒屋さんに注文するのが、“日本酒のシャンパーニュ”とも呼ばれている発泡日本酒。しゅわしゅわの強い泡立ちで、キレがよい辛口の私好みのものがあるのです。牛肉のたたきと好相性!

牛たたきのしょうゆ漬け+発泡日本酒

夏の夕方に遊びにいらしたかたと「ちょっと飲みましょうか」という話になって、2、3分でこんな肴が出てきたら……驚きますよね。実は冷蔵庫に作りおいた牛のたたきをスライスして、わさびのせん切りをのせただけ。わさびはこうして食べると、あまり辛くないのです。

牛たたきのしょうゆ漬け+発泡日本酒

材料(1人分)

牛たたきのしょうゆ漬け…作り方はこちら

生わさび…適量

作り方

❶作りおきした牛たたきのしょうゆ漬けを、薄切りと角切りにする。

❷生わさびは皮をむき、せん切りにし、①と一緒に器に盛る。

白ワインやシェリーに合わせるのは和のつまみのお気に入り

うちのぬか床には、1週間入れっぱなしという野菜も。古漬けには古漬けのおいしい食べ方があるからです。これもそのひとつ。少し上等な白ワインやシェリー酒に合います。

古漬けのサンドイッチ

発酵の進んだぬか漬けの酸味やうま味、チーズや生ハムのコクが相まって、お酒がすすむ大人のサンドイッチです。

古漬けのサンドイッチ

材料(4~6人分)

古漬け(きゅうり、なす、みょうがのぬか漬け)…各2本

生ハム…16枚ぐらい

好みのチーズ(ペコリーノチーズなどごく薄くスライスしたもの)…4枚ぐらい

サンドイッチブレッド(ライ麦入り)…8枚

作り方

❶古漬けはぬかを洗い落とし、手でぎゅっと水気を絞って、斜め薄切りにする。食べてみて、塩気が強いようなら水で洗い、軽く水気をふいて、ギュッと絞る。

❷チーズはごく薄くスライスする。


❸サンドイッチブレッド1枚の上に、チーズを全体にのせる。①の古漬けをもう一度水気を絞ってチーズの上に広げ、生ハムをパンの大きさに合わせて折りながら4枚ぐらいのせる。もう1枚のパンでサンドして、ラップでしっかり包む。同様のサンドイッチをあと3セット作る。あとでミミを落とすので、具材を端までのせなくてよい。

❹サンドイッチを重ね、上に何か重しをのせてしばらくおき、パンと具材をなじませる。

❺ラップをはずし、ミミを切り落として、ひと口大に切り分け、器に盛る。

真夏の夜の宴。ほっとできるポルトガルの料理とお酒で

みんなで集まる日も、夏はなるべく手をかけない、肩の力が抜けた気軽な料理がいい。魚介と野菜をおいしく食べられるポルトガル料理は、日本人の味覚に合うようで、いつも大好評です。

焼きパプリカの前菜

網焼きして皮をむいたパプリカは、とろんとたまらない舌ざわり。ヴィーニョヴェルデ(ポルトガルの白ワイン)がすすむすすむ。

焼きパプリカの前菜

材料(4人分)

パプリカ(赤)…2個

パプリカ(黄)…1個

ケイパー(塩漬け)…大さじ3

アンチョビ…4~5本

オリーブオイル…適量

バルサミコ酢…少々

粗塩…少々

作り方

❶パプリカは皮全体がこげるまで網焼きして、熱いうちに皮をむく。ヘタと種を取り除き、キッチンバサミで縦に食べやすく切る。出てくる汁気はとっておく。

❷ケイパーは水につけて塩抜きする。


❸①を器に並べ、パプリカの汁をかける。ケイパーを散らし、アンチョビを手で縦に割きながら散らす。オリーブオイルをたっぷり回しかけ、バルサミコ酢をほんの少しかけて、粗塩をほんの少しふる。

魚介のトマト煮込み

魚介を鍋にぽんぽん入れて煮るだけだから、とっても簡単。こういう料理なら、イカもアサリもエビも、冷凍しておいたものでもOKですよ。

魚介のトマト煮込み

材料(4〜6人分)

イカ(ヤリイカなど)…大3~4杯

アサリ(砂出ししたもの)…20個ぐらい

エビ(殻つき)…大4~6尾

タコの足…1本

オリーブオイル…適量

にんにく…2かけ

白ワイン…カップ1/2

パッサータ(完熟トマトを裏漉ししたもの)…500㎖

A(サフラン…小さじ1、カイエンヌペッパー…大さじ1、スモークパプリカ…大さじ1、パプリカパウダー…大さじ1強

グリーンオリーブ…8粒ぐらい)

塩…少々

トマト…2個

作り方

❶イカはわたと軟骨をとり、食べやすく切る。アサリは殻と殻をこするようにしてため水で洗う。エビは背わたをとる。タコはぶつ切りにする。

❷鍋底に流れるぐらいにオリーブオイルをひき、たたいたにんにくを入れて弱めの中火にかける。しばらく炒めて、にんにくから香りが立ってきたら、イカ、アサリ、エビ、タコを入れて軽く炒める。

❸白ワインを注ぎ、ざっと混ぜて、Aのスパイスを加える。スパイスが全体になじんだらパッサータを注ぐ。強火で煮て、煮立ってきたら火を弱め、ふたをして少し煮る。魚介に火が通ればOK。

❹味見をして、塩で味をととのえる。最後にザク切りにしたトマトとグリーンオリーブを加えて、サッと煮る。

※バゲット(材料外)をトーストし、オリーブオイルをたっぷりかけたものと一緒にいただく。

じゃがいもとケールのスープ(カルド・ヴェルデ)

ポルトガルで食べたスープは、じゃがいもがつぶされたなめらかなものでしたが、うちで作るなら、あえて粒々を残しても。ケールが味と見た目のアクセントです。

じゃがいもとケールのスープ(カルド・ヴェルデ)

材料(4人分)

じゃがいも…4個

にんにく…4かけ

ケール…2枚

オリーブオイル…適量

塩…適量

チョリソー…4切れ

作り方

❶じゃがいもは皮をむき、スライスして、塩水に5分ほどつける。

❷にんにくは芯芽を取り除き、薄切りにする。


❸鍋にたっぷりのオリーブオイルをひき、にんにくを炒める。焦がさないように火かげんしながら、香りがしっかり立つまで炒め、水気をきった①のじゃがいもを入れ、かぶるぐらいの水を注ぐ。沸騰したら、鍋中が静かに沸く程度の火かげんにして、じゃがいもが軟らかくなるまで煮る。

❹ケールはできるだけ細く切る。


❺③のじゃがいもを鍋の中でつぶし、スープの味見をして、塩を加減する。


❻スープを器に盛り、上にケールをのせて、チョリソーを浮かべる。

オリーブオイルで食べるそば

おそばにおいしいオリーブオイルをかけて、粗塩をぱらり。酒の肴や締めにおすすめの食べ方です。

オリーブオイルで食べるそば

材料(作りやすい分量)

そば(乾麵)…適量

オリーブオイル…適量

おろしわさび、粗塩…適量

作り方

❶そばはゆでて、冷水にとって締める。水気をきり、手で少量ずつとってペーパータオルの上にのせ、ペーパーで上から軽く押さえて水気をとる。

❷①を器に盛り、おろしわさびをのせる。オリーブオイルをたっぷりかけて、粗塩をふっていただく。

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