【雨宮塔子 大人を刺激するパリの今】フランスの魅力が詰まった『ジャックマール・アンドレ美術館』へ

雨宮塔子さんによる連載「大人を刺激するパリの今」。17回目のテーマは「邸宅美術館」。ジャックマール・アンドレ美術館の魅力を紹介します。
サロン・ド・テ「ル・ネリー」にて

サロン・ド・テ「ル・ネリー」にて

バラの形のケーキは美術館オリジナル。’24年"The Wo rld’s Best Pastry Chef"(The World’s 50 Best Restaurants)受賞のフランス人女性パティシエール、Nina Métayerによるもの

バラの形のケーキは美術館オリジナル。’24年"The Wo rld’s Best Pastry Chef"(The World’s 50 Best Restaurants)受賞のフランス人女性パティシエール、Nina Métayerによるもの

「音楽の間」の豪華な天井装飾。手すりの内側が演奏家たちの場所で、ここで奏でられる調べが館内を満たしていたはず

「音楽の間」の豪華な天井装飾。手すりの内側が演奏家たちの場所で、ここで奏でられる調べが館内を満たしていたはず

館内には絵画はもちろん、当時の調度品や装飾芸術も展示されている

館内には絵画はもちろん、当時の調度品や装飾芸術も展示されている

Musée Jacquemart-André

Musée Jacquemart-André

1869年、銀行家エドゥアール・アンドレと妻ネリー・ジャックマールのために建てられた邸宅建築。夫妻の没後はフランス学士院に寄贈され、1913年に美術館として開館。近年の大改装で魅力をさらに高めている。

DATA

158 boulevard Haussmann 75008 Paris
☎+33・1・45・62・11・59
www.musee-jacquemart-andre.com
月~木曜 10:00~18:00
金曜 10:00~22:00
土・日曜 10:00~19:00

折に触れて足が向くフランス美意識の結晶

パリに来た当初から、折に触れて足が向くこの美術館は、私にとって邸宅美術館の極みです。ルーヴルを一日でまわるのは大仕事ですが、ここならば、西洋美術史を“凝縮”して体験できます。特別展は毎回とても興味深いですし、それがなくても、見事な邸宅でアートに触れられる特別な場所だと思います。好きなのは、この館に通底する女性へのリスペクト。館名が“ジャックマール=アンドレ”と、画家であった妻ネリーの姓を先に掲げていることにも、夫妻の愛情が感じ取れます。彼らの存命中、ここに招かれることがひとつのステータスだったそうですが、館のたたずまいが往時の空気感を今に伝えてくれるよう。鑑賞後はサロン・ド・テでお茶をして、世界的パティシエールが手がけたオリジナルケーキをいただくという流れまでがこの館のセンスのよさです。「あなたの瞳の色にはこのジュエリーが似合う」という具合に、幼いころから自然に教え込まれた感覚がフランスの美意識を育んでいる。そのことを思い出させてくれるのも、この美術館の大きな魅力です。

雨宮塔子

らせん階段が印象的なジャルダンディヴェール(冬の庭)にて。この日の装いはアクネ ストゥディオズの上下。「邸宅美術館に敬意をこめて、スーチングスタイルを」と雨宮さん

"C'est vraiment la beauté de la France. Cette élégance se transmet de génération en génération."

――ここで感じるのは、本物のフランスの美意識。 それは世代を超えて受け継がれるものだと思います。

 Toko Amemiya

Toko Amemiya

フリーアナウンサー・エッセイスト。6年間のアナウンサー生活を経てTBSを退社。フランス・パリに渡り、フランス語、西洋美術史を学ぶ。’16年から3年間『NEWS23』のキャスターを務める。現在、執筆活動のほか、新たなYouTubeチャンネル「Toko AMEMIYA in Paris」を配信中。近著に『MY HOME, MY LIFE.』(光文社)がある。
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