50代から骨密度が急降下⁉ 背骨を伸ばして本気の"骨活”を始めよう!

最近、背中が丸くなってきた……。そんなアラフィーは多いと思うけれど、実はこれは「いつのまにか骨折」を招く要因に。そこで、専門家が背骨を伸ばすための「骨活」を伝授! 丈夫な骨と美姿勢を維持しよう。
教えてくれた人
整形外科医 伊藤薫子(かおるこ)先生

整形外科医 伊藤薫子(かおるこ)先生

女性のための整形外科かおるこHappyクリニック院長。日本整形外科学会専門医、脊椎脊髄医。慶應義塾大学病院骨粗しょう症外来などを経て、’21年に東京・帝国ホテル内に開院する。女性の骨と関節の悩みに寄り添う診療が人気。
トレーナー 坂井靖恵さん

トレーナー 坂井靖恵さん

エレガント女豹ボディ協会代表理事。独自の「エレガント女豹ボディメソッド」を考案し、これまでに2万人以上の女性を指導。伊藤薫子先生がクリニックで実施する「4カ月の骨ほね活かつプログラム」ではエクササイズ指導を担当している。

こんな姿勢になっていませんか?

スマートフォンを前かがみで見る

スマートフォンを 前かがみで見る

足を組んで座る

足を組んで座る

すぐどこかに寄りかかる

すぐどこかに 寄りかかる

ねこ背でデスクワークをする

ねこ背で デスクワークをする

ソファでうつ伏せになる

ソファで うつ伏せになる

閉経後3~5年で骨密度はさらに低下。50代以降は骨粗しょう症予防の対策を

 上記で紹介したような姿勢が習慣化すると、“いつのまにか骨折”のリスクが高まるというから要注意。まずは、そもそもエクラ世代になるとなぜ骨折しやすくなるのか、その理由を整形外科医の伊藤薫子先生にうかがった。

「骨は常に新陳代謝をしていて、古い骨を壊す“骨吸収”と、新しい骨を作る“骨形成”のサイクルで再生しています。そしてそのバランスをとっているのが女性ホルモンのエストロゲンです。エストロゲンには、骨吸収を抑え、骨形成を促す働きがあり、それによって丈夫な骨が保たれています。ところが、エストロゲンは更年期以降に急激に減り、閉経後はさらに減少。骨形成より骨吸収の速度が早くなるので骨密度が低下し、ちょっとしたことで骨折しやすくなるのです。特に骨密度は閉経後3〜5年で下がりやすく、50代以降の女性の4人にひとりは骨粗しょう症になるといわれています」

 そして特に気をつけるべきなのが、 背骨の“いつのまにか骨折”。

「背骨は本来、重い頭を支えるためにゆるやかに前ぜんん)したS字カーブを描いています。でも更年期以降になると、骨密度が減少するだけでなく筋肉量も減るので、S字カーブがくずれて背骨が丸くなっていきます。すると背骨がつぶれやすくなり、物を持ち上げたときや、転んだとき、咳をしたときなど、ちょっとした動作で圧迫骨折を起こすことも。圧迫骨折とは背骨に上下からの力が加わって前側の椎体という部分がつぶれて生じる骨折。痛みがないこともあるので気づかないことも多く、これが“いつのまにか骨折”といわれるゆえんです。ふだんから背中が丸まっていると背骨にさらに負担がかかるのでそのリスクが高まります」

まずは正しい姿勢をチェックして骨粗しょう症対策を!

正常

正常

いつのまにか骨折

いつのまにか骨折

”いつのまにか骨折”とは?

〝いつのまにか骨折〞とは?

女性ホルモンの減少による骨密度の低下から、背骨の前側の椎体がつぶれて起きる骨粗しょう症性脊椎圧迫骨折のこと。自分で気づかないことも多く、"いつのまにか骨折" と呼ばれる。背中が曲がり、身長が縮む

"ドミノ骨折”を引き起こすことも

〝ドミノ骨折〞を引き起こすことも

圧迫骨折を起こして1カ所の椎体がつぶれると、隣接する骨の椎体もつぶれ、次々と圧迫骨折を起こすことがある。これを”ドミノ骨折”と呼ぶ。こうなると背中が曲がったまま、もとに戻りにくくなってしまう

