マイうちわを選ぶなら。

マイうちわを選ぶなら。_1_1
小津安二郎監督の『東京物語』は、「1人1うちわ」の世界。原節子さんの役柄は、扇ぐ行為においても謙譲の美徳を発揮していたように思います。

さて、見目麗しく扇ぎよいうちわとして推したいのは、池田含香堂の「奈良団扇」。柄の竹が細めで持ちやすく、骨のしなりも絶妙で、軽い力で程よい微風が起こります。色味としても、無地の白や香色のような柔らかいものがあって、大人向き。

購入に当たって、私は必ず三条通りのお店で現物を確かめています。というのは、軸の太さと骨のしなり具合に、いくらか自然素材ゆえの個体差があるから。好みなのは平均よりもやや細い軸で、数としてはかなり少ないのですけれど、それが私にとっては日本一。

うちわはそうそう壊れることがないので、使いよくしっくり来るものを選びたいところ。そうすれば、飯碗や箸のような「属人器」となり、愛着も湧いてきます。
(編集B)

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