【行正り香さんの50代からの「リノベ考」】理想に向けての住まいづくりをかなえるためのアドバイス!

50代で住まいを見直す場合、とかく「老後を見据えて手すりをつけなきゃ」とか「バリアフリーに」などと考えがち。でも人生100年時代といわれるようになり、私たちが現時点で思う以上に、残りの人生は長くなりそう。もっとポジティブに「これからどう生きたいか?」を考え、理想に向けての住まいづくりをしてみては?

これからどう生きたいか?をまずは明確にする

50代で住まいを見直す、リノベーションをする場合、終(つい)のすみかとなるケースも多いと思います。「これからの残りの人生をどう生き、暮らしていきたいか?」まずは自分に問いかけてみることが大切です。食べることが好きで料理を存分に楽しみたい、家で映画をたくさん見たい……など。趣味や理想のライフスタイルが長く楽しめる空間づくりを目ざすのがおすすめ。そのためにどんなプランにすれば? さらにインテリアは?と考えます。今や雑誌やSNSで世界中のインテリアの写真を気軽に見ることができます。イメージをたくさんインプットしたら、その中から「これ!」と思う理想の一枚を見つけてみてください。そしてその写真をよく眺め、好きな理由を分解していきます。スタイルは? 配色は? 家具は?など。そうするとおのずと自分の理想のインテリアが見えてきます。リノベーションをしたいなら、本やネットで勉強し、ある程度知識を身につけておくことも必要。理想の暮らし方や好きなインテリアスタイルがはっきりしないまま業者に依頼してしまうのは、一番不幸な結果を招いてしまうことに。こうしたい!がなかなか明確にならないかたは、ハウスメーカーなどのパターンオーダーのリノベーションを選ぶことをおすすめします。ゼロから選び、決定していく作業は楽しい半面、ストレスも多く大変な作業でもありますから。

リノベーションしなくても理想が手に入るケースも

住まいを見直すとき、なにもリノベーションだけが解決策ではありません。何が不満で何を改善したいかを明確にしていくと、家具の配置を替えるだけで解決するなんてことも。後出の大村さんのように、見晴らしのいい場所で暮らしたい、アイランド型のオープンキッチンで家族で料理をしたいという希望に対しては、まずは住み替え、さらに間取りの変更を伴うリノベーションが必要でした。でもそこまでしなくても、理想が実現するケースも多々。私がおすすめするのは、①照明を替える、②家具を替える、③リノベーションをする、という順番です。照明を替えるだけでも空間は見違えます。照明で上質な、心安らぐ空間を得られることも。さらに家具を替えれば印象もガラリと変わります。エクラ世代は結婚したときに購入した家具を長く使っているケースも多いのでは? 思いきって家具やラグを替えてみると、インテリアが大きく変わり、気分転換になります。さらなるうえで、子供が巣立ったので個室が必要なくなった、オープンキッチンにしたいなど、間取りの変更や設備機器の刷新を伴うリノベーションをするという選択肢があるということを頭に入れておいてください。リノベーションにかかる費用も物価の上昇とともに上昇してきています。理想の暮らしを実現するために、解決策はいろいろあるということをお忘れなく。大切なのは、老後に向けて……と守りに入らず、どう暮らしていきたいか?と前向きに自分と向き合ってみること。残りの人生を1秒でも長く、好きなものに囲まれ、好きなことを楽しむために、住まいを見直してみてはいかがでしょう。

料理家・インテリアデザイナー 行正り香さん

料理家・インテリアデザイナー 行正り香さん

40冊を超える料理レシピ本のほか、著書『行正り香のインテリア』『行正り香の家作り』がロングセラーに。北欧インテリアに造詣が深く、インテリアのコーディネートやリフォームプランナーとして多数の家づくりに携わる。近著に『人生を変えるリノベーション』(講談社)が。
『人生を変えるリノベーション』(講談社)
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