選んだのはフランス・ブルゴーニュ地方マルサネの「シャルル・オードワン マルサネ・ロゼ 2016」。チェリーの香りとスパイスのニュアンス。そのチャーミングな味わいにたちまち魅了されてしまう。「シャルル・オードワン」は繊細なロゼで知られる老舗ドメーヌで、当主のシリル・オードワン氏は“マルサネのライジングスター”と高い評価を受けている。マルサネは、ロマネ・コンティやジュヴレ・シャンベルタンなどの銘醸ワインが綺羅星のごとく並ぶコート・ド・ニュイという生産地区にある村。たとえれば“スーパー美女グループのちょっとかわいい子”のような位置づけだろうか。
だが、決して侮ってはならない。実はこのマルサネ・ロゼ、華やかとはいえないまでも、どんな料理をも優しく包み込んでしまうパワーをもっているのだ。シャルキュトリはもちろん、フルーツタルトなどのデザートから和食まで。その“魔力”は、一見癒し系ながら、心の奥に甘やかな毒を隠し持っている女性のよう。
引力を感じる魅惑的なロゼは、ついつい飲みすぎてしまいそうで、なんとなくキケン。でも、この“心ざわめく感じ”には、勝てそうにない。