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五十肩は肩コリじゃない!知っておくべき五十肩の正しい対処法とは?【小田ユイコ×ぜんしん整形外科院長 守重昌彦先生対談#1】
40代になったとたん四十肩、50代になったら五十肩と、笑ってしまうほどネーミングどおりに肩の痛みに悩まされた経験のある小田。特に五十肩のときは着替えもままならず、寝ていても辛く、苦悶の日々でした。今は痛みはありませんが、五十肩になった側の右肩は今でも硬く、手を背中に回すのがキツイ。あのとき適切に対処していたらよかったのかも、とふと頭によぎることがあります。そこで、今ひとつわからない四十肩、五十肩のちゃんとした治しかたについて、年間1000人以上の肩関節を治療する専門医、守重昌彦先生にお話をうかがいました。現在、四十肩、五十肩にお悩みの方、ぜひご覧ください!
痛みを我慢して放置しないで!五十肩の正しい治療法・予防法を専門医が解説【小田ユイコ×ぜんしん整形外科院長 守重昌彦先生対談#2】

守重昌彦先生

小田ユイコ

五十肩の炎症を短期間で抑えるステロイド注射
小田:#1で、五十肩が単なる老化現象ではなく、れっきとした疾患だと教えていただきました。そうとわかれば、まずは治療ですね。そういえば思い出したのですが、私が五十肩になったとき、ヒアルロン酸注射を肩に打ってもらったことがあるのですが、正直あまり痛みは取れませんでした。
守重先生:ヒアルロン酸注射は肩関節周囲炎(五十肩の病名)の保険適用となっていて、治療によく使われます。消炎、軟骨の保護、組織の柔軟性アップなどの効果があり、五十肩治療のひとつの選択肢ではあるのですが、辛い痛みを取り除くには力不足のところがあります。
保険適用の注射なら、ステロイド注射のほうが炎症を短期間で押さえることができ、結果早く治すことができます。
小田:ステロイドを肩に打つのですか?
守重先生:はい、エコー(超音波)で肩の内部を見ながら、炎症を起こしている関節包に直接打ちます。エコーなしでも打つことはできますが、関節包に的確に打つのは難しくなります。エコーを使ったステロイド注射を行っているクリニックを探してみてください。
小田:五十肩の原因、関節包の炎症にダイレクトに効かせるのですね。でも、ステロイドって副作用が心配なのですが……。
守重先生:ステロイドは、コルチコイドという名のホルモンで、人の体内でもつくられています。炎症を抑える強力な効果があるので、正しい使い方をすればとても有効です。また、注射の場合、注射した関節内に大きく影響し、全身的な影響は少ないと考えられます。
当クリニックでは、効果の強いトリアムシノロン(ケナコルト)というステロイド剤を使う場合は、10mgと少量に抑え、0.1%の麻酔薬を混合して、5mlにしたものを使っています。効果の弱いステロイド剤、デキサメタゾン(デカドロン)を使うこともあります。
縮んだ関節包を割き、可動域を広げる治療法
小田:五十肩は、肩甲骨と上腕骨てっぺんの球状部分との接合部をぐるりと包み込む関節包の炎症を起こし、硬く縮むのが原因でしたね。炎症がおさまると、硬くなった関節包は柔らかくなるのですか?
守重先生:炎症がおさまれば、通常次第に柔らかくなっていきます。ただし、戻り方には個人差があります。ステロイド注射で痛みが取れても、癒着状態が長ければ、骨が関節包に当たって、また炎症を起こします。
関節包がなかなか柔らかくならない方には、マニピュレーションという治療法を提案します。
小田:マニピュレーション? それはどんな治療法ですか?
守重先生:簡単にいうと、硬くなった関節包を破って、関節の可動域を取り戻す治療法です。
小田:破るって、そんなことできるんですか?
守重先生:はい、メスを入れることなく、肩をグーッと動かしたりひねったりすることで硬くなった関節包がビリビリッと破れます。局所麻酔薬による神経ブロック注射をしてから行いますので、破ることによる痛みはそれほど強くはありません。入院の必要もありませんし、事前の診察から事後の処置まで含めて2時間以内で終了します。
4~5時間後、麻酔が切れると自分で腕を動かせるようになります。術前とは打って変わって肩の自由がきくので、大変喜ばれます。
小田:破れた関節包は、破れたまま?
守重先生:いえ、破れた関節包は時間がたてば再生されるのでご安心ください。
小田:費用はどのくらいかかるのですか?
守重先生:マニュピュレーション治療は保険適用で、ブロック注射(麻酔)の薬剤や再診料などを合わせて、3割負担だと合計¥10000ほどです。
関節包をいったん壊して再生させるほかの方法としては、関節鏡による手術もあります。腹腔鏡のように関節に極小のカメラを挿入し、まわりの筋肉を切ることなく、関節包を観察しながら電気メスでカットできます。こちらもマニピュレーションと同様、一気に可動域が広がります。
関節包の治療後しばらくは、肩に大きな負荷をかけないように
小田:マニピュレーションや関節鏡による手術を受けたあとは、自由に腕を動かしていいのですか?
守重先生:日常動作なら問題ないのですが、関節包が切れた状態だと肩関節が不安定なので3週間ほどは重い荷物を持ったり、ゴルフやテニスなどのスポーツは避けてください。関節包の再生は徐々に進み、3ヵ月ほどでしっかりとした関節包に生まれ変わります。
小田:柔らかい関節包に導くために、気をつけることはありますか?
守重先生:当クリニックでは術後、理学療法士が徒手療法や運動療法のリハビリを行いますが、これがかなり大事です。せっかく肩関節の可動域が広がっても、まわりの筋肉が硬いままだと関節包も硬くなってしまうのです。並行して、自宅でもセルフエクササイズをしていただきます。
無理な動きを避け、セルフエクササイズで五十肩予防
小田:片方が五十肩になると、その後もう一方が五十肩になることもありますよね? 防ぐ方法はありますか?
守重先生:五十肩に明らかな予防法はありませんが、ふだんの姿勢は大事です。姿勢が悪いとせっかく五十肩の治療を受けても治りにくくなります。背中が丸くなっていると気づいたら、背筋を伸ばし、左右の肩甲骨を中央に寄せるようにしましょう。
また重い荷物を持つとき、体に負担をかけそうな動きをするとき、ちょっと意識する習慣を持つといいですね。五十肩を経験したということは、無理をすれば体が悲鳴を上げる年齢になったということです。
当クリニックがリハビリ期におすすめしているセルフエクササイズは、五十肩の予防のためにもおすすめです。ぜひ続けてみてください。
五十肩の治療後および予防のためのセルフエクササイズ



かつて四十肩、五十肩になって自然治癒した人も、セルフエクササイズで肩まわりを柔軟に保ち、肩関節の可動域が狭くならないように心がけましょう。
たかが肩、されど肩。肩が痛みなく自由に動かせることは、生活や趣味を制限せず、人生をしなやかに楽しむひとつの条件であることは間違いありません。五十肩、ぜひ克服していきましょう!
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