 背中がまっすぐに伸ばせない人は、“いつのまにか骨折”をしている可能性もあるから、早めに整形外科で検査を受けるのが賢明。放置するとさらなる骨折を招くことも。

「圧迫骨折をすると隣接する背骨もつぶれやすくなるので、次々と圧迫骨折を起こすことがあります。これは“ドミノ骨折”とも呼ばれ、背中が曲がったまま戻らなくなったり、まっすぐに歩けなくなったり、将来的に寝たきりになるリスクも高まるので危険です」

 こんな事態を防ぐためにも、意識的に背骨を伸ばすことが大事。

「背骨が曲がると、呼吸が浅くなったり、肩こりや腰痛が起きたり、内臓の働きが低下したり、代謝が悪くなって太りやすくなったりとほかにもデメリットが多数。逆に背骨を伸ばせば、これらが防げて見た目も若返ります。今から背骨を伸ばす習慣をつけましょう」

背骨を伸ばす「骨活メソッド」

背中が丸くならないようにするには、ふだんから姿勢に気をつけたり、エクササイズを取り入れるのが効果的。おすすめの方法をご紹介!

座り姿勢や、鎖骨や肋骨まわりの硬さに注意して

「最も背中が丸くなるのが座っているときです。みぞおちから恥骨までを伸ばすと自然に背骨が伸びるので心がけて。また、鎖骨や肋骨まわりが硬いと体の前側が縮んで背中が伸びないのでよくほぐすのもポイント。さらに、背骨を伸ばしつつ背中の筋肉を柔軟にするエクササイズも効果的」(伊藤先生)


 そこでトレーナーの坂井靖恵さんがねこ背を防ぐ座り方や、鎖骨&肋骨ほぐし、背骨を伸ばすエクササイズを伝授。

「背骨のひとつひとつを離すようなイメージで伸ばしましょう。これらを続けることで、まっすぐな背中が維持できるようになります」(坂井さん)

 下の項目に多く当てはまる人は、骨粗しょう症予備軍。ご紹介する方法を実践して骨折を防いで。

もしかしたら、骨粗しょう症予備軍かも?
骨が弱っているサインを見逃さないで

□どちらかといえばやせている

成長期に過度なダイエットをしたことがある

昔に比べて身長が3㎝以上縮んだ

紫外線を気にして日光を浴びないようにしている

最近、骨折したことがある

閉経を迎えた

毎日、飲酒をする習慣がある

喫煙の習慣がある

毎日意識しよう!背骨リセット習慣

<ねこ背にならない座り方>日々の習慣づけが一番の近道

<ねこ背にならない座り方>日々の習慣づけが一番の近道

骨盤を立て、みぞおちから恥骨までをなるべく伸ばす

骨盤をまっすぐに立てて膣を座面につけて座り、みぞおちから恥骨までの距離をなるべく伸ばす。こうすると背骨が伸び、横から見たときに耳、肩、骨盤の横が一直線になるよい姿勢に。

NG

NG

仙骨をつけて座る

仙骨(骨盤中央の三角形の骨)を座面につけて座るとねこ背になるのでNG。

NG

NG

反り腰になる

よい姿勢にしようとして腰が反っている人も多数。背骨に負担をかけるのでNG。

動かすことが近道!背骨ゆる伸ばし運動

<鎖骨&肋骨ほぐし>前側の筋肉のこわばりを防ぐ

<鎖骨&肋骨ほぐし>前側の筋肉のこわばりを防ぐ

鎖骨周囲の筋肉をほぐす

鎖骨下の中央に手指を当て、痛気持ちよく感じる強さで細かくさすってほぐす。鎖骨下の中央から少しずつ外にずらしながら同様に。反対側も行う。リンパの流れもよくなり、ねこ背が改善しやすくなる。

肋間筋をほぐす

肋間筋をほぐす

バストトップの延長線上のわきの下の肋骨に両手の親指を当て、ほかの指を前側に当てる。上体を左右に揺らして肋骨を摩擦するように刺激。10回行ったら指の位置をずらして同様に。肋骨全体を行って。

<背骨の「上部」伸ばし>硬くなりやすい背骨上部の集中ケア

Step 1

Step 1

両手を頭の後ろで組み、両肘を開く

膣を座面につけて座り、みぞおちから恥骨までをなるべく伸ばす。両手を頭の後ろで組み、両肘を真横に開く。

Step 2

Step 2

1の姿勢のまま、左に体を倒す

1の姿勢を保ったまま、みぞおちから上を左に倒す。腰から倒すのでなく、みぞおちから上を倒すこと。

Step 3

Step 3

2の姿勢から、胸を床に向ける

上体を左斜め下にひねり、胸を床に向ける。雑巾を絞るイメージでみぞおちから上をひねるのがポイント。体をSTEP1に戻し、反対側も同様に。左右各3回。

<背骨の「全体」伸ばし>背骨の上から下までを背筋とともに柔軟に

Step 1

Step 1

正座をする

正座をして、みぞおちから恥骨までを伸ばす。

Step 2

Step 2

▼さらに、伸ばしたいなら!

