“幸福学”研究の第一人者・前野隆司さんが指南!習い事が大人を幸せにする理由とは?

ストレスを抱えがちなエクラ世代の救世主となるのが、習い事……!? その根拠とは。“幸福学”研究の第一人者・前野隆司さんに、習い事が大人を幸せにする理由を聞いた。
習い事が大人を幸せにする理由

習い事で得るワクワクや人とのつながりで幸せに
人の幸福度は年齢とともに変化し、仕事や家庭でストレスを抱えやすい40~50代の中年期を「底」にして、U字カーブを描くという。沈みがちなアラフィーを幸せに導くカギが、習い事にあると語るのは、幸福学を研究する前野隆司先生。

「幸せをもたらす要因は主に4つに分けられます。まず、人はワクワクしたり自分の成長を感じることで幸福感を得るとわかっています。習い事や新しい趣味を始め、少しずつ上達していく過程は、幸せの観点からも非常に有意義です。私も58歳から書道を始め、その効果は身をもって実感しています」

習い事を通して誰かとつながり、豊かな人間関係を築くことも幸せを感じる要因になる。一方、自分に厳しすぎると、逆効果になる可能性も。

「目標をもつのはいいことですが、『最低でもこのレベルに達しないと一人前じゃない』などと、ストイックになっては幸せから遠ざかります。ただでさえ50代は、上達のスピードがゆっくりです。小さな成長をひとつずつ喜ぶ前向きさや多少の失敗は気にしない楽観性が、幸福感を得るためには重要です。小さくても成功体験を重ねていくことで自己肯定感が高まり、好循環が生まれるでしょう」

自分だけの個性を発揮できている状態も幸せにつながりやすい。その点で「勝敗のつかない」種類の習い事はおすすめという。

「例えば、書道や生け花、絵画や俳句などは、うまいへたより、その人らしい表現に価値が置かれ、自信ややりがいにつながりやすいといえます。人生経験を重ねた大人だからこそ出せる味わいや深み、気づきがあり、子供のころの習い事とはまた違うおもしろさがあると、私自身も感じています」

幸せの4つの因子

「やってみよう!」因子
自己実現と成長の因子。夢や目標をもち、実現しようと成長していくことが幸福感をもたらす。たとえ達成できなくても、目ざして行動するだけで、人は幸せになれるという研究結果も。

「ありがとう!」因子
つながりと感謝の因子。人を喜ばせること、愛情や安定を感じさせる関係が幸せに寄与。利他性も影響し、素直に感謝できる、困っている人に手をさしのべられるなどの行動も目安になる。

「なんとかなる!」因子
前向きと楽観の因子。自分を卑下する、悲観的、神経質などの性質は幸せを感じにくいが、楽観的なら、成長やつながりが多少不足していても幸福感を得やすい。幸せに欠かせない要素。

「ありのままに!」因子
独立と自分らしさの因子。他人と比較しない人、個性を発揮できている人は幸せを感じやすい。人目や評価を気にしてしまう人は、マイペースに振る舞うように心がけて自己変容を。

「意識して行動すれば、誰でも必ず幸せになれます」

人と比べない、落ち込まない。自分らしく楽しめばOK
勝つことで達成感を得て、負ければ悔しくてやる気が出るタイプの人は、競技性の習い事も向いているそう。

「ただ、段位をとることや順位を上げることにはあまりこだわらないほうがいいですね。そうした地位財で得られる幸せは長続きしにくいのです。また、どんな習い事でも、まわりの人と比べたり、うまくいかないからと落ち込まないようにしてください。『自分らしく楽しむ』マインドが大切です」

60代以降、先述の幸福度は右肩上がりに。一般的に、年を経るごとに人柄が丸くなること、加齢による記憶力の低下も相まって楽観性が増すことなどから、人は老年期に幸せを感じるようにできているという。

「50代で習い事を始めるのは、その後の人生をより輝いて生きるための準備にもなるでしょう。幸福感をもたらす要因を満たせば、誰でも幸せになれます。おもしろがって挑戦してみてください」

“幸福学”研究の第一人者 前野隆司さん

“幸福学”研究の第一人者 前野隆司さん

まえの たかし●’62年、山口県生まれ。学者。ロボット開発や脳科学の研究を経て現職に。幸福の条件を多角的に研究する。『幸せのメカニズム』(講談社現代新書)など著書多数。
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