50代からの「株デビュー」10年後を見据えた資産運用

お金を増やしたいと思っても、超低金利が続いて、銀行にお金をおいているままではほとんど増えないもの。10年後も心にゆとりをもって人生を楽しむには、今や投資という選択肢もあたりまえの時代に。正しく取り組めば、お金を増やすことができる「株」に着目し、誰でも安心して"デビュー"できるよう、優しくわかりやすく解説!

 

教えてくれた人

公認会計士・税理士 足立武志さん

公認会計士・税理士 足立武志さん

足立公認会計士事務所代表。(株)マネーガーディアン代表取締役。資産運用に精通した公認会計士・税理士として、執筆、セミナー講師等で活躍。ベストセラー『ファンダメンタル投資の教科書』(ダイヤモンド社)等、著書多数。

 
①株ってそもそも何ですか?

ニュースや記事などで耳にして、なんとなく知っているつもりの「株」だけど、実はよくわかっていない人も多いかも。初歩の初歩から専門家に伺いました。

会社のオーナーになり、配当金や株主優待値上がり益をねらう

投資の代表格ともいえる「株」。「株を買うことは、その会社のオーナーになることなんですよ」と、資産運用に精通した公認会計士として活躍している足立武志さんはいう。「株を買って会社のオーナーのひとりになれば、会社が儲かれば配当金をもらえますし、会社独自のプレゼント(=株主優待)をもらえることも。さらに、株主総会に出席する権利を得られます」(足立さん、以下同)

会社のオーナーになるというと、ものすごい大金が必要なイメージだが……。「ほんの数万円で買える株もありますよ」と足立さん。

「基本的に100株単位で買うので、株価が500円なら、500円×100株=5万円で購入できます。例えば、ENEOSホールディングスは株価が442円なので(1月5日終値)、4万4200円で買えます。セブン銀行やオンワードホールディングス、りそなホールディングスなど、2~5万円ほどで買える株も意外とあります」

株でお金を増やす方法は、下のように主に2つ。

「値上がり益(キャピタルゲインともいう)と、配当金や株主優待(インカムゲインともいう)の2つです。値上がり益は、買った株価から値上がりして売って得られる利益で、株によっては5倍、10倍になるものも。例えば『日本M&Aセンターホールディングス』の株は、2012年からの9年間で、株価がおよそ50倍にまで大きく上昇。そのような株は、実は少なくないんですよ。また、配当金や株主優待に惹かれて株を始める人も増えていますね。値上がり益ほどのインパクトはありませんが、配当金は数千円~数万円ほど受け取れるケースが多く、おこづかいのように楽しむイメージです」

いろいろ考える前にまずは始めてみて経験を積んでみよう

株を始めようと思ったら、考えることはいろいろあるけれど、「まずは始めてみることが大切」と足立さん。

「株価が10倍などになればお金が大きく増えますが、そのように大きく伸びる会社は名前が知られていないところがほとんど。見つけることは初心者のかたにはなかなかむずかしいので、まずは知っている会社の株から始めてもいいでしょう。経験を積んで、チャレンジしてみたいと思ったら、大きな値上がり益を目ざしてもいいと思います。押さえるべきところをしっかり押さえれば、株はそれほど怖くありませんよ」

株でのお金の増やし方は、主にこの2つ

《1》買いたい人が増えれば儲かる! 値上がり益(=キャピタルゲイン)

イラスト1

株価が安いときに買い、高いときに売れば、値上がりした差額が「値上がり益」となる。「A社の株を、株価1000円のときに100株買い、値上がりして株価1500円のときに売った場合、10万円(1000円×100株)で買って、15万円(1500円×100株)で売ったことになるので、差額5万円が値上がり益になります(売買手数料を考慮せず)。値上がりが大きければ、また株数が多ければ、儲けも大きくなります」。

《2》株主へのお礼としてもらえる! 配当金・株主優待(=インカムゲイン)

イラスト2

株を保有していると、年に1~2回、配当金のほか、商品券や割引券、自社製品などの株主優待をもらえることも。「配当金は、会社の決算の際に金額が決められ、持っている株数に応じてもらえます。また、株主優待は、会社が株主へプレゼントや商品の割引を行うこと。ただし、配当金や株主優待の有無や内容は、会社によって異なります。業績により、減るか、なくなる場合もあるので要注意です」。

 
②最初は何をすればいいの?

