日本の祭祀を後世に残したくて「神道文化」の知識を得たかった
相川七瀬さん(47歳)
あいかわ ななせ●’75年、大阪府生まれ。’95年、「夢見る少女じゃいられない」で歌手デビュー。絵本や小説、神社や世界の聖地に関するエッセーも執筆し、’12年から赤米大使としても活動。20歳、14歳、9歳の3人の子供の母でもある。
アーティスト、妻、3児の母。そこに2年前、大学生という肩書が加わった相川七瀬さん。現在、國學院大學神道文化学部3年に在籍し、神道や日本の伝統文化について学んでいる。
神道に興味を抱くようになったのは、10年ほど前。ライブで訪れた地で、古来大陸から伝わった赤米(あかごめ)の文化を伝承する「赤米神事」を知り、感銘を受けたのがきっかけだった。
「子供のころから神社やお祭りが好きでしたが、ツアーで全国をめぐるうちに、その土地ならではの民俗文化があることに興味を抱いて。そんなときに、赤米神事を知り、心を打たれたんです」
当時すでに継承者不足で存続が危ぶまれていた赤米神事だが、「これは、後世に引き継ぐべき日本の文化」と思った相川さんは、早速、行動を開始した。神社の宮司や地元の人に話を聞き、文献を読むなど、赤米神事について学ぶ一方、普及のために講演やイベントにも参加。そうするうちに、「多くの人に賛同してもらうには、まず自分自身が、神道の知識をきちんと身につける必要がある」と、実感したという。
「最初は、科目履修生として、國學院大學で講座を聴講することから始めました。それが、楽しくて、楽しくて、しかたがなかった! 知れば知るほど、神道って奥が深いな、神事って魅力的だなと。それで、大学で本格的に学びたいと思うようになったんです」
相川さんは、芸能界入りのため、高校を中退している。大学を受験するには、まず高等学校卒業程度認定試験に合格する必要があった。仕事と家庭、ただでさえ多忙な身だ。「無理をせず、やり遂げられるように」と、最初から2年がかりでの合格を目標に設定し、家庭教師をつけて基礎から学びはじめた。そして、予定どおり2年で合格し、翌年、大学の入試にもパス。45歳にして、晴れて大学生に。
「同じ年の4月、長男は大学生、次男は中学生になりました。つまり、3人とも、同じ時期に受験生だったということ。息子たちに『勉強しなさい!』というかわりに、『(お互いに)勉強しようか』という言葉がけができたのは、よかったですね。『みんなでのりきった』という気がしています」
大人の学びは“逆回転”。得た知識が、過去の経験と結びつき、より深まります
大学進学の副産物はほかにも多々ある。「何を学ぶにも、ベースになるのは国語力」と、母国語の大切さを再認識し、一般教養を通じて、エクセルやパワーポイントといったパソコンスキルも習得。レポートはもちろん、講演会の資料づくりなどフル活用している。
「どの授業も、自分が学びたくて選んでいますし、貴重な時間とお金を費やしていますからね。『単位がとりやすそうだから、とりあえず』みたいな“捨て授業”は、ひとつもなくて、すべて身になっています。
それに、授業で得た知識が、過去の経験とカチッとつながることがあるんです。私の場合、先生の話を聞いて、『ああ、だから、あの神社とあの神社が結びついていたんだ』と、実際体験してきた神事と結びついたり。若い人は、大学で学んだことを、あとから、『あのときのこれは、こういうことだったのか』と気づくのだとしたら、私たち世代は逆回転。でもそれが、今の学びを、より深いものにしてくれるような気がしています。この年代での学びって、けっこうお得ですよ」
「神道を学ぶには、古事記と風土記は必読書! 何度も読み返しています」という相川さん。すでに卒論のテーマを「赤米神事」に決め、多数の関連書籍にも目を通している
予習・復習は、仕事の移動中や、末っ子の習い事の待ち時間といった“すき間時間”を活用。「勉強を始める前は、その時間を何に使っていたんだろうと不思議になるくらいです」
テキストのあちらこちらに付箋がはられ、書き込みされているなど、“猛勉強の痕跡”がくっきりと
