【京都に住む】Community Store TO SEEディレクター・前谷莉衣さん、結婚を機に夫が生まれ育った街へ

最近「京都に移住した・拠点をもった」というエクラ世代が増えているよう。何度訪れても発見があり、毎月のように通う人がいるのもうなずける、食も自然も文化も豊かな街。人生後半戦を少しペースダウンして暮らしたくなる街だ。実際に暮らしはじめたCommunity Store TO SEEディレクター・前谷莉衣さんにその魅力についてうかがった。
前谷莉衣さん

前谷莉衣さん

まえたに りえ●ファッション、カルチャー分野のエディターとして活躍。’16年京都に『Community Store TO SEE』をオープン。’18年に移住し、エディターの仕事も継続しつつ、ディレクション・キュレーションを手がける。

時間の流れが変わり、暮らしの楽しみを取り戻せました

「移住のきっかけは結婚です。それまでは京都で暮らすなど想像したこともなく、あくまで受動的な理由なのですが」と笑う前谷さん。’18年に東京から京都へ移住。その数年前から夫との交際を機に行き来をするようになった。現在は東京でも編集の仕事も続けつつ、生粋の京都人である夫とともにギャラリーを運営する。

「京都に住んで時間の流れが変わりました。東京にいたころは、朝起きるとすぐ仕事モードに。でも今は『今朝はお天気がいいから散歩でもしようか』と出かけることも。思いがけず暮らしの楽しみを取り戻したような、東京では考えもしなかった時間の過ごし方ができるようになりました。自宅の近所に京都御所や鴨川があり、散歩するだけでリフレッシュできます。朝から営業しているお店も多く、散歩帰りに友人のコーヒースタンドに寄ることも。非日常をすぐ近くで体験できるのも京都ならではですよね」

買い物は、お気に入りの個人商店に出向き、日々使う包丁は食道具専門店で研いでもらう。それを楽しめる時間と心の余裕ができてきたという。

「季節の移ろいにも敏感になりました。緑が多いので景色を愛(め)でるだけでも十分感じますが、お漬け物ひとつにも『あっ、季節が変わったな』と。食材や料理で季節を感じることが増えました。そもそも京都は食の、特に和食のクオリティが高いですよね。普通の居酒屋でもおいしい鱧料理や生寿司が出てくるのにも驚きます」


京都の風習については、義母にもらった本がとても参考になったそう。また、身近で所作や文化をもの柔らかに教えてくれる人たちと出会えた環境もよかった。

「本からも人からも、京都人の誇り、伝えたいものがあるのだと感じます。暮らしてみて、ますます京都の奥深さを実感する日々。きっと何年暮らしても、ずっと発見がつきない街なのだと思います」

東京にいたころはオフでも同じ業界の同年代の友人と過ごすことが多かったが、京都に来てから知り合った友人は年齢も職業もさまざま。垣根なく交流が広がるようになったのもうれしいできごとだ。

「知り合ったかたに誘われ、気軽に遊びにいくと、代々伝統工芸に携わる職人さんの工房なんてことも。東京にいたら知り合えないような他業種のかたから刺激をもらい、知識が広がるのも楽しいです。あと、わざわざ遠方から友人が遊びにきてくれるのも、京都だからだなと思います」

前谷莉衣さん

前谷さんと写真家である夫の中島光行さんが運営する『Community Store TO SEE』(https://t-o-s-e-e.jp)は、1階がショップ&カフェ、2階がギャラリースペース。絵画、陶芸、木工、ガラスなど扱うジャンルはさまざま。正統派よりどこかユニークな視点を感じる作品が並ぶ。

京都に住んで、やっぱりよかった

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写真/前谷さん提供

リフレッシュできる古知谷阿弥陀寺の参道

「夫がずっと撮り続けていて、私も好きになったお寺です。なかでもお寺に向かう参道は、本当に気持ちがよく、歩いているだけでスッと心が軽くなるよう。澄んだ空気感のある場所です」。

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写真/前谷さん提供

料理に欠かせない老舗の無添加おだし

「うね乃」のだしパックと、しろだしは欠かせない常備品。「料理のだしが関東とは全然違うので助かります。手軽できちんとおいしく、京都風をかなえてくれるので重宝しています」。

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写真/前谷さん提供

京都暮らしの教科書はお義母さんにいただいた本

いただいた言葉辞典と京料理の本。「特に『京ことば小辞典』は方言や京都を代表する食べ物、通りの名前やその覚え方の歌などまで掲載され、なるほどと思うことばかりです」。

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