誰でも安心して“株デビュー”できるよう、株の基礎知識にお答えします。

Q.いくらから買えるの?

A.今はすごく簡単! 数万円で買える株もあります!

株というと、何十万円、何百万円という大きなお金が必要だと思いがちだけど、実は数万円で買えるものもあり。「勉強代」だと思えるくらいの予算でもスタート可能。実際に試してみることで、身をもって勉強できるはず。
株はいくらから買えるの? 数万円で買える株もあります!

Q.証券会社に行かないとダメ?

A.今はスマホでも取引できます!

株の売買をするには、まずは証券会社の店舗に行かねばならないと思う人も。でも、ネット証券なら、口座開設も株の売買も、スマホひとつあればOK。思い立ったらすぐに始められる。手続きなどが不安なら、店舗型の証券会社で相談しながらでも。

Q.最初に何をすればいいの?

A.まずは口座開設からスタート!

「どんな会社の株がいいか」と調べたり考えたりすることも大事だけれど、いざ欲しい株が出てきたときに、すぐに買えるように、まずは証券会社の口座開設だけでも始めておこう。口座をつくるだけなら無料でできて、株デビューの大きな一歩に!

 
③株式投資「心得5カ条」

《心得その1》自分にとって無理のない、少額から始めよう。

資金があったとしても、初めて株を買うときは無理のない金額からスタートを。「いきなり大金で始めると、失敗したときの痛手も大きくなってしまいます。仮にリーマンショックのように大きな下げがあると、半分くらいになることも。『半分になってもいい』と思えるお金で始めましょう」。
株式投資「心得5カ条」自分にとって無理のない、少額から始めよう。

《心得その2》「絶対、儲けよう!」「1円も減らしたくない」と思わない。

「絶対に儲けたい」という気持ちで始めることは危険だそう。「株は常に値動きがあり、お金が増える可能性だけでなく、減るリスクもつきもの。“絶対”に儲けられるとはかぎりません。『1円も減らしたくない』と思わず、多少の損は受け入れ、増えたらラッキーだというくらいの気持ちで」。

《心得その3》株価を見て、“一喜一憂”しない。

スマホで株価がチェックできるので、今がいくらか、気になってしまいそう。「動く株価を見て一喜一憂しがちですが、これはNG。仕事や家事などが手につかなくなってしまうからです。今日明日の利益だけを考えず、少し長い目で考えて。株価に気持ちが左右されないように構えましょう」。
株価を見て、“一喜一憂”しない。

《心得その4》人の話を鵜のみにしない。

SNSや動画など、さまざまな人が情報発信できる時代。「世の中にあふれる情報は玉石混交で、信用できるものは数パーセントと考えていいでしょう。『この株が上がる』という情報もほとんどがあやしいもの。間違った発言に踊らされると失敗するので、惑わされないことが大事です」。
人の話を鵜のみにしない。
株価はいきなり上がったり、下がったりと予期せぬことが起こるもの。「突然の事態でも慌てないように、マイルールを設けましょう。どれだけ上がったら、または下がったら、売るのか、買うのか。自分なりのルールを決めてから始めれば慌てません。それが大きく失敗しないコツです」。
株式投資「心得5カ条」

株の売買で大切なことは自分の意思を貫く勇気

株を始めたら、大切なことは「大きな失敗をしないこと」と足立さん。

「大きく儲けようとすると、大きな損にもつながるので要注意です。無理のない少額から、多少の損は受け入れながら、ほかの人の意見に惑わされないように自分なりのルールをつくって始めましょう。

また、本能に従うと負けてしまうことも知っておいて。株価が下がったときに、売ると損を確定させてしまうので、売りたくなくなるのが本能です。でも『明日は上がるはず』と期待しながらずるずる下がり続けるのなら、早めに売ったほうがいい。迷うことのないように、例えば『10%下がったら迷わずに売る』などと事前に決めておきましょう。株の売買は本能に逆らうことも必要で、自分の意思を貫く勇気も大切です」

ポイント

「『短期間に大きく上がる株を知りたい!』と思わないことも大切です。自分の本能や主観に従うとたいてい失敗します。客観的な判断を心がけましょう」

 
④株の始め方

株の最初の一歩、口座開設は実は簡単!