学びは、社会とのつながりを途絶えさせないためのものでもあるのかもしれません
相川さんが大学に入学したのは、新型コロナウイルスの蔓延で、全国一斉休校の措置がとられたころ。特に大学は制限が厳しく、この2年間、授業はリモート中心だったという。
「でも、忙しい身には、通学せずに勉強できるのは、むしろありがたかったですね。オンデマンドの授業は、自分の都合に合わせて受けられましたし、何度も見返すことができましたし」
クラスメイトと実際に顔を合わせる機会はほとんどなかったが、オンラインでのグループセッションなどを通じて知り合い、レポートや授業についての情報交換をすることも。
「親子ほどの年の差があるけれど、みんなフラットに接してくれます。人生や仕事についての悩みを相談されることもありますが、そのときは、一応大人としてアドバイスしたりして(笑)」
ただし、若い世代との“歴然とした差”があるのが記憶力。
「私、耳で聞いただけでは全然ダメで、ノートに書き、図解をし、繰り返し読んで、ようやく覚えられるんです。でも、そうやって記憶できたときの喜びは、ものすごく大きい。『まだまだイケる!』って、うれしくなっちゃいます。それに、だんだん覚える速度が速くなってきたんですよ。『年だから覚えられない』と、自分でかけていたリミットが、『覚えないといけない!』という状況におかれることで、はずれたのかな。忘れるのも早いけど(笑)」
「勉強は、学校を卒業したら終わりではなく、続けることが大切だと思うようになりました。一度身につけた知識を、そのまま置いておいては、古びていくだけ。講義を聞く、本を読む、ネットで情報を仕入れる。どんなかたちでもいいので、新しい情報を入れてアップデートしないと、もったいない! 私のまわりには、70代、80代でも、積極的に情報をアップデートしている先輩がたがたくさんいて、皆さん、すごく輝いているんです。学びは、社会とのつながりを途絶えさせないためのものでもあるんでしょうね」
大学卒業後は大学院も視野に入れ、勉強を続けたいと、相川さん。
「神道には、神さまに歌や舞を奉納する神楽というものがあるのですが、それは芸能の原点で、私たちアーティストは現代版神楽なのかもしれません。そう考えると、なんだか不思議な縁を感じます。これからも、神事、そして、歌うことを通して、社会に何か還元できたらいいなと思っています」
’16 年 國學院大學の科目履修生となり、学位をとるための勉強を始める
’17 年 大学で神道を学ぶことを決意。高等学校卒業認定試験合格を目指し、
家庭教師について、基礎から学び直す
’19 年 高校認定試験に合格
’20 年 國學院大學 神道文化学部に入学
’24 年卒業予定
「終活」や「夫婦関係」など、今の興味を副業に生かしたい
「昨年4カ月間で、4つの資格を取得しました。どれも、将来の開業を視野に入れて選んだものばかりです」という春日理奈さん。
35歳で離婚して以来、家計を支えるために仕事に邁進してきたが、ここ数年で、ふたりの子供が独立。コロナ禍も重なり、働き方を見直したとき、頭をよぎったのが、「雇ってくれる先が見つからなくなったらどうするのか」「興味のある分野で、人の役に立つ仕事がしたい」という思い。それらが、「資格を取得し、いずれ開業」という目標につながった。目ざすのは、終活や夫婦問題などを統合的にカウンセリングするサービスの提供だ。
「昔から、友人に悩みを相談されることが多く、私自身も心の問題に関心がありました。40代半ばでヒプノヒーリングセラピーと出会い、自分の内面と向き合うことで、心が満たされ、ポジティブになれるということを、身をもって体験したのも大きかったですね」
昨年春、親族の介護のために退職し、時間に余裕ができたことから、通信教育を受講。一日3~6時間勉強し、行動心理士、夫婦カウンセラー、マネーライフプランナー、終活ライフケアプランナーの資格を、立て続けに取得した。
