ビールと音楽で、古のドイツへ。

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小さな別れがまたひとつ。神保町のとあるお店で必ず頼んでいた黒ビールがメニューから消えていて、ガックリ来ました。

ドイツ中部で1543年の創業という、ケストリッツァー。アルコール度数はやや低めで、料理とも楽しめる上品な味わいです。しかし、「ドイツNo.1 黒ビール」「ゲーテ、ビスマルクが愛飲」でも訴求力が足りなかったのか……。

かくなる上は最後の隠し球を。”ドイツ音楽の父”と讃えられるハインリヒ・シュッツが、醸造所のあるケストリッツの出身です。バッハと比べるとはるかにマイナーな存在ですが、その敬虔な音楽はバッハを凌ぐ面が多々あろうかと思います。

家で何事もなく過ごす休日に、16世紀半ば以来のビールの栓を開け、1585年生まれのシュッツの音楽に陶然と浸るのは、なかなかどうして立派なタイムトリップ。器はステムが太いゴブレットのほうがムードが出ます。ビールにせよワインにせよ、色ガラスで飲むのは躊躇われるものですが、中身が「黒」なら諦めもつきますね。

シュッツの作品で好んで聴くのは、ルドルフ・マウエルスベルガー指揮の『音楽による葬送』と『十字架上の七つの言葉』。この60年代の録音より惹かれる演奏が今のところ見当たりません。宗教曲の場合、演奏の精妙さが80〜90点でも、熱量や気持ちで100点を超えて来られると、より深く胸に迫るところがあるようです。

マウエルスベルガーは、最晩年に兄弟で取り組んだバッハの『マタイ受難曲』も名盤とされています。ただ、こちらのCDの音源は、「へ?」と思わず声が出るほどピッチが高め。通常のピッチで録音したものが1/4音近く上がっているとしたら、本来の演奏は3%テンポが遅く、響きももう少し重たいはず。あえてそのように調律したとは考えにくいので、演奏の真価が発揮されるかたちでの再販を願ってやみません。
(編集B)

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