春は竹橋で、『あやしい絵展』。
東京国立近代美術館で、『あやしい絵展』(一部展示替えあり。前期~4/18、後期4/20~5/16)が開幕しました。近代日本美術に表れた、“妖”の美。発売中の『エクラ』4月号で特集していますので、そちらもどうぞご覧ください。
展覧会の何がいいってまず図録✨ 出品作品のパワーが、デザイナー魂に火をつけた感じがします。厚盛印刷によるピンクの網が水玉の上にツヤツヤ光って、カッコいい。
以下、『エクラ』本誌で触れられなかった作品をいくつかご紹介します。本展で間違いなく知名度が上がるのは、甲斐庄楠音(かいのしょうただおと)。「Hoo! Hoo!」と掛け声を入れたくなる舞いっぷりの『舞ふ』『幻覚(踊る女)』(写真2枚目、ともに前期展示)が対のように並んでいました。屛風絵『畜生塚』(写真3枚目)は知る人ぞ知る未完の大作。
また、幕末~明治初期の「あやしい絵」も出品されています。会場には近代日本画家の鏑木清方の作品が多数並びますが、その画系をさかのぼると、”血みどろ絵”の月岡芳年(写真4枚目)、”妖怪絵”の歌川国芳たちがいたのでした。そして、絵ではなく"立体"ながら、この時期にピークを迎えた「生人形(いきにんぎょう)」一体も参戦。写真4枚目は、安本亀八の『白瀧姫』です。西洋彫刻もビックリの、3Dハイパーリアリズム作品もあるのがこのジャンルでした。
展覧会の何がいいってまず図録✨ 出品作品のパワーが、デザイナー魂に火をつけた感じがします。厚盛印刷によるピンクの網が水玉の上にツヤツヤ光って、カッコいい。
以下、『エクラ』本誌で触れられなかった作品をいくつかご紹介します。本展で間違いなく知名度が上がるのは、甲斐庄楠音(かいのしょうただおと)。「Hoo! Hoo!」と掛け声を入れたくなる舞いっぷりの『舞ふ』『幻覚(踊る女)』(写真2枚目、ともに前期展示)が対のように並んでいました。屛風絵『畜生塚』(写真3枚目)は知る人ぞ知る未完の大作。
また、幕末~明治初期の「あやしい絵」も出品されています。会場には近代日本画家の鏑木清方の作品が多数並びますが、その画系をさかのぼると、”血みどろ絵”の月岡芳年(写真4枚目)、”妖怪絵”の歌川国芳たちがいたのでした。そして、絵ではなく"立体"ながら、この時期にピークを迎えた「生人形(いきにんぎょう)」一体も参戦。写真4枚目は、安本亀八の『白瀧姫』です。西洋彫刻もビックリの、3Dハイパーリアリズム作品もあるのがこのジャンルでした。
会場では、4/4までと短期間ながら、曾我蕭白『美人図』(写真1枚目)と上村松園『焰』(写真2枚目左)という、”怨みの女性像"の江戸中期・近代の見比べができます。いずれも着物の柄で語らせたり、「噛む」しぐさが共通したり。そして、それぞれに"特定の人物"を女性像に仮託していることもミソかもしれません。
写真2枚目右は北野恒富『道行』(こちらも展示は4/4まで)。この作品、「あやしい絵」にありがちな陰影感が薄く、かなり整理された印象ながら、なかなかに不気味です。恒富ほど作風を目まぐるしく変えた画家も珍しいですが、こちらは西洋画的要素と近世絵画的要素が混然と溶け合った稀有な例ではないでしょうか。本誌ではスペースの都合で近世絵画の例として『本多平八郎姿絵屛風』を載せましたが、『彦根屛風』からの影響が強いように感じます。
『道行』で注目したいのは女性の足の指の長さ。恒富の作品にそうそうある描写ではありません。むしろ蕭白の『美人図』と根っこが同じで、甲が低く量感は薄いけれど、何やらじっとりとした接地感。また、着物の絞りや印籠の螺鈿、胡粉盛り上げの数珠など、細部の描写も徹底しており、只ならぬ画家の執念が伝わってきます。
絵の「あやしさ」はこうした執念過剰の創作態度からも生まれるもので、得てして徹底した質感描写や陰影表現、いわゆる「写実」に付いて回ります。立体の「生人形」も然り。他方、印刷を通した絵画の場合、画家の情念は黒一色の深い闇に込められているようです。本家ビアズリーを筆頭に、図録の表紙にも使われた水島爾保布(写真3枚目)、そして最盛期の小村雪岱の挿絵のベタ面にも、そんな気配を感じます。
前期・後期を通して「こんな画家がいたんだ!」という発見が必ずやある、『あやしい絵展』。東京の後は7/3~8/15の会期で大阪歴史博物館に巡回予定です。
(編集B)
写真2枚目右は北野恒富『道行』(こちらも展示は4/4まで)。この作品、「あやしい絵」にありがちな陰影感が薄く、かなり整理された印象ながら、なかなかに不気味です。恒富ほど作風を目まぐるしく変えた画家も珍しいですが、こちらは西洋画的要素と近世絵画的要素が混然と溶け合った稀有な例ではないでしょうか。本誌ではスペースの都合で近世絵画の例として『本多平八郎姿絵屛風』を載せましたが、『彦根屛風』からの影響が強いように感じます。
『道行』で注目したいのは女性の足の指の長さ。恒富の作品にそうそうある描写ではありません。むしろ蕭白の『美人図』と根っこが同じで、甲が低く量感は薄いけれど、何やらじっとりとした接地感。また、着物の絞りや印籠の螺鈿、胡粉盛り上げの数珠など、細部の描写も徹底しており、只ならぬ画家の執念が伝わってきます。
絵の「あやしさ」はこうした執念過剰の創作態度からも生まれるもので、得てして徹底した質感描写や陰影表現、いわゆる「写実」に付いて回ります。立体の「生人形」も然り。他方、印刷を通した絵画の場合、画家の情念は黒一色の深い闇に込められているようです。本家ビアズリーを筆頭に、図録の表紙にも使われた水島爾保布(写真3枚目)、そして最盛期の小村雪岱の挿絵のベタ面にも、そんな気配を感じます。
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