多彩な料理を優しく包んでくれる「エマズ ブロック ピノ・ノワール」【飲むんだったら、イケてるワイン】

ワイン&フードジャーナリストの安齋喜美子さんが、イケてる一本をご紹介する連載企画『飲むんだったら、イケてるワイン』。今回は、凝縮された果実味と清らかな酸味に癒される「エマズ ブロック ピノ・ノワール」をピックアップ。

前を向いて歩こう、人生の扉は開いている

RIPPON

エマズ ブロック ピノ・ノワール

ワイングラスに注がれた「リッポン エマズ ブロック ピノ・ノワール2017」

冬の夕暮れ、グラスを傾けていると、ふと心がやわらぐ。凝縮された果実味と清らかな酸味に、ゆっくりと癒されていく。かたわらにあるのは「リッポン エマズ ブロック ピノ・ノワール 2017」。ブルゴーニュとはひと味違う明るさとのびやかさが、ニュージーランドの大自然の中で育ったことを物語っている。

造り手はニック・ミルズ氏。ブルゴーニュの「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ」で修業したことと、ワインの優雅な味わいから“ニュージーランドのDRC”と称される。今でこそ、「父が開墾(かいこん)したこの土地を守りたいんだ」と屈託ない笑顔を見せるが、その人生は順風満帆ではなかった。かつてはスキーのナショナルチームに所属、長野オリンピックに出場予定だったが、突然の事故でその夢は絶たれた。絶望の中、彼の目に映ったのは氷河を抱いた山々と青く輝くワナカ湖、そして湖畔に広がるブドウ畑の風景だったという。

料理なら、ラムのローストや根菜の煮物などの和食に。ゆったりとした果実味が、多彩な料理を優しく包んでくれる。だが、このワインは迷ったり、疲れたときにこそ開けたい。ワインには造り手の思いがこめられているが、「リッポン」はそれが顕著。躓(つまず)いてしまったときでも、“彼”がそばにいれば安心。きっと、「扉は開いているよ」と語りかけてくれる。

リッポン エマズ ブロック ピノ・ノワール2017

ニュージーランド、セントラル・オタゴ地区。ピノ・ノワール100%。チェリーやラズベリー、スパイスの香り。しなやかなタンニンと美しい酸味。1974年創設の家族経営ワイナリーで、ビオディナミを実践。750㎖ ¥8,800/ラック・コーポレーション ※価格は2017年ヴィンテージのものです。

教えてくれたのは……
安齋喜美子

安齋喜美子

あんざい きみこ●多くの媒体で料理やワイン、お取り寄せ、旅、器などを幅広く執筆。国内外のワイナリーや醸造家取材も多数。近著に『ワイン迷子のための家飲みガイド』(集英社)。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
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