▼さらに、伸ばしたいなら!

上体を前に倒し、手のひらを下にして腕を前に伸ばす

上体を倒して手のひらを床につけ、腕を前に伸ばして5秒キープ。おしりを後ろに突き出して、手はなるべく遠くに伸ばし、おしりと手で引っぱり合うイメージで行って。これが無理なくできる人は手のひらを上に向けると効果アップ。

NG

NG

腰を丸めるのはNG

上体を倒すときに腰を丸めて下腹部が太ももから離れるのはNG。下腹部と太ももはつけて倒して。

Step 3

Step 3
Step 3

2の状態のまま、片腕ずつさらに伸ばす

2のポーズのまま、片腕を前にできるだけ伸ばして5秒キープ。伸ばした腕を戻したら、反対側の腕を同様に伸ばして5秒キープ。左右をセットで4回。

最新治療法からお役立ちアイテムまで!知っておきたい「骨活Topics」

骨を丈夫に保つために知っておきたい最新の「骨活」事情を伊藤薫子先生が解説。治療とセルフケアをうまく取り入れて骨密度アップを目ざして。

骨の検査が進化! 海綿骨の構造を調べることも

骨の検査が進化! 海綿骨の構造を調べることも

骨密度検査は40代になったら一度は受けておき、閉経後は年1回受けるのが◎。「検査の種類は、X線で腰や脚のつけ根の骨密度を測るDXA法(上の図の方法)と、かかとの骨に超音波を当てて検査をするQUS法、両手のX線撮影をするMD法があります。このうち最も精度が高いDXA法を受けるのが理想的ですが、受けられる機関が限られています。まずはどの方法でもよいので、とにかく検査を受けることが大事。また、最近、海綿骨(骨内部のスポンジ状の部分)の構造を調べる『海綿骨スコア』も登場。骨質の指標となり、スコアが低いと圧迫骨折が起こる可能性が高くなります。まだ受けられる医療機関は限られているので、興味のある人はネット検索などで調べてみて」

現代人は"紫外線対策”でビタミンD不足⁉

現代人は"紫外線対策”でビタミンD不足⁉

 骨にカルシウムを定着させるのに必要なのがビタミンD。「ビタミンDは青魚やきのこ類などの食品からもとれますが、紫外線を浴びることで体内でも合成されます。ただ、現代人は過度な紫外線対策によってビタミンDが不足ぎみ。体は日焼け止めを塗りすぎないなど、適度に紫外線を浴びるようにしましょう。最近登場した、ビタミンDの生成に必要な紫外線の波長を遮らない日焼け止めを使うのも◎」。

編集部のおすすめ

編集部のおすすめ

紫外線から肌を守りつつ、ビタミンDの生成に必要な波長は通過させる日焼け止め。

ソーラーD サンスクリーン SPF50+/PA++++ 100㎖ ¥4,180/アンブロシア

骨密度が5~10%上がる薬も。骨粗しょう症も治せる時代に!

かつて一度低下した骨密度は上がらないといわれていたが、現在は治療で上げることが可能に。

「骨粗しょう症の治療は注射や内服による薬物療法が基本で、薬の種類は、骨吸収を抑える薬、骨形成を促す薬、両方の作用をもつ薬のほか、骨に必要な栄養素を補う薬があります。特に注目されているのが、骨吸収抑制と骨形成促進作用をあわせもつロモソズマブという注射で、1年で骨密度が5〜10%上がるというデータも。それ以外の薬は1年で2〜3%といわれているので、かなり高い効果です。何もしなければ骨密度は下がる一方なので、1年で2〜3%という数値も決して低くはありません。早めの検査と治療を心がけて」

