【センスがいい人のセカンドハウスのインテリア】アートディレクター 藤村雅史さんが実現した森の中の「カフェ」

自然豊かな場所にセカンドハウスをもち、都会との2拠点暮らしに憧れるエクラ世代も多いのでは? 「カフェをやってみたかったんです」というアートディレクターの藤村雅史(ふじむらまさし)さん。セカンドハウスでのこだわりのある暮らしぶりを伺った。
藤村雅史さん

藤村雅史さん

アートディレクター。藤村雅史デザイン事務所代表。エクラをはじめ数々の雑誌、書籍などのアートディレクションを行う。長野県諏訪郡原村にカフェ『SUNNY COFFEE & ROASTERS』をオープン。営業日など詳細はインスタグラム@sunnycoffee_haramura

「カフェでコーヒーを」。描いていた夢を森の中のセカンドハウスで実現

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1階正面がテイクアウトもできるカフェ。外壁はカラマツ材の木目を残し、白く塗装。ひときわ目をひくのはファサードのデザイン。2階部分を支える構造上必要な柱をあえてポイントにし、まるで木立のよう。「もっとシンプルな案もあったのですが、このデザインが気に入って。完成してみたら、やっぱりよかったなと。外壁の色もかわいく、いい色に仕上がったと思います」

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カフェの店内は木、シルバー、黒で統一。棚には抽出する道具類が並ぶ。カウンターの天板は亜鉛メッキ。

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テーブルはNEW EDITION FURNITU REにオーダー。カップは余白のオリジナル。アルミ製のコースターは鎌田奈穂氏作

まだまだ自然が多く残る環境が気に入り、選んだ原村

「カフェをやってみたかったんです」と笑う藤村雅史さん。今春、八ヶ岳近くの長野県・原村(はらむら)にカフェを併設したセカンドハウスを完成させたばかりだ。

もともとは釣り好きで船を所有し、休みごとに海に通う海派。一方でコーヒーの奥深さにも魅了され、いつしか道具一式を持参し、出張していれるまでに。「藤村さんのいれるコーヒーはとびきりおいしい」と噂になり、「いつかカフェを」と自然と思うようになった。それも「東京ではなく緑あふれる場所で」だ。軽井沢、八ヶ岳あたりを探していたところ、たまたまこの土地と出会い、’23年9月に購入。

「ここは木々の葉が生い茂ってくると隣の家がまったく見えないくらい、すっかり緑に包まれる。そんな自然豊かなところが気に入りました。八ヶ岳近郊は娘が小さいころ、キャンプをするためによく訪れていたんです。土地探しで久しぶりに来てみたら、そのころとあまり環境が変わっていなかった。自然環境への意識が高い人が多く住んでいるんだなと思いました。大型犬を飼っていて、近くにドッグランのある公園があったのも決め手のひとつでした」

設計は東京の自宅もお願いしたアーキシップスタジオの飯田善彦氏に依頼。「この環境を生かし、なるべく木を切らないでほしいとお願いしました」

お互いの信頼関係ができていたため、2度目の家づくりはスムーズに進んだとか。こうして、セカンドハウスでカフェをという夢がスタートした。

「どこにいても視線が抜ける」室内にいながら建物と緑を感じられる家

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1階のダイニングキッチンの壁は白く塗装。壁の仕上げが違うと雰囲気がかなり変わる。1階で薪ストーブを焚くと家中が温まり、煙突からの輻射熱のおかげで、2階も夜まで暖かい

緑のシャワーと小鳥のさえずり。「朝起きたときの気持ちよさは格別」

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南側には夫婦の寝室が。広々としたウッドデッキの下はガレージになっている。降り注ぐ緑のシャワーの下で寝転んだり、星空を眺めたり。屋外で過ごせる季節に気持ちいいスペースだ

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スッキリとムダなく美しく整えられた2階にある洗面所・バスルーム。ハーフユニットバスの壁には檜材を張った。

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「収納場所が少ないので」と、衣類などの収納としてUSMハラーのキャビネットを活用。

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ベッドは「木のパレットみたいなデザインにしてほしい」とNEW EDITION FURNITUREにオーダー。インテリアにもぴったりとなじむ

お気に入りのチェアを置いた森を眺めて過ごす特等席

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2階の北側にはアームチェアを置き、リビングスペースに。新緑が芽吹くと窓からは緑しか見えず、森林浴をしながらくつろげる特別な場所。足ざわりのいいラグはカッシーナ・イクスシーで購入

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窓はキマドの室内側が木製、室外側がアルミの2重サッシ。「東京の自宅でも使用し、気に入っています」。

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リビング側の窓外は、ウッドデッキに段差をつけてベンチに。室内の椅子に座って眺めると景色しか見えない仕掛け

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カッシーナ・イクスシーで購入した、ピエール・ジャンヌレがデザインしたカンガルーラウンジチェアを置いて。テーブルがわりにバタフライスツールを

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ポータブルランプは、カナダの照明ブランド、トゥビセンのエクスプローラー。同じメーカーのキャンドルというランプを、ラグの四隅に置いた

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階段上にはトップライトが設けられ、1階のダイニングキッチンにも明るい光を落とす。これからの季節、晴れた日には降り注ぐ光が刻一刻とドラマティックに変わり、見上げれば空と緑しか見えない

厳選された家具や小物で彩るミニマルな空間での心豊かな暮らし

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キッチンは、ステンレスキッチンNEWのオリジナル。ダイニングチェアは、カール・ハンセン&サンで購入したハンス・J・ウェグナーによるCH23。テーブルはNEW EDITION FURNITUREにチェアに合わせてデザインしてもらった。薪ストーブは燃焼効率のいいドイツ製のアイアンドッグ。薪入れやツール類はエープラスで

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カラマツ林をまるで絵画のように切り取るダイニングの窓。四季折々表情を変え、飽きることがない。窓には蛇腹式の網戸をつけた

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キッチンの足元には、トライバル柄のラグを敷いた。無機質なモルタルの床のポイントにもなっている。

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キッチンの壁にはオープン棚を作った。食器や鍋もまずは必要最低限で。カフェでも使用する余白で購入した器などが並ぶ

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玄関を入ってすぐのスペースにはフリッツ・ハンセンのカッターベンチとワードローブを置いた。イサム・ノグチのランプと、名作椅子スーパーレジェーラは東京の家から持ってきた。

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愛犬のために階段はゆるやかに設計。人が集まったときはソファのかわりにベンチとしても活用

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