株を始めてみたいと思ったら、株を買える環境づくりからスタート。まずは、証券会社の口座開設を。

「どんな株を買うかが決まっていなくても、証券会社の口座開設は無料でできるので、先にしておくといいでしょう。いざ株を買おうと思ったら、即行動に移せるからです。店舗で相談できる証券会社もありますが、今はスマホで簡単に取引できるネット証券が便利。株を売買する際の手数料も安めなのでおすすめです」

口座開設は手間がかかりそうだと心配しがちですが、それは昔の話。

「ネット証券なら、今はスマホひとつであっという間に口座開設ができてしまいます。HPで住所や名前、メールアドレス等を入力し、本人確認書類(運転免許証や健康保険証)やマイナンバーカード等を撮影してアップロード。メールや郵便で口座開設完了通知を受け取る流れが一般的です。手続きは数分で、口座開設までは数日~2週間程度でできます」

その口座開設の際に、言葉が独特ゆえ、多くの初心者がつまずきがちなのが、下記の2つのポイント。

「証券口座の種類を選ぶ必要があるのですが、よくわからないという声も聞きます。便利なのは、特定口座(源泉徴収あり)です。配当金の受け取り方法は4つありますが、株式数比例配分方式にするといいでしょう」

口座開設をしたら、必要な資金を入れて、あとは株を選ぶだけ。

「その際に、下記のように株の独自の用語が出てきてよくわからないこともあるかもしれません。ただ、一度でも株を売買すれば、ある程度わかってくるでしょう。まずは、実際に試してみることをおすすめします」

ネット証券ならこの5社!

楽天証券/SBI証券/マネックス証券/松井証券/auカブコム証券

自宅で口座開設手続きができ、スマホで簡単に取引でき、手数料が低めな「ネット証券」がおすすめだそう。「上記はネット証券の大手5社です。手数料にそれほど大きな差はないので、HPなどを見て気になる会社で始めるといいでしょう」。

口座を開くときの2つのポイント

❶「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶ

❷配当金の受け取りは「株式数比例配分方式」を選ぶ

口座を開く際には、まず“源泉徴収ありの特定口座”を。「税金関連の手続きを証券会社が行ってくれます。配当金の受け取りは“株式数比例配分方式”にすると、株の売却損と配当金を証券会社が自動で相殺してくれます」。

NISA口座って何?

NISAとは、少額投資非課税制度のこと。「株などで利益が出たり、配当金をもらったりしたら、通常約20%の税金がかかります。ところがNISA口座で売買すれば、この税金がかかりません。年ごとに一般のNISA(年間120万円まで、5年間)か、つみたてNISA(年間40万円まで、20年間)のうちどちらかひとつを選べます。ただし2024年に制度改正があり、特に一般のNISAは少々複雑になるため、よく調べてからにしましょう」。
株の最初の一歩、口座開設は実は簡単!

始める前に、知っておきたい「株」の用語解説

会社四季報
上場企業の事業内容、最近の概況、業績、財政状態、株主の状況などといった、株式投資に役立つ情報がまとまった書籍。年4回、毎年3月、6月、9月、12月の中旬に発行される。多くの個人投資家が用いる、株式投資のバイブル。