「最期(さいご)を迎えるとき、多くの人が後悔するのは、『チャレンジしなかったこと』だそうです。人生100年といいますが、自分が思うように動ける期間は、意外と短いもの。やりたいことがあるなら、思いきって飛び込んだほうがいい。それを今、実感しています」
介護が落ち着いた昨冬、春日さんは再就職。まずは、安定した収入を確保しながら、副業でカウンセリング業を始め、独立の道を探りたいと話す。
「コーチングやアロマセラピーなど、まだまだ学びたいことはたくさんあります。自分の興味や関心があることを学べるのは、とても楽しいし、幸せなこと。これからも、チャレンジしつづけられる自分でいたいと思います」
「終活ライフケアプランナーでは、人生じまいに必要な知識や心構え、制度を、マネーライフプランナーでは、老後資金のつくり方や公的保障などを、夫婦カウンセラーでは、夫婦仲の改善や卒婚、離婚について学びました。行動心理士やヒプノヒーリングセラピーは、カウンセリングの際の参考になります」という春日さん。
’18年 ヒプノヒーリングセラピーの講座を3カ月間受講し、セラピストの資格を取得
’21年 会社をやめたタイミングで通信教育を受講。それぞれ3カ月コースだったが2~3週間ずつ、集中して勉強し、5月に行動心理士と夫婦カウンセラーを、7月にマネーライフプランナーと終活ライフケアプランナーの資格を取得
30年ぶりに「書道」を再開。師範を目ざし、将来は教室を
23歳、18歳、12歳の3人の子をもつ横山希世さんが、学び直しを始めたのは5年前のこと。第3子の小学校入学を機に、短大の通信課程に入学し、幼少期に習っていた書道も再開した。
「今の教室では、かなも教わっていますが、それが楽しくて、レッスンが待ち遠しくてたまりません。生徒は大先輩ばかりですが、皆さん親切で、いろいろ教えてくださるんですよ。そんな仲間ができたこともうれしいですし、生活に、新たな張りも生まれました」
もっとも、その教室を選択したのは、かなに惹かれてではなく、「通える日時」を優先してのこと。短大の通信課程も、同じ理由で選んだという。
「末っ子が小さかったので、私が自由にできる時間は限られていました。それでも、何か学びたい、自分だけの世界をもちたいという気持ちが強くわいてきて……。上の子たちのママ友が、子育てが一段落したのを機に社会復帰していくのを見て、なんだか取り残されていくような気がしたんです」
一番大切なのは家族。そう思い、15年以上、専業主婦として家庭を軸にしてきたが、その生活は、子供の成長に伴って少しずつ変化してきた。
「子供たちが巣立ったあと、自分に何が残るんだろう。どう生きていきたいんだろう。漠然とですが、そんなことを考えるようになってきました。それが、もう一度勉強してみようという気持ちにつながったのかもしれません」
書道を習いはじめて5年目、検定試験を受け、展覧会にも出品するなど、着実に腕を上げている。
「目標は、師範の資格取得。道のりは長いですが、70歳くらいでとれたらいいなという気持ちでいるので、焦りはないです。それで、いつか自宅で書道教室を開けたらうれしいですね」
エクラ世代での学びは、今の自分に充実感をもたらすだけでなく、将来の夢や希望も運んでくれるようだ。
自分の作品の中でお気に入りのものは額装し、リビングに飾っている。「見ると、気分が上がります(笑)」
「硯(すずり)や筆などは入門セットでそろえましたが、篆刻(てんこく)印は、先生にご紹介いただいたお店でつくりました。道具は知れば知るほど奥が深いのですが、高価なものは上達するまでお預けです」
’17 年 自由が丘産能短期大学通信教育課程(国際コミュニケーションコース)に2年間通う
’19 年 保育園で働きはじめたのを機に、独学で保育士の勉強を始める
’21 年 保育士資格を取得
’17 年~月に2回、書道教室受講中。検定試験も受け、現在、漢字準4段、かな3段、硬筆6段、臨書準4段
40~50代での「学び直し」についてのアンケートにエクラ読者349人が回答。何がきっかけで、何を学び、何を得て、何が大変だったか。結果はいかに!?
