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モネが愛した庭と家を訪ねて、ジヴェルニーへ【この秋モネにひたる】
現在、国立西洋美術館にて開催中のクロード・モネの大回顧展『モネ 睡蓮のとき』。今回はモネが晩年を過ごしたジヴェルニーの家と庭にフォーカス。解説は担当学芸員の国立西洋美術館 研究員・山枡あおい氏。
モネはなぜ睡蓮を描くようになったのか?水と睡蓮に捧げられた晩年【この秋モネにひたる】
展覧会のメインビジュアルとなる作品。新種の睡蓮を開発したのは、ボルドー近郊で園芸店を営んでいたジョゼフ・ポーリー・ラトゥール=マーリアック。モネは早速、ピンクとイエローを注文したという。この園芸店は現在も運営されており、ウェブサイト(https://www.latour-marliac.com/)ではモネの注文書を見ることができる
水と睡蓮に捧げられた晩年
モネが初めてジヴェルニーの「水の庭」を描いたのは、55歳のとき。以来、86歳でこの世を去るまでに300を超える作品を生み出した。睡蓮を描くことは、水面に映る空や反射する光、水中の様子をも描くこと。刻々と変わるその効果を追いかけることに、人生の後半を捧げた。
水平線さえなく、水面のみに集中するまなざし
2番目の妻アリスに「すべては変化する。石でさえも」と書き送ったほどの目をもっていたモネ。「水の庭」に立てたイーゼルに、光の変化によって12枚のカンヴァスをかけ替えながら描いたこともあったという。一時は描き終えた作品をナイフで切り裂くことも。それほどまでに「これらの水と反映の風景にとりつかれてしまった」(美術評論家 ギュスターヴ・ジェフロワへの手紙)のだろう。
1889年、パリ万博で新種の睡蓮に出会う
パリのマルモッタン・モネ美術館から約50点が来日し、国内所蔵作品も加えて充実した作品数がそろう本展。「睡蓮」を描いた作品は、日本における過去最大規模の20点以上が展示されている。
モネはなぜ、画業の後半を睡蓮に捧げたのだろうか。よく知られているとおり、モネは日本文化に強い憧れと興味をもっていた。加えて、時代性も影響しているのではないか、と山枡あおいさん。
「当時のフランスにおいて、睡蓮は東洋的、神秘的なイメージの花として受け止められました。また、1889年のパリ万博では、フランス原産の白い睡蓮と、南国の色鮮やかな睡蓮をかけ合わせた新たな栽培品種が展示されて話題になり、モネもそれを見て、大いに刺激を受けました」
モネは、絵画における新しい手法に挑んだ画家でもある。
「同じモチーフを異なる時間帯や天候、季節のもとで繰り返し描く“連作”に取り組みました。また、室内の壁面を飾るための“装飾画”というコンセプトを早くからもっていました」
その集大成が、睡蓮を描いた大型作品。
「本展では、モネが追求した楕円形の展示室を実現し、睡蓮の池に包まれるかのような体験を楽しんでいただけます」
●山枡あおいさん
国立西洋美術館 研究員
’94年生まれ。国立西洋美術館 研究員。専門はフランス近代美術史。慶應義塾大学大学院前期博士課程修了後、’21年より現職。
クロード・モネ《Claude Monet》
Ⓒ musée Marmottan Monet
【information】
『モネ 睡蓮のとき』 国立西洋美術館【東京・上野公園】~’25年2月11日
〜’25年2月11日(火曜・祝日) 9:30〜17:30
(金・土曜は21:00まで。入館は閉館の30分前まで)
㊡月曜(11/4、’25年1/13、2/10〜11は開館。11/5、12/28〜1/1、14は閉館)
観覧料/当日一般¥2,300ほか
東京都台東区上野公園7の7 ☎050・5541・8600(ハローダイヤル)
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