「50代こそ、習い事適齢期!」エッセイスト・酒井順子さんが教える、習い事を楽しむ秘訣

やっと自分の時間ができた、自由を満喫したい……そんなアラフィーたちがこぞってハマっている習い事。自身も習い事ライフを謳歌する酒井順子さんに、習い事の効能やエクラ世代が楽しむ秘訣を聞いた。

習い直し、仲間づくり……。大人が楽しむポイントは?

50代こそ、習い事適齢期

卓球、中国料理、ヒップホップダンス。3つの習い事に通い、「楽しすぎて仕事がおろそかになりつつある」と話す酒井順子さん。中学の部活で経験した卓球は、週1回コーチと1対1で練習している。

「近ごろよく聞く『チキータ』をはじめ、打ち方や技術は私の中学時代とは別もの。進化した最新の卓球を味わえるのは、昔を知っているからこそ、とてもおもしろいです。たまに試合にも出ていますが、世間には卓球のうまいおばさまがごまんといることにも驚かされます(笑)。おそらく、そのかたがたも経験者なのでしょう。かつて打ち込んだ部活や習い事を復活するのは、アドバンテージもあって入りやすいはずです」

中国料理

「中華好き」が高じて、30代で始めたのが中国料理。

「もちろん学びも多いですが、教室でできた友人と長く親しくしていることが財産です。習い事で出会う人は趣味が同じだから、仲が深まりやすい。大人になると気の置けない友ができる機会はめったにないのでありがたいですよ」

そして、ヒップホップダンスは「ディスコ世代&根っからの運動好き」な酒井さんにとって、最もアツい習い事。

「踊りは、大人の習い事の定番。最近は中高年のニーズをくんで、グループレッスンをしてくれる教室が増え、私も利用しています。まわりに気兼ねせず、若者に迷惑をかけることなく、友人と3人で先生に習えるのがとてもいい。BTSDynamite』のサビ部分を踊れるようになるまで3カ月かかりましたが(笑)、そのぶん、喜びは大きいです」

ヒップホップダンス

忘我の時間と成長実感を味わえるのが、醍醐味

習い事に夢中になる大人が多い理由について、酒井さんはこう分析する。

「卓球のボールをひたすら打ったり、ダンスを必死に踊っているときの自分がまさにそうですが、締め切りや家事など、日常のさまざまなものを忘却することができるひと時なのだと思います。そして、年をとって退化していくばかりの自分の中に、わずかでも成長の余地があると実感できる喜びこそ、大人の習い事の醍醐味ではないかと」

さらに忘れてならないのが、“先生”の存在。年を重ねていくと実生活では注意や助言をされる機会が減るが、習い事で生徒になって教えを乞うこと自体が、新鮮で楽しいと酒井さんはいう。「以前、友人と旅行したタイで、ムエタイの1日教室に参加したのですが、現役選手のハードな指導を受けるという貴重な体験をして、いい思い出に(笑)。これも習い事のおもしろさです。自分に合う、合わないは、やってみないとわかりません。気軽な気持ちで体験レッスンや旅習いから、あれこれ手を出してみては」

エッセイスト・酒井順子さん

「人はいくつになっても“先生”を求めています」

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『消費される階級』

50代の「好く力」考や「生き方」指南も

『消費される階級』
酒井順子 集英社 ¥1,870
平等や多様性の時代においても、「上下差をつけたがる」日本人の階級意識を考察するエッセー。50代が直面するエイジズム、超高齢化時代ゆえの格差、学歴信仰、「好く力」格差など、思わず膝を打つ鋭い指摘が満載。共感しながら生きるヒントを得られるはず。

エッセイスト 酒井順子さん

エッセイスト 酒井順子さん

さかい じゅんこ●’66年、東京都生まれ。『負け犬の遠吠え』『ガラスの50代』(ともに講談社)、『家族終了』(集英社)など、社会を掘り下げ、女性の心を代弁する著書多数。文芸誌『群像』で「習い事だけしていたい」を連載中。
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