地下鉄駅で文字を拾う。

2018年7月30日
駅での乗降が終わり、列車のドアが音を立てて閉まる。窓の外の景色が後ろへ流れ始めたとき、ホーム上の「ある存在」にふと気づく……。
これは物語における鉄道の正しいご利用方法ですが、そこに意中の人がいた!なんてのは月並みな話。先日、千代田線日比谷駅で釘付けになったのは「ホース格納箱」でした。

オールステンレスの扉に、エッジの効いた金属植字。カタカナは手作り感が残るものの、漢字が珍しく宋朝体で品格あり✨ 加飾要素のない中、横線の斜め具合、文字を縦に伸ばした長体の加減がさりげなくアクセントになっています。

鉄道と金属文字といえば『銀河鉄道の夜』。ジョバンニは、学校帰りに活版所で活字拾い(文撰)をして銀貨を一枚貰うわけですが、私の文字拾いは一文にもなりません。しかし、人気のないホームで写真を撮っているところへロマンスカーが止まって(※千代田線乗り入れ。本来は日比谷駅の停車なし)、人のよさそうな車掌さんが「どうぞお乗りなさい」と招き入れてくれたりはしまいかと想像すると、ほんのちょっとだけわくわくするのです。

感動ついでに乗り換えの大手町駅ホームでまた探してみると、ブルートレインみたいな深い青の箱に、細めのゴシック体。近頃はペイントやカッティングシートも多いなか、新調されていてなお金属文字というのが贅沢に映ります。電の字がロボットの顔みたいで、これはこれでまたいい。
ときどきはちょっとレトロな二色塗り分けタイプを見かけることもありますね。わが神保町駅に設置されているのは、国鉄の気動車みたいなクリームに朱の配色のもの。
植字とともに、なくならないで、と思います。
(編集B)

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