胃不調の原因のひとつ「機能性ディスペプシア」とは? 発生原因から治療法まで

胃の不調はあるのに、検査をしても異常が見つからない……。こんな状態が「機能性ディスペプシア」で、今、この病気を抱える人がアラフィーにも急増中。この病気になってしまうメカニズムや治療法を兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生が詳しく解説。
兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生

兵庫医科大学副学長 三輪洋人先生

兵庫医科大学病院副院長・消化器内科 主任教授・診療部長・内視鏡センター長。医学博士。専門は消化器内科一般、上部消化管疾患。著書は『胃は歳をとらない』(集英社)など。

検査しても、異常なし! なのに胃は絶不調…

【原因】自律神経の乱れ▶︎▶︎▶︎機能性ディスペプシア

正常な胃はこう動く

《1》ためる

正常な胃の動き①《 ためる 》

《2》混ぜる

正常な胃の動き②《混ぜる》

《3》送り出す

正常な胃の動き③《送り出す》

胃に飲食物が入ると上部が膨らんでたまる。すると胃液が分泌され、同時に蠕動(ぜんどう)運動が起こって飲食物が胃液と混ざりながら粉砕され、粥状になると出口の幽門(ゆうもん)に送り出される。

→自律神経が乱れると

《ためる、送り出すが不全に》

《 ためる、送り出すが不全に 》

《さらに知覚過敏まで!》

《 さらに知覚過敏まで! 》

ストレスなどによって交感神経が優位な状態が続くと、飲食物が胃に入っても上部が膨らみにくくなったり、蠕動運動が鈍くなったりするので早期満腹感や胃もたれが起きる。胃が知覚過敏になって、胃酸の分泌や胃の収縮を痛みと感じることも。

自律神経の乱れで消化活動が抑えられ、不調が発生

機能性ディスペプシアと診断されるのは、どんな場合かをまず知っておこう。

「機能性ディスペプシアの診断の基準は、内視鏡検査で、胃にびらん(ただれ)や、炎症、潰瘍、がんなどの異常はないのに、胃が痛い、重いなど不快な症状が続く場合です。症状が週2〜3回以上、1カ月以上続くなら、機能性ディスペプシアと考えられます」

この病気の原因には、>>「胃の不調の原因」記事で紹介したように自律神経の乱れが関係。

「通常は食事をして胃に食べ物が入ると、胃の上部が膨らんで胃酸が分泌され、胃が波打つような蠕動運動をして食べ物を細かく砕きながら胃の出口に運びます。でも、ストレスなどで交感神経が過剰に優位になると、この消化活動が抑えられます。胃に食べ物が入っても上部が膨らまないので食べはじめてすぐ満腹感を感じたり、蠕動運動が鈍くなって胃に内容物が長くとどまり胃もたれが起きたりします。また、胃の知覚が過敏になって、胃酸の刺激や胃の収縮を痛みと感じることもあります」

ただ、現在は薬などで治療が可能に。治療法は下記をチェック。

「機能性ディスペプシアは、早食い、よく噛まない、食事の時間が不規則という習慣がある人に多く見られます。また、食べすぎたときや、脂っこいものを食べたときに症状が出やすいので、こんな習慣の見直しも不可欠です」

治療法は?

「機能性ディスペプシアの治療には、『アコチアミド』などといった胃の運動機能を助ける薬が用いられます。この薬を服用すると、胃の上部が膨らむようになったり、蠕動運動もスムーズになり複数の不調を改善できます。また、胃の知覚過敏で胃酸の刺激を痛みと感じる場合には胃酸分泌抑制薬を用いたり、ストレスを緩和する抗不安薬や抗うつ薬のほか、胃の働きを活発にする漢方薬を用いることもあります」

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