「現在学び中」と「過去5年間に学んでいた」を合わせると60%近くと、学び意欲旺盛という結果に。ジャンルの違うものを同時並行で学んでいる人も少なくなかった。「NO」の人も、今後学びたいものや気になっている資格があるなど、学びへの関心は高いよう。
書道・茶道・華道/俳句・金継ぎ・油絵/クラシックギター・バイオリン・ピアノ・篠笛/バレエ/ボイストレーニング/着付け/薬膳料理など
ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタント/MOS/カラーコーディネーター/絵本専門士/整理収納アドバイザー/動物介護士/日本語教師/臨床心理士/野菜ソムリエ/登録販売者/宅建士/ワインエキスパート/ケアマネージャー/校正士/手話通訳士など
心理学・ジェンダー学・考古学・演劇学・介護福祉学/英語・フランス語・イタリア語・韓国語・中国語/占星術など
定番から、ちょっとユニークなものまで、バラエティ豊か。仕事に役立ちそうな資格の勉強をしている人が多いのは、子育て一段落で再就職を考える人も多い世代ゆえかも!?
「部下のケアやマネージメントに役立つと思い、メンタルヘルスを学びました。エクラ世代と今の若者のメンタルの感覚は、まったく違うので(笑)」(会社員・48歳)
「ショパンコンクールの配信を見てピアノが弾けるようになりたくなって」(会社員・53歳)
「時間とお金に余裕ができたので、子供のころから憧れていたバレエにトライ」(会社員・52歳)
「コロナ禍で外出しなくなり、今後を考える時間ができたので、語学アプリを利用してイタリア語を習っています」(主婦・51歳)
「常に現役でいられるように! 社会の波に乗り遅れないためには、新しいことを学び続け、自分を
充実させることが大切」(フリーランス・51歳)
「定年後も働きたい。それには、スキルや資格が必要と思い、宅建の勉強を始めました。アラフィーの今なら、脳もなんとかがんばってくれそうだし(笑)」(会社員・50歳)
「一緒に学んでいる人が、年代も職業もさまざまで、いろいろな価値観に触れることができ、いい刺激になった」(公務員・53歳)
「カメラ教室に通っていますが、何を習っても奥が深く、やっぱりプロはすごいと、毎回感心しています。知れば知るほど興味がわくし、撮影のために、いろんな場所に出かけるように。カメラのおかげで、日々の生活に張りが出ました」(講師・58歳)
「資格をとることが目的ではないけれど、検定というゴールがあるのは達成感があって楽しい」(会社員・48歳)
「ストレス発散できる」(会社員・53 歳)
「英会話はずっとコンプレックスで、いつか克服したいと思っていた。少しずつだけど上達を実感でき、自己肯定感が増した」(講師・45歳)
「記憶力が……」(自営業・46歳)
「コロナ禍で、すべてリモートに。ふだんパソコンを使っていないのでその扱いに苦戦」(パート・56歳)
「課題や予習復習のため、家事がおろそかになってしまった。娘や夫に迷惑をかけてしまったけど、ふたりの家事能力が恐ろしく上がったので、結果的にはよかったのかも(笑)」(学生・56歳)
「一日48時間欲しい! 時間が足りない!」(主婦・48歳)
キャリア・デベロップメント・ アドバイザー いぬかいはづきさん
’67年、東京都生まれ。キャリア・デベロップメント・アドバイザー、産業カウンセラー、心理相談員としてキャリアカウンセリングに従事した経験を生かし、メディアなどで、大人の資格や学び情報を発信。All About「仕事に活かせる資格」ガイドとしても活躍。
学び直しに興味は抱いたものの、お金や手段など気がかりなことも多々。そんなときに役立つ情報を、大人の学びに詳しいエキスパートがレクチャー!
