猫族ネコ科一家御用達「ASTIER de VILLATTE」の香炉
「香水より、アロマより、普通にお香が好き♪」。お笑い芸人・永野さんよろしく、玄関、リビング、窓際など気分転換にお香を多用する日々。最近は西洋エッセンスが入ったイノベーティブなお香も多く発売されてますが、伽羅や白檀といった香木由来の古風な香りが落ち着くのは、年齢のせいでしょうか。旅先やインテリアショップでお香立て探しも楽しく、その中でもトップオブトップで気に入っているのが、こちら。
割れてしまっても手放せない、我が家の愛猫。どなたか金継お願いします。。。。
陰翳礼讃な世界が似合う、”よろしく哀愁”な猫
フランスの陶器メーカー「アスティエ・ド・ヴィラット」から発売されているこの香炉。藤田嗣治が存命だったら家に置いていそう、なんて想像して調べてみると、商品名は”Setsuko"。画家は画家でも、藤田と同じ20世紀フランスで活躍した画家バルテュスの奥方・節子伯爵夫人と、コラボレーションして生まれたシリーズとのこと。愛嬌がある反面、どこか哀愁のある姿と表情が、昭和な私にはたまりません。
何かを物語るような後ろ姿。「会えない時間が愛を育てるのさ」なんて歌ってくれそう
猫の口からあらわれる、美しい煙
この香炉の最大の魅力は、口から煙が出ること。真夜中電気を消して、たなびく煙を眺めていると、時間の経過とともに雲のように表情が変化して、不思議な落ち着きと、魅惑的なゾクゾク感が。溜息なのか、煙草を吸った後なのか・・・「きっとこの猫は、人生経験豊富なのかもしれない」。この香炉が吹き出す煙には、奥深い魅力があるのです。
ふっと、この煙を眺めていると、日本の薄暗さや影の中にある奥ゆかしい美を大切にしてきた谷崎潤一郎「陰翳礼讃」の世界観を思い出させる
パリ生まれの陶器に似合う、京都のお香
現在、神社仏閣やインテリアショップなど、さまざまな場所でお香が売られていますが、一番好きなのは、京都「松栄堂」と「山田松香木店」。残念ながら去年急逝なさった松栄堂の前代表取締役・畑正高さんのお香への知識と考察は素晴らしく、日本人のこころと京文化の粋を究めた「香三才」(東京書籍)に勝る香りの著書はありません。ぜひ”香”に興味のある方はご一読をおすすめします。と、猫から話が遠のいたのですが。そういえば麝香猫の分泌物は官能的な香りで、有史以前から香料や漢方薬としても使用されていたという。この猫さんがどこか魅惑的なのも、そんな謂れからクリエーションされているのでしょうか、ぜひ一度会って感じてみてください。
アスティエ・ド・ヴィラットの特徴でもある純白の釉薬を纏った陶器。陶器にはパリ郊外で採掘された土を使っているという。
食、旅などカルチャー、ときどきファッションを担当。
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