日経平均株価
日本経済新聞社が東京証券取引所第一部に上場する銘柄から225銘柄を選び、その株価をもとに算出した指数。年に1回見直しがある。

指値(さしね)注文
株の売買の際、売りたい値段、買いたい値段を指定して注文すること。売買の「価格」を重視した注文方法。

成行(なりゆき)注文
売買希望の値段を指定せずに注文すること。売買の「成立」を重視した注文方法。

損切(そんぎ)り
買ったときの株価より下がったときに(今後上がる見込みが低いと考え)、損を出した状態で売ること。

損益通算
株の売買による利益&損失や配当金のプラスとマイナスを相殺すること。利益には(NISA口座でない場合は)約20%の税金がかかるが、損失と相殺することで税金を減らせる。

国内株の取引時間
平日9時~11時半、12時半~15時。注文はいつでも出せるが、取引はこの時間内に行われる。

ポイント

株を売買するときには、独自の言葉がよく出てきます。最初は知らない言葉ばかりかもしれませんが、取引していくうちに、慣れていきますよ。

 
⑤株の買い方&売り方

株価チャートを見れば売買の時期がわかる

買ってみたい株があったらどう考えたらよいか、その基準は?

「下記の図の流れで考えましょう。証券会社のHPにある株価チャートを見て、株価が上昇トレンドか、下降トレンドかをチェック。下降トレンドや横ばいのときは、買ってから下がる可能性があるので避けて。買うべきは、上昇トレンドのときです」

買った株を売るときも、株価チャートを見ながら判断を。

「上昇中は『早く売って利益を出したい』と思いがちですが、その後3倍、5倍と伸びたらもったいないこと。上昇トレンドのうちは保有し、下降トレンドになったタイミングで売るのがおすすめです。また、上がると思って買った株も、下がって“含み損”が出てきたら、事前に決めた損切り価格(例:10%下がった金額等) に下がったタイミングで売りましょう。これらの判断のため、株を買ったあとも、トレンドがどちら向きか、ときどきチェックしておきましょう」

株の売買の基準はこう考えよう

【買いの場合】

株の売買の基準はこう考えよう
買いたい株が見つかったら、株価チャートを見ながら判断を。「上昇トレンドになり、すぐのタイミングで買うのがベスト。ただし、上昇中でも短期間に安値から5倍、10倍のスピードで大きく上昇していれば、会社の実態以上に株価が上昇している可能性が高いので、買うのは見送るのも手。買ったあとはトレンドの変化がないか、定期的にチャートの確認を」。

【売りの場合】

株の売買の基準はこう考えよう 売りの場合
売るかどうかは、まず“含み損”の確認を。「買った株価よりも下がり、損が出ている状態の“含み損”があれば、事前に決めた損切り価格まで下がったら売却を。含み損がなければ、下降トレンドになってすぐ売るのがベスト。上昇中なら保有したいですが、大きく上昇すれば一部を売ってもOK」。
※参考文献/足立武志著 『ファンダメンタル投資の教科書』(ダイヤモンド社)

実際の株価チャートを見てみよう!

実際の株価チャートを見てみよう!

ソニーグループ(6758)

※出典/楽天証券ホームページ(’22年1月5日時点) 株価チャートを見ると、トレンドがわかる。「上のように長期間上昇しているものや、短期的に上がってまた下がるものも。ぜひ売買の参考にしましょう」。

ポイント

「話題のモノやサービスを販売しているから」「有名な会社だから」といっても、株価が上がり続けているとはかぎりません。チャートの確認は大切です。

株価のトレンド

株価のトレンド
※参考文献/足立武志著 『ファンダメンタル投資の教科書』(ダイヤモンド社)

 
⑥初心者のための「株」の選び方

目ざすコースによって株を選んでいこう

いざ株を選ぶときに、初心者が失敗しがちなことが、会社のイメージだけで飛びついてしまうこと。

「よく耳にする会社でも、今は業績が下がっていることもあるので要注意です。値上がり益か、配当金・株主優待か、それぞれの目的に合わせてしっかりリサーチを」

まず、値上がり益をねらうには、“業績チェック”がマストだそう。

「株価は過去の結果ではなく、将来の業績を織り込んで動くものなので、将来の見込みも確認しましょう。売上や利益が年々増加し、今後も増加が見込まれる会社の株である“成長株”を探して。株の上昇が期待できます」

