被害の大きかった地域にフォーカスし復旧の道半ばという報道ばかりで、それでは未来への希望が伝わらない。
実際訪れた地域では、心痛む爪あとを目にすることはほとんどなかった。
能登は日本海に面した小さな半島だが縦に長く、最北端の珠洲まで金沢から車で2時間30分を要する。
町は点在しており、現状もそれぞれ。もちろん、いまだ苦労されるかたがたがいることは事実だが、比較的被害が抑えられた金沢寄りの「口能登」、中央部の「中能登」地域には、この地で生きる覚悟を決め、日常を取り戻している人も多い。
しかし能登=被災地のイメージで「もう旅先の候補にないのかも」という不安の声も聞こえてくる。
迷いとともに始まった取材だったが足を運んで初めて得ることがある。
優しさと憐れみは紙一重だ。豊かな自然、たくましい人々……
もう一度、楽しむために能登へ。授かる力に驚くことになる。