「大学進学から趣味的なものまで、アラフィーの学び直しは増えています。子育てが一段落し、人生終盤戦を意識するこの年代は、いわばライフステージの転換期。学びは、母や妻といった役割から自由になり、“自分のための自分”を取り戻すツールになっているのかもしれません」と、いぬかいはづきさん。なかでも資格への関心が高まっているのは、「コロナ禍で、働き方を見直す人が増えたからでは?」と。
「この年代の女性は、非正規雇用率が高く、不安を抱いている人が少なくありません。今後のキャリアアップや転職を見据え、仕事に役立つ資格取得の動きが盛んになっているのでしょう。エクラ世代は、時間とお金に余裕が出てくるころ。国がリカレント教育に力を入れるなど、環境も整ってきているので、ぜひこの機会を活用して、チャレンジしてほしいですね」
アンケートでは、学びに興味はあるものの、「続くかどうか不安」「時間とお金のムダになりそう」と、躊躇している人もちらほらと。「いきなりスクールに入学したり、通信講座を申し込んだりせず、まずは、お金をかけずに始めてみては? 無料の公開講座を実施している大学や自治体もありますし、無料で学べるオンライン講座も多数あります。そこで、自分に合っているか、今後も続けられそうかなど、適性を判断するのが安心です。資格取得を考えている場合も、まずは、一日の受講でとれるような優しい資格で“お試し”を。資格取得という学び方が自分に向いているかどうかの判断材料になります。そもそも、資格取得のための講座は、その分野や業種全般を学べるパッケージみたいなもの。“触り”を知っておもしろいと思ったら、本格的に勉強を」
・アロマテラピーアドバイザーとアロマハンドセラピスト、整理収納アドバイザー2級。すべてワンデー講座で取得!(会社員・48歳)
・NHKラジオのフランス語講座、1カ月続いたらテキストを購入と思って始めたけれど、すでに1年続いています。(契約社員・47歳)
・語学にビジネス、ヨガまで、YouTubeで学び中。好きなときに、無料で学べる気軽さが気に入っています。有名大学の教授の講座や超人気インストラクターのレッスンもあり、かなりお得!(会社員・50歳)
Q.アラフィーに向いているのはどんな学び方ですか?
A.先生と“対面”して学ぶスタイルだと仕事に結びつくチャンスもあります
国がリカレント教育(生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返す教育制度)に力を入れはじめたこともあり、エクラ世代の“学びの門戸”は、ぐんと広がった。自治体が、資格取得をバックアップする講座を開いているほか、少子化の中、大学が生き残りをかけて、社会人入試や社会人向けの通信教育、エクステンションセンターやオープンカレッジなどを、積極的に展開。
さらに、コロナ禍でリモート学習も急増。楽器からエクササイズ系まで、それまでは「行かないと学べない」と思われていた分野も、オンラインで手軽にチャレンジできるように。「近くに教室がない」「スケジュールが合わない」といった理由で断念することは、なくなりつつある。「学びを仕事に結びつけたいなら、独学よりも、スクールに通う、講座に申し込む、先生に師事する、というかたちがよいのでは? 先生から信頼を得たり、能力を認められ、仕事を紹介してもらえるケースもありますから」
・自治体主催の手話教室に1年間通ったところ、終了後、ボランティアで手話通訳を頼まれて。それがうれしくて、今は検定目ざして勉強中。(主婦・51歳)
・娘が通う大学のエクステンションセンターの授業を受け、学ぶ楽しさに開眼。今の夢は、大学院に入ること!(パート・54歳)
「“鉄板”は、日商簿記や宅建、英検、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)のように、歴史があり広く認知されている資格。長く続いているのは需要がある証拠ですから。また、求人サイトに資格名を入れて、求人情報を検索する“逆引き”も有効。その資格にどのくらいニーズがあるかわかります」
現在の仕事の延長線上でキャリアアップを目ざすなら、経験の裏づけとなる資格のほか、ひとひねりある資格をとるのも効果的。経理の場合、裏づけとして簿記を、変化球として国際会計検定をとることで"同業他者"と差別化できる。
「エクラ世代はPCに疎いと思われがちなので、それを逆手にとり、PC関連の資格をとるのもいいでしょう。意外性があるのでプラス評価になりますし、『何歳になっても新しいことに前向きな人』というアピールにもなります」
