【今月のおすすめ本】文化の違いに新たな発見と気づき。『ヘルシンキ 生活の練習はつづく』ほか4冊

エクラ世代におすすめしたい書籍を厳選! 日本の文化をヘルシンキ大学で教えるためにフィンランドへ渡った社会学者のレポート『ヘルシンキ 生活の練習はつづく』ほか、音楽に恋愛、本づくりの裏側に迫った多種多様な計4冊を紹介。

『ヘルシンキ 生活の練習はつづく』

『 ヘルシンキ 生活の練習はつづく 』

驚きと気づきの連続。考えるのが楽しくなる北欧レポート

朴 沙羅
筑摩書房 ¥1,980

ヘルシンキ大学で日本文化や社会について教えるため、夫を日本に残し、’20年に母子3人でフィンランドへ。同僚や学生、ご近所さんとの付き合い、子供たちが通う学校や保育園の様子などが、京都弁を交え軽やかにつづられていく。京都で生まれ育った日韓ミックスの社会学者によるレポートは、日本とフィンランドの違いをよしあしで断ずるのではなく、おもしろがる。自分の中にしみついた“あたりまえ”にメスを入れ、多様性を認めて楽しむハート育てのヒントが満載だ。

『ピアノを尋ねて』

『 ピアノを尋ねて 』

かなわなかった夢が悲しみを奏でる台湾発の音楽小説

クオ・チャンシェン 倉本知明/訳
新潮社 ¥2,145

天賦の才に恵まれながらピアニストへの夢破れ、調律師となった中年男。孤独を友として生きてきた彼の現在と過去、あきらめても尽きぬ音楽への憧憬が、シューベルトらクラシックの巨匠たちの苦悩も織り交ぜ語られていく。物語から、悲しく美しい旋律が聞こえてくるよう。

『新しい恋愛』

『 新しい恋愛 』

『新しい恋愛』

高瀬隼子
講談社 ¥1,760

5編とも恋愛をめぐる話なのに、トキメキは皆無。好きな人への思いが他人の評価で少しずつ削られてしまったり、26歳年下の女性と結婚した上司の好感度が激落ちしたり……。自分でも認めたくないいびつな感情や、漠然と感じていた違和感を、芥川賞作家が見事にすくいとる。

『ことばの番人』

『 ことばの番人 』

校正者たちの精緻な仕事ぶりに感動&感謝

髙橋秀実
集英社インターナショナル ¥1,980

本づくりの“裏方”たちに取材したノンフィクションが、こんなにおもしろいなんて! 時代による言葉の変化や著者の個性に配慮しつつ、より正確でわかりやすい文章を目ざす奮闘に頭が下がる。『古事記』から始まる校正の歴史、憲法にもある誤植など、ウンチクの数々も楽しい。

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