【今月のおすすめ本】令和を生きる孫と戦時中を生き抜いた祖母の物語『百年の子』ほか

読書の秋にエクラ世代におすすめしたい書籍を厳選! 令和を生きる編集者の女性と同じく編集者として働いていた祖母を紡ぐ物語『百年の子』や、1枚のレシートから25人の家を訪問したインタビュー&エッセイ集など4冊をご紹介。

時代のうねりにのみ込まれない強さを磨く100年史

本1

『百年の子』

古内一絵
小学館 ¥1,980

子供のころ手にした『小学一年生』などの学年別学習雑誌。その100年におよぶ歴史を調べ上げ、かかわった人々の情熱や後悔を織り込みながら、老舗出版社を舞台に物語が紡がれていく。主人公は、令和を生きる編集者の明日花と、その祖母で、戦争中に学年誌の編集部で働いていた過去を孫に語れぬまま認知症を患ったスエ。戦中戦後で激変する誌面に衝撃を受けるが、すべて史実だ。苦難の時代にしなやかさを失わず、懸命に働き、友情を育んでいく女性たちの姿も胸に刻みたい。

1枚のレシートから人生が見えてくる

本2

『レシート探訪』

藤沢あかり
技術評論社 ¥1,760
「あなたのレシートを見せてください」と、年齢も職業も異なる25人の家を訪問。買った品々にまつわる話を聞くうち、それぞれの人となりや暮らしぶり、将来の夢までがくっきりと浮かび上がってきて……。ユニークな発想から生まれた、味わい深いインタビュー&エッセー集。

本3

『コモンの「自治」論』

斎藤幸平 松本卓也ほか
集英社 ¥1,870
お堅いタイトルに、何それ?と思った人も、読めば、生活に欠かせないコモン(公園や水道などの共有材)が奪われつつあることを痛感。同時に、私たち自身の手で社会を変えられるんだと希望がわいてくる。気鋭の学者ら7人による共著は、明るい未来づくりのヒントが満載!

誘拐事件を通して描く無償の愛

本4

『存在のすべてを』

塩田武士
朝日新聞出版 ¥2,090
4歳で誘拐された男児が7歳のとき戻ってきた。前より健康で幸せになって……。未解決に終わった奇妙な事件から30年後、被害児童の今を知った新聞記者が再び調査を始める。やがて明らかになる「空白の3年間」に、涙。社会派ミステリーとしても、愛の物語としても極上だ。

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