キャリアコンサルタント
職業選択や能力開発にまつわる相談・アドバイスを行う国家資格。キャリアコンサルタントという職種の募集は多くないが、人事や営業など、幅広い分野で活用できる。
ITパスポート
情報処理の入門編と位置づけられている国家資格。IT専門職の就職には有効性がないが、PCやネットワークの基礎知識やスキルの証明になるとして、近年人気が高い。
BATIC(国際会計検定)
東京商工会議所認定の資格で、グローバルに通用する国際会計のスキルと英語力をダブルで証明できる。一般的な会計の知識やスキルにプラスαのアピールができる。
・3年前にファイナンシャルプランナーを取得。資格マニアの私ですが、クラウドソーシングで仕事を発注されるなど、これはとってよかったもののひとつ!(自営業・56歳)
・医薬品を販売できる登録販売者の資格を取得。おかげで、転職がスムーズに。(会社員・53歳)
大学や大学院への正規入学となると、卒業までに何百万円もかかるものの、無料の公開講座を開いている大学も少なくない。また、大学での学びも、科目履修生やエクステンションセンターの利用なら、1科目数千円~数万円ですむケースが大半。
「資格取得の場合、自治体やハローワーク主催の無料講座を活用するのも一案です。また、就職を前提にするならば、教育訓練給付制度を利用できる可能性もあるので、一度チェックしてみては?」
教育訓練の種類と給付率 |
対象講座の例 |
専門実践教育訓練
最大で受講費用の70%
(年間上限56万円・最長4年)
を受講者に支給
|
業務独占資格などの取得を目標とする講座
• 介護福祉士、社会福祉士、看護師、美容師、歯科衛生士、保育士、調理師など
デジタル関係の講座
• ITSSレベル3以上のIT関係資格取得講座
• 第四次産業革命スキル習得講座(経済産業大臣認定)
大学院・大学などの課程
• 専門職大学院の課程(MBA、法科大学院、教職大学院など)
• 職業実践力育成プログラム(文部科学大臣認定)など
専門学校の課程
• 職業実践専門課程(文部科学大臣認定)
• キャリア形成促進プログラム(文部科学大臣認定)
|
特定一般教育訓練
受講費用の40%
(上限20万円)
を受講者に支給
|
業務独占資格などの取得を目標とする講座
• 介護職員初任者研修、大型自動車第一種・第二種免許、税理士など
デジタル関係の講座
• ITSSレベル2以上のIT関係資格取得講座など
|
一般教育訓練
受講費用の20%
(上限10万円)
を受講者に支給
|
資格の取得を目標とする講座
• 英語検定、簿記検定、ITパスポートなど
大学院などの課程
• 修士・博士の学位などの取得を目標とする課程
|
・ハローワークの求職者支援訓練で経理実務を学べるコースを受講。教科書代のみ負担なので、活用する価値大だと思う。(求職中・46歳)
・近所の大学が、地域住民向けに無料開催している講座にときどき参加。コロナ禍で中止が続いているので、再開が待ち遠しい。(主婦・55歳)
・キャリアコンサルタントの講座を受講中。修了&合格すれば、教育給付金制度で授業料の70%が戻ってくるので、なんとしても合格したい!(会社員・52歳)
もともと歌舞伎が好きでインスタグラムでお稽古場を知り友だちと楽しく通っています (S.Hさん/会社員・50歳)
三味線を習いはじめてから、もう5年近くたちました。きっかけは、インスタグラムで、歌舞伎の舞台に出演されている三味線奏者のかたのお稽古情報を得たこと。もともと歌舞伎が好きだったので、友だちと一緒に、半ば勢いで始めたのですが、やってみたら、粋な音色にすっかり魅せられてしまいました。よい音がつま弾けたときは、つい音色に聞きほれてしまうほど(笑)。苦手な技法もありますが、この世代になると忍耐力がつくのか、へたなりに自己満足でき、楽しく学べています。若いころは、上達しないとすぐにあきらめていたのに。それも、大人の学びのメリットかもしれません。
師匠が、歌舞伎のバックで流れている黒御簾(くろみす)音楽の解説をしてくれたり、その中で簡単な曲を教えてくれたりするので、歌舞伎がより身近なものになりました。今は、ひいきの役者さんだけでなく、演奏を聞くのも楽しみに。年1回、弟子たちの発表会が開催されるのですが、それもモチベーションアップになっています。きものを着るので、テンションが上がりますしね(笑)。
すばらしい師匠と、励ましあえる友だち。ここまで続けていられるのは、その力も大きいと思います。
