本の栞は運行最終日の乗車券。

本の栞は運行最終日の乗車券。_1_1
間もなく北海道の日高本線が部分廃止となります。「部分」とはいえ、大部分。該当区間の鵡川~様似の116kmはすでに列車代行バスによる運行で、2015年の高波・台風被害からの鉄路復活はついぞ叶いませんでした。列車で完乗できないまま廃線を迎えるのは残念なことです。

JRによる運行最終日は3/31。まだきっぷは買えるので、好みの駅名を選んで1枚作りました。「絵笛〜春立」という字面が、競走馬の産地を縫い進んだ長閑な路線に似つかわしいように思います。池澤夏樹さんの『静かな大地』(※現在絶版)の舞台がこの沿線だと教えてもらったので、きっぷを栞にしながら読んでみようかと。

かつて現地を訪れて初めて知ったのですが、沿線の大きな街・静内では、冬になるとオオワシが多数飛来します。小さいころに「クリスマスは何が欲しい?」と訊かれて、「オオワシ」と答えたところ、その年からサンタさんが現れなくなったという苦い記憶を持つ私。静内駅から徒歩数分の海辺にまさか天国があったとは……。
             
そして厳冬期の砂浜には、朽ちた鮭の姿がそこここに。静内川を遡上し、やがて力尽きた鮭たちが海まで流され、波によって打ち上げられるのでしょう。新たな魚体が上がるたび、ワシやカラスがそれに群がる。自然の循環が街のすぐそばで繰り広げられていたのが印象的でした。

交通弱者としては、そんな土地まで運んでもらえたことに深く感謝しています。
(編集B)

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