もうひとつ、配当金や株主優待を楽しむ場合も、戦略が欠かせない。

「配当金や株主優待を出す会社は、事業が成熟していて、今後大きな成長は期待できないケースもあります。万一株価が大きく下がると、株主優待があってもお得にはなりませんし、配当金や株主優待がなくなる場合も。業績が下がり続けていないか、念のため確認しておきましょう」

株を始めると、興味関心が広がることもメリットだと足立さん。

「世の中のニュースにアンテナが立ち、スルーしていた分野のニュースに目をとめるようになるはずです。お金だけでなく、好奇心や知識が増えることも魅力ですね」

“大きく増やしたい”あなたは……「値上がり益」をねらうコース

“大きく増やしたい”あなたは……「値上がり益」をねらうコース

業績をチェックし、“成長株”を探せ!

値上がり益をねらうなら、決算書で、過去の実績と将来の見込み確認がマスト。「決算書は、企業や証券会社のHPで確認できますし、年4回発行される『会社四季報』もおすすめ。たくさんの企業の比較ができます。見るべきポイントは、過去3年以上、売上高や利益が増加を続けているか。さらに、当期以降もそれらが増加する見込みか。『売上高』『営業利益』『経常利益』『純利益』『1株益』の伸びをチェックしましょう」。
メドピア(6095) ※出典/「会社四季報」’22年新春号(東洋経済新報社刊)
メドピア(6095) ※出典/「会社四季報」’22年新春号(東洋経済新報社刊)

ポイント

配当が減っていない会社もねらい目です。イメージだけで飛びつかずに、しっかり調べてから買うことが大切。

今、注目したい“成長株”はこちら!

足立さんのアドバイスをもとに、過去3年以上売り上げや利益が増加していて、当期以降も増加の見込みがある企業を編集部がピックアップ。
※特定の銘柄を推奨するものではありません。投資の際はご自身の判断・責任でお願いします。※株価は’22年1月5日の終値。

PR TIMES
プレスリリースやニュースリリースの配信サイトを運営。
株価 2,861円
購入最低価格 286,100円


メドピア
医師向けの情報サイトを運営、法人向け医療相談や特定保健指導も。
株価 3,325円
購入最低価格 332,500円

MonotaRO (モノタロウ)
工場や工事用間接資材のネット通信販売を行う。個人向けの販売もあり。
株価 2,026円
購入最低価格 202,600円

ケアネット
医師向けの医療ニュースをタイムリーに配信。スタートアップ企業への支援も。
株価 979円
購入最低価格 97,900円

ロードスターキャピタル
ITを活用した不動産投資サービスを展開。クラウドファンディングも扱う。
株価 969円
購入最低価格 96,900円

ベネフィット・ワン
企業や官公庁の福利厚生・健康診断の運営代行サービスを主に行う。
株価 4,310円
購入最低価格 431,000円

 

“コツコツ楽しみたい”あなたは……「配当金・株主優待」をねらうコース

“コツコツ楽しみたい”あなたは……「配当金・株主優待」をねらうコース

自分が楽しめる株を選ぼう

配当金や株主優待をもらえればうれしいものだが、注意点があるそう。「いい株なら、あまりにも高い配当利回りのまま放置されることはないはずなので、“配当利回りランキング”の上位銘柄を鵜のみにしないようにしましょう。株主優待は、会社から個人投資家にプレゼントを贈り、長期保有を促すのが主な目的です。自分が実際に使えるような株主優待がある会社を選べば、株の楽しさが広がりますね。ただし株主優待や配当金は、業績によって内容が変わることも。業績をときどきチェックすることが大切です。業績が下がり続けると株主優待が改悪・廃止になる場合もあるので、いざとなったら売ることも視野に」。
証券会社のHPの「株主優待」コーナーで検索もできる。
※出典/楽天証券ホームページ(’22年1月5日時点)
証券会社のHPの「株主優待」コーナーで検索もできる。「証券会社によっては、“10万円以下の銘柄”“旅行”などと条件を選んで、株主優待を探すこともできます」

ポイント

優待の内容がよくても、株価が下がったら実質的には損をすることも。また、優待の内容が変わることもあるのでご注意を。

読者に聞いた!アラフィーが楽しんでいる株主優待はこちら!

