美しきたたずまいの現代美術展。

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「ゲンダイビジュツ」って何かと押しが強くて苦手なほうですが、『ユージーン・スタジオ 新しい海』(~2/23、東京都現代美術館)は違いました。

展示作品は平面あり、インスタレーションあり、立体あり、映像ありとジャンルも様々です。

会場を一周して感じたのは、とにかく趣味のいい空間だということ。ぐいぐい迫ってきて覚醒を促すようなところがありません。色数は少なくトーンは淡く、柔らかい光と静寂が漂っています。

それらが音楽のようにたゆたい、こだまし、ふと湧いてくるというように、全体の流れと構成を練り上げる全方位的なセンスにしびれました✨

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ホワイトキューブが中心のモダンで無機質な美術館にいるにもかかわらず、体感では、美しい自然景の中にいるよう。それはおそらく、作品の色や質感と、壁の白、石、木、金属、ガラスといった美術館の建築要素の波長を精妙に合わせてあるからでしょう。シームレスな色と質感に包み込まれるような印象です。

展示前半がグレーのタイル敷きだったり、床の結界が無垢の金属バーだったり、可動壁のレールを白で覆ったりと、作品の「余白」作りが徹底しています。額装がカッコいいのはいわずもがなで、展示室内のベンチや係員のための椅子まで特別。同型ベンチのパーツの色が置き場所に応じて変えてあるのには恐れ入りました。。


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一部の作品は展示室外に展開されています。「よく見えないんですけど…」という正論もありましょう。しかし絶妙に許せてしまうのは、やはりシームレスな印象が強いから。その分、気づきにくくもありますが、宝探し気分で見つけてみてください。

お出かけになるのは、人の少ない平日がおすすめです。1日15人限定の『想像 #1 man』については、ぜひ朝イチに会場に入って鑑賞のご予約を。

配布されたハンドアウトはモノクロかと思いきや、部分的に特色の銀インク刷り。細かなところまで美意識が行き届いていました。「ユージーン・スタジオ」を率いる寒川裕人さんは平成生まれ。東京都現代美術館で個展を開いたアーティストとしては歴代最年少との由。
(編集B)
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