課題やテスト勉強のための時間の確保をするために時間の使い方もうまくなりました (T.Kさん/自営業・55歳)
もっと社会に貢献したいと思うと同時に、将来のキャリアや生き方について悩んでいる同世代が多いと感じていたことから、昨年、「国家資格キャリアコンサルタント」の講座を受講。授業は1回目のみ対面、2回目以降はオンラインでしたが、励ましあえる仲間ができたのは、ありがたかったですね。勉強時間を捻出すべく、TO DOリストをつくって効率アップをはかるなど、時間の使い方がうまくなったのも収穫でした。しかも、家族が応援してくれ、家事などを積極的に手伝ってくれるように。親が勉強する姿を見せるのは、子供によい影響を与えられるのかもしれません。
ただ……、記憶力の低下には、我ながら唖然としました(苦笑)。それに、同じ姿勢で長時間座っているせいで、首・背中・肩が、いつもバキバキ。試験が終わるまでは、コリとの闘いでした。
今は、来年の夏の試験に向けてFP2級の勉強をがんばっているところ。思いきって挑戦したことで、世界が広がり、自分が成長しているとも感じられました。迷っている人には、ぜひ一歩を踏み出してほしいです。
絵が描けるようになっただけでなくPCスキルも身についたのは思わぬ副産物でした (A.Tさん/専門職・48歳)
アニメ好きな娘と一緒に絵を描いているうちに、偶然知ったのが「デジタルイラスト」。画材や絵の具といった道具不要、パソコンとペンタブさえあれば、油絵から水彩画まで描けることに魅力を感じ、昨春から通信講座で学んでいます。
難関だったのが、パソコン操作。ソフトのインストールに始まり、ファイル形式をそろえたり、圧縮する作業など、基本操作を習得する必要があったのですが、もともと私は、パソコンが苦手で。でも、デジタルイラストを描けるようになりたい一心で、参考書とにらめっこしながら猛勉強。おかげで、パソコンスキルが身につきました。
アップロード、サムネ、dpi。最初は「何かの暗号!?」と思ったPC用語に、くじけそうになったことも多々あります。先生に、「学ぶのに遅すぎることはありません。学びたいと思うことを生活に取り入れ、幸せな時間を増やしましょう」と励まされ、号泣したことも。あれから1年弱、へたながら描きたいものが描けるようになり、子供たちのリクエストにも応えられるようになりました。あのとき、あきらめなくて、本当によかった!
BTSにハマり、言葉を聞き取りたくて。同じ趣味の人ばかりで情報共有できるのもうれしい (F.Uさん/団体職員・48歳)
1年前から、2週間に1回、韓国語講座に通い、今年1月からは、月に1回の単発講座も受講しています。きっかけは……、BTS ! 彼らの大ファンになり、YouTubeを見たり、韓国のサイトで情報をチェックしているうちに、彼らが話す言葉が理解できるようになりたいと思うようになったんです。最近は、韓ドラにもハマってしまい、ますます韓国語熱が高まっています。
講座には同じ目標と共通の趣味をもつ人が集まっているので、BTSや韓国のことなど、いろいろな情報交換ができます。韓国人の先生が、韓国で今流行っているものから社会問題まで、幅広く教えてくれるのも、とても勉強になって楽しいですね。おかげで、ハングルが読めるようになり、日常会話くらいなら話せるようになりました。
今、毎日がとても充実しています。仕事で韓国のかたと接することもあるので、同僚から「通訳できるようになるまで、がんばって」と励まされていて。好きなことを仕事に生かせるのは素敵なことだし、仕事の幅も広がる予感。これからも、上達を目ざし、学び続けるつもりです。
-
ビデオ会議アプリなどを使って受講するオンラインレッスンが大盛況! ヨガやフラワーアレンジメント、英会話に茶道など多彩なジャンルで展開中。従来の対面式レッスンよりリーズナブルで移動時間もなし。自宅にいながら世界が広がる新しいお稽古事情をリサーチ。
-
「子育てや仕事が一段落したらボランティアをやりたい」、そう思っている人は少なくない。でも、いつ「一段落」する? いつかじゃなくて、今できることはたくさんある! アラフィー世代に関心が高いテーマを中心に、ボランティアや社会貢献について考えてみた。
-
お金を増やしたいと思っても、超低金利が続いて、銀行にお金をおいているままではほとんど増えないもの。10年後も心にゆとりをもって人生を楽しむには、今や投資という選択肢もあたりまえの時代に。正しく取り組めば、お金を増やすことができる「株」に着目し、誰でも安心して"デビュー"できるよう、優しくわかりやすく解説!