【北村一輝さんインタビュー】『王様と私』で初めてのミュージカルに挑戦!令和の“王様”を目ざす

4月からのミュージカル『王様と私』に出演する北村一輝さん。ミュージカル初出演となる北村さんに、今作への意気込みや見どころを語ってもらった。

ロングヘアをなびかせて人間味あふれる令和の“王様”を目ざします

北村一輝さん
ジャケット(参考商品)/アミ パリス ジャパン(アミ) その他/スタイリスト私物

グッと眉間にしわを寄せてカメラをにらむと凄(すご)みがにじむ。かと思うと目じりにしわが出るほどクシャッと笑う。そのギャップにドギマギさせられる。

北村一輝さんはこの4月、ミュージカル『王様と私』に出演する。ミュージカル出演は初めてだ。

「観劇するのは好きですね。でも、ミュージカルの“ハイここから歌います”という感じがどうしても気になって。今回オファーをいただいてからずっと迷っていました。ただ“歌を伝える”のではなく、歌はお芝居の延長、物語や心情を“歌で伝える”ことができるならと、勇気を出して出演させていただくことにしました」


ドラマなど映像でひっぱりだこの印象があるが、20代のころから舞台にも出演してきた。だが舞台の仕事に対して苦手意識がまだまだぬぐえないという。

「ありがたいことにオファーをいただいても、僕の場合、まだ舞台=勉強の場になってしまう気がして。演技を突き詰めることでいっぱいいっぱいで、お客さまの前で自分を解放し、日々舞台で生きることを楽しむところまではいけていません。当て書きしていただくこともありますが、作家さんが僕に抱いているイメージの中で演じるのがちょっと窮屈だなと感じるときも。僕の力がいたらないからですけどね。それよりは自分で役に息を吹き込み肉付けしていくほうが好きですね。今回の『王様と私』はもうミュージカルの古典。現代に合わせて新たに作っていく作業ならと、自分を奮い立たせています」

王様役といえばユル・ブリンナーはじめ坊主頭の印象が強いが、意外にも頭頂部から後ろへなびくロングヘア。外見も内面も新しい王様が誕生しそうだ。

「若いころ放浪の旅でタイにも行きました。僕は貧乏旅行でしたが日本は当時好景気で、それが今では状況が変化してしまいましたよね。男尊女卑があたりまえの19世紀の時代に成立していた作品を現代でやるとなると、脚本という設計図はそのままでも解釈やニュアンスが変わってもおかしくない。僕はあくまでこの作品の駒のひとつですが、どんな新しい表現にも対応できるようにしておきたいですね」


出演を決めてから半年の間、ほぼ毎日ボイストレーニングに通い、時にはカラオケボックスにこもる日々だったという。

「今まで2つくらいキーを下げて歌っていた曲が余裕で歌えるようになりました。こうなったら言っちゃいますけど、僕の歌聞いたら皆さん驚きますよ~」と言いながら、自分で笑いだしてしまった。

「でもそれくらい言っておかないとね。ハードルはあえて自分で高くしておいたほうがいいので」

王様と私

ミュージカル『王様と私』

’51年初演。『Shall We Dance?』などの名曲で知られ世界中で愛されてきたミュージカル。19世紀のシャム(現タイ)王とイギリスの女性教師が文化の違いを超えて心を通わせていく。アンナ役に明日海りお。
4/9~30、日生劇場 問☎03・3201・7777(東宝テレザーブ) ※大阪公演あり

北村一輝

北村一輝

きたむら かずき●’69年、大阪府生まれ。’90年俳優デビュー。以降、数多くの作品に出演し、強烈な存在感を放っている。代表舞台作に『黴菌』『大逆走』『欲望という名の電車』ほか、近年の出演作として映画『テルマエ・ロマエ』『沈黙のパレード』『カラオケ行こ!』、ドラマ『コタツがない家』『波よ聞いてくれ』など。新作映画『陰陽師0』『ゴールド・ボーイ』にも出演予定。
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