パリマダムは更年期に悩みすぎない、という驚きの声がフランス在住のかたから届いた。それは事実なのか? 恋も仕事も現役、おしゃれも人生も楽しんでいるマダムたちの成熟世代のしなやかな乗り越え方を現地からリポートする。
悩む前に行動。頼るのは“かかりつけ婦人科”
ジョフロワ 江美(パリ在住30年)
パリマダムは、更年期症状がない!?答えはノン。統計では閉経前は約60%、閉経後は80%以上のフランス女性がなんらかの症状を自覚。ホットフラッシュ、メンタルの不調や不眠症、疲労感、関節痛など症状は日本と同様、多岐にわたり、70項目以上になる。
一方、フランスでの更年期世代の就業率は80%を超え、働きながら更年期をのりきっている人も多い。では日本とは何が違うのか? それは不調を我慢することなく、早いタイミングで気軽に医師やスペシャリストに相談することだ。思春期のころから、かかりつけの婦人科を定期的に受診し、生理不順やピルの処方、性感染症のチェック、妊娠、出産、そして更年期を迎えるライフステージになると、さらに心強い存在となる。
「眠れない」、「顔がほてる」などちょっとした悩みを医師に相談し、診察を受ける。大きな“病院”よりは、アパルトマンの中にある個人経営の“クリニック”が多く、気軽に訪れやすい環境だ。症状が軽い場合にはアロマやハーブなどの自然療法を取り入れながらの食生活や運動、生活習慣の指導で改善。場合によってはホルモン補充療法など、オーダーメイドの診療をしてくれる。
さらに悩みごとに泌尿器科、整形外科、精神科など細分化された専門分野への紹介も。特に多いフェムゾーンの不調で泌尿器の専門医に相談することも、ごく自然なこと。出産後すぐに通う骨盤底筋トレーニングは医師からの処方箋で約10回が無料、更年期世代の場合は公的医療保険が約65%を負担、残りの費用はMutuelle(任意保険)からの払い戻しなど、公的補助の存在も大きい。精神科へのハードルも低く、気分の落ち込みや不安感、睡眠障害なども症状の早い段階でカウンセリング施設やメンタルクリニックを受診する。
カップル文化のもと「いつまでも女性でいる」美意識があるマダムたち。更年期の悩みを抱え込まず「誰にでも起こる可能性がある」自然なこととして友達と気軽に情報共有したり、年上のかたがたとオープンに話し、ライフステージの変化をしなやかに受け止めている。自分が好きなことや興味のあることでの解決方法を見つけ、習慣化し、心身ともに穏やかで充実した日々を送っている姿は、私たち日本人もお手本にしたい。
Menoclinic
「Menoclinic(メノクリニック)」は、’26年1月に開院した、フランス初の更年期専門クリニック。専門の医師による診察、治療以外にも心理カウンセラーや栄養士などの専門家とも連携し、幅広いサポートが受けられる
●Menoclinic:92 Avenue de Villiers 75017 Paris
経営者:Madame Maud Pasturaud(モード・パストロー)
パリ17区にある更年期専門クリニック「Menoclinic」のオーナー。専門医による診療とともに生活面の調整も含め総合的なサポート体制が充実。
婦人科医:Dr. Solène Gouriou(ソレーヌ・グリウ)
「Menoclinic」に勤務し、更年期の諸症状を最新のガイドラインに沿って診察。フランスでは、女性医師の割合が50%を超えるというデータも。
Haab Urologie
「Haab Urologie」(ハーブ泌尿器科クリニック)の待合室とリハビリ室。約半数が若い世代からシニア期までの女性患者。更年期の女性たちは尿トラブル、フェムゾーンの乾燥、骨盤臓器脱などの症状で受診する。骨盤底筋理学療法士のリハビリテーションに関しては約90%が女性患者
●Haab Urologie:33 rue de la Tour 75116 Paris
泌尿器科医:Pr. François Haab(フランソワ・ハーブ教授)
フランス泌尿器科の権威。パリ・アメリカンホスピタルにも診療拠点を置くかたわら、パリ16区と17区に泌尿器科専門クリニックを開業している。
骨盤底筋理学療法士:Ⅿme Chloé Gillouard(クロエ・ジルアール)
ソルボンヌ大学医学部理学療法学科卒業。ハーブ泌尿器科クリニックに常勤し、主にリハビリを担当する。
撮影/吉田タイスケ 取材・原文/ジョフロワ 江美 撮影協力/ L’Interallié, René Veyrat, Galerie de Souzy, COREOD ※エクラ2026年6月号掲載