エクラ読者が楽しんでいるのはどんな株主優待? 旅行、化粧品、レストラン、百貨店など……読者アンケートでリサーチ。
※あくまでも体験談としての紹介で、特定の銘柄を推奨するものではありません。 投資の際はご自身の判断・責任でお願いします。また、株主優待の内容は変更される場合もありますので、当該企業や証券会社等のHPで確認してください。

ANAホールディングス
半年に1回、ANAの株主優待券がくるので、大好きな北海道へプレミアムクラスに乗って行っています。(Y・Iさん/53歳)

ひらまつ
ひらまつ系列のホテルやレストランが10%割引に。500株以上持っていると、20%割引になるのがうれしいです。(A・Oさん56歳)


東急不動産ホールディングス
東急系のリゾートホテルなどに優待料金で宿泊できます。『箱根翡翠』もよかったですよ。(G・Kさん50歳)


イオン
100株持っていると、イオンでの買い物金額に対して、半年に1回3%分のキャッシュバック。わが家では、年間1万円以上の現金を受け取っています。(M・Nさん46歳)


ユナイテッドアローズ
年1回、15%オフになるチケットを100株で2枚もらえます。セールにならない商品のほか、ドゥロワーでも使えるので重宝。(S・Sさん/54歳)


アサヒグループホールディングス
毎年、株主特製ビールが送られてくるのが楽しみ!(Y・Mさん54歳)


ミルボン
株数に応じてポイントがもらえ、ヘアケア商品と交換。思いがけないプレゼントのようでうれしい。(R・Iさん/50歳)


ファンケル
3000円分の化粧品やサプリメントを毎年いただいています。ファンケル銀座スクエアに行って選ぶこともできるので楽しい!(N・Nさん49歳)


三越伊勢丹ホールディングス
デパートが大好きで、株主優待で10%オフになるので長年愛用。セール品でも使えるし、デパ地下のお総菜やお菓子もOK。デパートをよく使う人におすすめです。(O・Mさん47歳)


ヤーマン
株主優待割引券が届きます。3年ほど持っているので、通常5000円のところ、継続保有で1万円の優待券に。ミーゼのスカルプリフトをねらっています。(U・Kさん48歳)

 
⑦株投資しているアラフィーに聞いてみた

株に投資するとどうなる?実際に「株」投資している二人のアラフィーに聞いてみました。買った理由やどれくらい増えているのか、リアルなところを調査しました。

応援したい会社の株を買い、配当金が5万円以上に

応援したい会社の株を買い、配当金が5万円以上に【アラフィーの株事情】
Y・Aさん(会社員/53歳)

株の投資歴…6年
株の総資産額…約60万円

保有している株
ENEOSホールディングス/オリックス/みずほフィナンシャルグループ

株を始めたきっかけは株主優待を楽しむ友人

6年ほど前に、友人の話がきっかけで資金10万円で株を始めたYさん。

「友人がビックカメラの株主優待で買い物をしたり、オリエンタルランドの優待でディズニーリゾートに行ったりと楽しそうで、株に興味をもちました。預金金利が低くてお金が増えないし、雑誌や書籍を見て株に挑戦することにしました」

Yさんも同じくビックカメラの株を購入し、3万円のプラスが出て売却。

「購入後、数年たって株主優待を使う機会がなくなったこともあり、株価が上がっていたので利益を確定しました。さらに、配当金が多いみずほフィナンシャルグループが気になって、株価が下がったときに次々に買ったのですが、株価が下がってしまって……。配当金はもらっていますが、現状ではマイナスです」

