夕方に遠くが見えづらくなるのは老眼の初期症状。進行を遅らせるために今できることって?【50代の不調に克つ!老眼初期の原因と対策編 #1】

40代から始まった老眼モンダイ!私、美容ジャーナリスト・小田ユイコの場合、40代の半ばから、遠近両用コンタクトでなんとかしのいできました。しかし50歳を超えてから、夕方以降の目のかすみがひどくなり、遠くも手もとも見えづらくて仕事にもプライベートにも差し障る日々……。夕方以降も快適にものを見るにはどうしたらいいのか、眼科専門医に取材しました! 全3回に分けてお届けします。
梶田雅義先生

梶田雅義先生

梶田眼科 院長。眼科専門医。医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。同眼科教室入局。1993年から2年間、カリフォルニア大学バークレー校の研究員に。2003年、梶田眼科開院。日本眼光学学会理事、日本コンタクトレンズ学会理事、日本眼鏡学会評議員。著書に『人生が変わるメガネ選び』(幻冬舎)が。
小田ユイコ

小田ユイコ

美容ジャーナリスト。出版社に勤務後、独立。『eclat』『MAQUIA』『LEE』などの女性誌や、WEB媒体で美容記事を執筆。「美しさは健康から」をモットーに、女性のカラダに関する取材を長年にわたり行う。1965年生まれ。
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遠近両用コンタクトや遠近両用メガネで日中は見えていたスマホの文字が、夕方以降見えづらくなり、目を細めたり、かなり拡大しないと正確に読み取れなくなりました。
50歳を過ぎたころから急に気になりだした夕方以降の目の見えづらさ。趣味のテニスも、ナイター照明ではボールが見えづらく、夕方以降のプレーは避けています。一番困るのは、文字をしっかりチェックしなければならない校正作業で目がかすむこと。ほかにも、ランチタイムは大丈夫なのに、夜のレストランでメニューが読めない! これっていわゆる「夕方老眼」なのでしょうか。眼科専門医の梶田雅義先生にお話をうかがいました。

40代から始まる「夕方老眼」は、老眼の初期症状。夕方「遠く」が見えづらくなる

夕方老眼という言葉を聞きかじり、私もこれに当てはまるのかなと思ったのですが……。「夕方老眼は、老眼の初期症状。小田さんのように、すでに老眼で夕方以降近くのものがより見えづらくなるのとは、少し違います。私は夕方老眼を『アフター5ブラー』と呼んでいます。ブラー(blur)とはぼんやりすること。仕事が終わって帰ろうとする頃、遠くが不鮮明になり、見づらくなることをさします」(梶田先生)。

遠くが見づらくなることと、近くが見づらくなるのとでは、違いがあるのですね。「はい、まずは遠くが見えづらくなる夕方老眼のほうからご説明しましょう。夕方遠くが見づらくなるのは、日中手もとばかりを見て過ごし、帰宅で建物から出たときいきなり遠くを見るからです。問題は、目のピントを調節する水晶体にあります。水晶体は、カメラでいえばレンズの役割。眼球の前面(角膜のすぐ後ろ)に存在し、ラグビーボールを立てたような形をしています。この水晶体の上下には毛様体筋という筋肉がついていて、ギュッと押してふくらませたり、引っ張って薄くしたりして、ピント調節をしています。デスクワークなどで近くを見ているときは水晶体がふくらみ、遠くを見るときは薄くなりピントが合います。しかし、日中ずっと厚みのある状態が続いていた水晶体は、夕方急には薄くなれず、遠くを見るとピントがぼやけてしまうのです」。
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家やオフィスで近くのものばかりを見ていて、夕方クルマを運転しようとすると、標識がよく見えず、怖い思いをすることも。これは夕方老眼。
そういえば、夕方遠くの標識や看板が見えづらくなったのは、夕方近くが見えづらくなるよりもっと早く、40代半ばからだったと思い出しました! 

「遠くを見ようと水晶体を薄くしようとしても時間がかかるのは、年齢とともに水晶体が硬くなるため。若いときは水晶体がプリンプリンで毛様体筋の動きにすぐに反応できたのですが、にぶくなってしまうのです。この水晶体の柔軟性が下がることこそ、老眼の始まりです」(梶田先生)。

「PCで作業をしたり、スマホで連続ドラマに熱中したりして、至近距離を1~2時間見続けてしまうこと、現代生活ではよくありますよね。特にコロナ禍で外出や通勤が減ったことで、至近距離を見続ける時間は大幅に長くなっています。至近距離を見続けると、水晶体は膨らんだ状態で硬直してしまいます。ただでさえ年齢で硬くなってきているわけですから、遠くを見たときになかなか薄くなれず、ピントが合いません。40代の老眼初期の頃にこの事実を知っていて、きちんとケアすれば、老眼への移行をゆるやかにすることができます」。

これは、40代の人に教えてあげなければ! どうすれば、夕方老眼をケアし、本格的な老眼への進行を遅らせることができるのですか?

デスクワークやスマホ作業中、10分に1回は「瞳ストレッチ」の習慣を!

「ぜひ実践していただきたいのが、水晶体を柔軟に保つ『瞳ストレッチ』です。方法はいたって簡単! デスクワーク中や、スマホでドラマなどを見ているとき、手芸などの手もと作業中に10分に1度、1~2秒、遠くを見るだけです。遠くといっても2~3m先でけっこう。こまめに遠くを見ることで、水晶体をストレッチし、硬直を防げるのです」(梶田先生)。
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至近距離ばかりをずっと見ていることが、夕方老眼の原因! 10分に1回、1~2秒、2~3m先にあるもの(たとえば観葉植物など)見るのは、やってみると案外簡単。これはぜひ習慣にしたいです。
「オフィスなどで2~3m先を見ると人と目が合ってしまう場合は、天井を見上げ、素材などにピントを合わせるのもおすすめ。天井を見上げると首の前が伸び、喉もとにある頚部交感神経節を刺激します。自律神経のうち、遠くを見るとき働くのは、アクティブなときに優位になる交感神経。遠くにピントが合いやすくなります。至近距離を見るときに働いているのはリラックスするときに優位になる副交感神経。作業中ときどき交感神経を刺激すれば、自律神経のバランスを保ち、仕事や作業がはかどりやすくなります」(梶田先生)

天井の素材なんて、しっかり見たことありませんでした。でも確かに10分に一度、天井を少し見上げるだけで、ぼんやりしたアタマまでスッキリ。仕事への集中力も増します! 夕方老眼が防げて、作業がはかどるなんて、一石二鳥ですね。
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手もと作業中、10分に1回、遠くを見る対象として天井もうってつけ。交感神経のスイッチが入り、気分転換にもなります。
「水晶体は、膨らんだり、薄くなったりを繰り返していれば、硬直しづらくなります。それは体と一緒。ジーッと棒立ちするのはつらいけれど、ちょっと足を動かすなどしていればずっと立っていられますよね。目の水晶体も動かしながら使えば、楽でいられるのです」(梶田先生)。

40代の老眼初期の方はもとより、老眼がある程度進行した50代にも役に立つ「瞳ストレッチ」。人生100年時代を楽しむために、要ともいえる視力。水晶体やそれを動かす毛様体筋とは長いお付き合いになります。カラダを心地よく動かすために運動をするように、目も快適に使うにはストレッチが必要なんだと気づいた小田でした。

次回#2では、私のように老眼がある程度進んだ人で、夕方「手もとが見えづらく」なるのがどうしてなのか、その対処法をご紹介します。

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