【卒母】子育ての卒業で得られるのは喜び?寂しさ?【5大家族問題・解決のヒント】

50代が直面する「親の介護」「相続」「お墓の承継」「子どもとの関係」「夫婦のこれから」の5大悩みにフィーチャー。どう考え、どう行動すれば心が軽くなるのかをそれぞれの専門家がアドバイス。今回は、昨年、漫画家・西原理恵子さんの宣伝で広まった「卒母」についてお答え。

卒母

「いつまでも世話を焼くのは、絆ではなく癒着です」――心理カウンセラー・大門昌代さん

子どもは自分とは別人格だと認識し、お互いに自立を
昨年、漫画家・西原理恵子さんの宣言で広まった“卒母”という言葉。そこであがってきたのが「母親を卒業ってどういう意味?」「親子の関係は永遠に続くのでは?」といった疑問。家族関係のカウンセリング経験が豊富な大門昌代さんは、「明確な定義はないのですが」と前置きしたうえで、次のように説明する。

「母親や子どものタイプ、親子関係、家庭環境にもよりますから、一概にはいえません。ただ、私自身は、母としての時間よりも自分個人としての時間が大幅に増え、親子関係が、大人と子どもではなく大人同士に変わるのが、“卒母”だと考えています。子どもは自分とは別人格なのだと認め、口を出したり、世話を焼いたりせず、少し距離をおいて見守る。そうやって、精神的にも、生活の面でも、お互いに依存せず、自立することなのではないかと」
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子どもが成人したあとも、なんでも話し合え、しょっちゅう一緒に出かけるなど、距離が近い“友だち親子”も増えているようだけれど?

「仲がよいのはけっこうですが、度がすぎると危険。自分と他者の境目がなくなっている“癒着”状態に陥っているかもしれません。結果、卒母どころか、子どもの自立を阻むことに。子どもに自分の人生を歩ませるためにも、癒着は早めに解消しなければ」
 それに有効なのが、子どもとは別の世界をもち、子ども以外の人と過ごす時間を増やすこと。

「仕事でも、趣味でも、ボランティアでもかまいません。母としてではなく、個人として社会にかかわりをもつことが大切。夫婦の時間を増やすことも、卒母の後押しになりますよ」
 なかには、いつまでも親をあてにし、頼ってくる子どももいそう。「ただ、近しい関係の場合、原因は双方にあるもの。『甘えて困る』といいながら手を貸していないか、まずは、自分の言動を振り返って。また、自立のカギになるのは自尊心。子どもを否定せず、信頼し、自信をもたせることも必要です」

 卒母は、長い時間をかけて、徐々に行っていくもの。今から少しずつ準備をしておきたい。
教えてくれたのは……
だいもん まさよ●家族関係からビジネス関連まで、幅広い分野で講演会や個別カウンセリングを実施。自身もアラフィー世代で一男一女の母。

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