【いつだって、心に「谷川俊太郎」】エクラ世代の人生に寄り添った谷川俊太郎作品

昨年11月に92歳でこの世を去った詩人の谷川俊太郎さん。約70年間、詩集や絵本、翻訳、作詞など幅広いジャンルで創作を続け、紡いだ言葉はたくさんの人に愛された。読者アンケートより寄せられた、おすすめの本をピックアップ!

時を超えて、世代を超えて響く、深く温かい言葉の数々

日本語が母国語であることを誇りに思えた。(53歳・会社員)

その言葉は優しく、時に厳しい。しかしながら、誰にでもわかる言葉で包み込んでくれる。(54歳・事務)

田舎の小さな町に暮らす私も詩の中の風景の一部だと思えたとき、少し勇気がわいたのを覚えています。(51歳・会社員)

中学生のときの国語の教科書に掲載されていた「朝のリレー」を真っ先に思い浮かべます。ファンタジー全開の日本語を、クラス全員が朗読し、自然と暗記できたのは、谷川俊太郎の少年のような感性と、詩に宿る力強い生命力に共感できたからだと思います。(51歳・会社員)

子育て中に遊びにいった友だちの家には必ず谷川俊太郎さんの絵本がありました。(49歳・主婦)

読むと気持ちが落ち着きます。今を大切にしようと思わせてくれます。(58歳・事務)

※チームJマダム®アンケートの回答より。

エクラ世代の人生に寄り添った本たち

デビューからの道のりをたどれる4冊

『谷川俊太郎詩選集1~4』 集英社文庫 各¥770~¥1,078

『谷川俊太郎詩選集1~4』
集英社文庫 
各¥770~¥1,078
’52年の『二十億光年の孤独』の刊行以来、世に出されたたくさんの詩集をもとに代表的な詩を厳選。「初めて読んだとき目から鱗のような心境になったのが『朝のリレー』(詩選集1)の〈この地球では いつもどこかで朝がはじまっている〉という一節。国境や人種を取り払い、地球という同じ場所に住んでいるという連帯感のようなものを感じた」(51歳・秘書)、「『朝のリレー』は何度読んでも言葉にあせない鮮度があると思う」(57歳・会社員)。

詩とエッチングによる“奇跡のコラボ”

『女に』 佐野洋子/絵 集英社 ¥1,540

『女に』
佐野洋子/絵
集英社 ¥1,540
絵本作家でエッセイストの佐野洋子さんと3度目の結婚をした翌年の共著。愛と生についてのびやかにつづった珠玉の36篇。「『ここ』という詩が大好き。〈どっかに行こうと私が言う どこ行こうかとあなたが言う(中略)言ってるうちに日が暮れて ここがどこかになっていく〉。ありきたりの会話や日常を続けていくことが実はむずかしく、幸せなことなのではと思えた。私も夫とこんなふうに人生を過ごしていきたい」(54歳・ITエンジニア)。

まるで早口言葉!?リズミカルな言葉が響く

『ことばあそびうた』 瀬川康男/絵 福音館書店 ¥1,100

『ことばあそびうた』
瀬川康男/絵
福音館書店 ¥1,100
ひらがなだけで書かれた詩と絵で構成された本。声に出して読むと、同じ音でも意味が違う場合があることや音自体の楽しさをより感じられる。「『かっぱ』は今でも口ずさめるほど小学校の合唱団で練習した曲の詩。以前谷川さんが『基本的な日本語を美しく発音するすばらしさを伝えたい』とおっしゃっていて、子供たちにそんな思いをもっていらしたんだと感動した」(55歳・会社員)。「なんだか呪文のような楽しい詩」(49歳・公務員)。

あたりまえの暮らしが輝いて見えてくる

『生きる』 岡本よしろう/絵 福音館書店 ¥1,430

『生きる』
岡本よしろう/絵
福音館書店 ¥1,430
東日本大震災後、各地で読まれた谷川さんの代表作のひとつが絵本に。ある家族の夏の風景から日常のかけがえのなさが伝わってくる。「昨年母を亡くし、毎日寂しい思いでいっぱいな私の心に刺さったのが〈生きているということ いま生きているということ(中略)あなたと手をつなぐこと〉というフレーズ。今を生きる私たちが、今この瞬間を大切な人と過ごすために大事にすべきことが書かれていると痛感した」(58歳・自営業)。

みんなが知っているあの絵本も谷川訳!

『スイミー』 レオ・レオニ/作 好学社 ¥1,650

『スイミー』
レオ・レオニ/作
好学社 ¥1,650
副題は「ちいさなかしこいさかなのはなし」。レオ・レオニはイタリアなどで活躍した絵本作家だが、彼の本の多くは谷川さんが和訳を担当。「大人になって読み返したとき〈そこにじっとしてるわけにはいかないよ。なんとかかんがえなくちゃ〉という言葉にドキッとさせられた。“現状維持は衰退”だと。この絵本は世代を超えて、その時代ごとの解釈で、いろいろな気づきや発見を与えてくれるところが魅力だと思う」(46歳・会社員)。

柔らかくて鋭い感受性の秘密がここに

『言葉の還る場所で  -谷川俊太郎・俵万智対談集-』 春陽堂書店 ¥1,760

『言葉の還る場所で-谷川俊太郎・俵万智対談集-』
春陽堂書店 ¥1,760
詩人と歌人がお互いのジャンルの魅力や言葉の可能性をざっくばらんに語り合った一冊。おふたりの素顔もかいま見えてくる。「〈だから、詩なんて書いたことも読んだこともない、という人の中にもちゃんとポエジーはある、っていうことを、僕は信じているわけですよ〉という言葉を読んで、谷川さんの真髄に触れた気がした。尊敬と親愛の情を抱き合うおふたりの距離感も心地よくて、忘れられない本になった」(61歳・主婦)。

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