コロナショックの際、「これは逆にチャンス!」だと思ってENEOSホールディングスとオリックスを購入。
「その後どんどん上がり、現在は両方ともプラスになっています。オリックスは株主優待でカタログから好きなものを選べるのも楽しいです。現状はプラスとマイナスの株があってトントンですが、配当金を合計約6万円もらえましたし、株主優待もあるので、何もせずお金を増やせている実感があります。私の場合は短期的に売買して利益を出そうとすると失敗しそうなので、応援したい会社の株や、配当金や優待を受け取り続けてモトがとれる株を選ぶスタンスです。株をするようになって、世の中の動きに少しずつ関心が出てきたこともよかったです」
応援したい会社の株を買い、配当金が5万円以上に

投資金額を徐々に増やし、配当金等で楽しむ

6年間で、株への投資資金は10万円から60万円に。「途中で売ったり、資金を入れて買ったりしています。値上がり益はあまりなくても、配当金と株主優待でプラスになってうれしい。今持っている株は、すぐにお金を使う予定もないので、配当金をもらいながら少し寝かせます。コロナショックなど、大きく値下がりしたときはチャンス。今後大きな下げがあれば、また違う株を買うかもしれません」。

 

配当金は次の株の購入資金に。社会の動きがわかるようになりおもしろい!

配当金は次の株の購入資金に。社会の動きがわかるようになりおもしろい!
I・Sさん(自営業/47歳)

株の投資歴…20年
株の総資産額…約800万円

保有している株
アサヒグループホールディングス/サンリオ/ 日産自動車/タカラトミー/ロック・フィールド/ 武田薬品工業/イオン/ドトール・日レスホールディングス/アイザワ証券グループ/ほか

株主優待も楽しんでいます!
サンリオ
サンリオピューロランド等の優待チケットのほか、直営店等で使える買い物優待券も。
タカラトミー
おもちゃの割引チケットやトミカがもらえる。特に子供が小さかったころは重宝!
ドトール・日レスホールディングス
100株で1000円のプリペイドカードがもらえ、今は500株持っているので5000円のカードを。よくドトールに行くのでうれしい。
イオン
持っている株数によって、イオン利用金額の3~7%がキャッシュバック。

大きな下落も経験しつつ、300万円以上のプラスに

Iさんの株歴は20年。出産して仕事から離れていたときに、資産運用でお金を増やせないかと思って、株を始めたそう。

「独身時代に貯めた50万円でスタート。株主優待でサンリオピューロランドに行けることに惹かれてサンリオを購入。四季報を見て、経営内容が健全だと思い、株主優待や配当にも惹かれてアサヒグループホールディングスを買いました」

2つとも値上がりし、資金を追加して買い増ししたり、利益が出たら売ったりしつつ、新しい株もリサーチ。

「デパ地下でよくお総菜を買うので、ロック・フィールドを、社長の記事を見て経営理念がいいなと思ってアイザワ証券グループを、株主優待に惹かれてイオンを買いました。でも、リーマンショックの大きな下落に耐えられず売却。その後、徐徐に株価が回復し、『経営がしっかりしている会社なら、下がっても復活すること』を身をもって学びました。好きな株主優待がある株を中心に、再び買いました」

今は、Iさんが好きな商品・サービスを扱う会社の株価チャートや業績をチェックし、売買を考えているそう。

「この20年間では、マイナスになった株もありましたが、トータルで考えると、値上がり益で350万円くらいプラスです。さらに、配当金が年5~10万円入っていて、次の購入資金になるのでうれしい。株主優待でいろいろな経験ができるのも楽しいですし、社会のモノやお金の動きがわかっておもしろいですね。少額からチャレンジしてみるのもおすすめですよ」
大きな下落も経験しつつ、300万円以上のプラスに

リーマンショックを経験し、株から離れた時期も

約20年前の50万円から、合計400万円の資金を投入し、現在は800万円の大きな資産に。「リーマンショックでは、どんどん下落していく株価を見て本当にショックでしたが、時間がたてば回復することを学びました。コロナショックでは慌てて売ることはなく、むしろ『欲しかった株が安くなって買えるチャンスだ』と。株の本を読んだだけではわからなくても、実際に売買するとわかることがありますね」。

50代からの株式投資
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