大人こそサプリが心強い味方に

 骨に必要な栄養素はサプリで補うのも手。「不足しやすいビタミンDや、コラーゲンの生成を促すビタミンCはしっかりとるとよいのでサプリの利用もおすすめ。また、エストロゲンと似た働きをもつエクオールは、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されると生み出されますが、自分の腸で作れない人もいるのでサプリが効率的」。

編集部のおすすめ

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1包にビタミンCを3000㎎、ビタミンDは日本人の食事摂取基準の上限である4000IUを配合。Wakasapri for Pro.ビタミンC+ビタミンD 30包入り(1日1包、約1カ月分 ※医療機関専売品)¥5,832/分子生理化学研究所

エクオール

エクオール10㎎を1日の目安4粒でとることができる。エクエル 112粒入り(1日4粒目安、28日分)¥4,320/大塚製薬

カルシウムだけじゃない!この栄養素にも注目

 骨に必要な栄養=カルシウムというイメージがあるが、それだけでは不十分。「骨を丈夫にするなら、カルシウムの吸収を高めるビタミンDも必要ですし、骨を作るコラーゲンはタンパク質なので、肉や魚や卵、乳製品、大豆製品などからしっかりとることも重要。また、骨の弾力性を高めるマグネシウムや、カルシウムが骨から溶け出すのを抑えるビタミンKも必要です。マグネシウムは海藻や、アサリ、干しエビ、きくらげ、切り干し大根などに、ビタミンKはひきわり納豆やパセリ、ブロッコリー、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草、ワカメ、のりなどに多く含まれます。これらを毎日の食事に取り入れましょう」。

マグネシウムは、"皮膚”からもとれる

マグネシウムは骨の弾力を保つだけでなく、タンパク質の合成や神経伝達、筋肉の収縮など重要な働きをもつミネラル。

「不足すると骨に蓄えられたマグネシウムが溶け出して骨が脆(もろ)くなるので、しっかり補給することが大事。そこで知っておきたいのがマグネシウムは皮膚からも吸収されるということ。マグネシウムが配合された入浴剤やバームを使うことで摂取量を増やせるので取り入れてみて」

編集部のおすすめ

編集部のおすすめ

浸透性の高いリポソーム化した高吸収マグネシウムを配合。効率的なマグネシウム補給を実現。100%天然由来成分。マグバーム オリジナル(無香料)100g ¥4,800/オーガニックサイエンス 

伊藤薫子先生オリジナルの高純度のマグネシウムが配合されたエプソムバスソルト。香りはいちじく、ざくろの2種類。エプソムソルト 100g(入浴剤1回分)¥700/女性のための整形外科かおるこHappyクリニック

医師の的確なアドバイスがもらえる

医師の的確なアドバイスがもらえる

 伊藤薫子先生のクリニックで受けられるのが『骨活プログラム×4MONTHS』。「最初に骨密度検査を受けていただき、結果に応じて、食事や運動、必要なら治療も含めてアドバイスする4カ月のプログラムです。終了後、再び骨密度測定を行い、経過をチェック。受けたかたのほとんどが骨密度アップなどの効果を感じています」。

プライベートコンサルつきコースは4カ月33万円、グループコンサルつきコースは22万円、動画受講コースは6万6000円。https://kaoruko-happyclinic.com/

カルシウムの吸収を妨げるので、アルコールと、加工食品に含まれるリンに要注意!

 食品の中にはカルシウムの吸収を妨げるものがあるので注意。「そのひとつがお酒。アルコールは腸からのカルシウムの吸収を妨げるうえ、利尿作用によってとったカルシウムを排出してしまうので、飲酒はほどほどに。また、インスタント食品やスナック菓子、ハム、ソーセージ、ちくわなどのような加工食品に多く含まれるリン(リン酸塩)もカルシウムの吸収を妨げます。パッケージの原材料名にあるpH調整剤、発色剤、乳化剤などがリン酸塩なのでこれらを含むものは控えましょう」。

骨にいい栄養素は"ちょい足し”で摂取量アップ

骨にいい栄養素は"ちょい足し”で摂取量アップ

骨にいい栄養素を十分にとるには食事に"ちょい足し”を。「おすすめは、いりこやいりこ粉末(カルシウム、ビタミンD、タンパク質を含有)、のり(カルシウム、ビタミンD・Kを含有)、乾燥ワカメ(カルシウム、ビタミンKを含有)、納豆(タンパク質、ビタミンKを含有)など。ごはんにかけたり、味噌汁に入れたりと"ちょい足し”すると摂取量を増やせます」。

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