-
絶対に観て欲しい『東海道四谷怪談』尾上右近の挑戦 @福岡・博多座
歌舞伎俳優・尾上右近さんが主演を務める『東海道四谷怪談』が今、話題に! 博多が盛り上がっている。「四谷怪談、凄かった!」「迷っている人は絶対行って欲しい」「舞台の仕掛けや早替えも本当に楽しかった」……興奮冷めやらないSNS投稿が続々と。四谷怪談と言えば、亡霊となって夫に復讐するお岩の執念を描く怪談。人気作家・鶴屋南北の普遍的なメッセージが込められていて、現代に生きる私達女性にも共感できるところがたくさんあるらしい。その見所を尾上右近さんへのインタビューにて、博多座情報とともにお届けします!
「なぜ今、尾上右近を観るべきなのか」演劇評論家・渡辺 保が語る!
僕は戦前から80年以上、歌舞伎を観ていますが、今ほど若手がそろっている時代はないと思います。巳之助、歌昇、壱太郎(かずたろう)、新悟、米吉、隼人、虎之介、鷹之資(たかのすけ)、染五郎、團子(だんこ)と……こんなに魅力的な若手がそろっている時代はありませんでした。その中でも尾上右近はきわだっています。輝いていますね。
一番優れていると思う点は、イキが非常にいいことです。「イキがいい」ことはセリフの緩急とか、間のよさにもつながるのですが、右近は非常にいい呼吸をもっていて、それゆえ芸がシャープなんですね。だから観ていて気持ちがいい。爽快さがあるんです。
以前、『三人吉三(さんにんきちさ)』のお嬢吉三をやったとき、「月も朧(おぼろ)に白魚の~」の名セリフを音吐朗々と歌い上げたときには、度肝を抜きました。
僕が子供のころ、最初に観た歌舞伎は、六代目尾上菊五郎の舞台でした。六代目はしゃがれ声の悪声ですが、セリフ回しがうまくて観客の心をぱっとつかむんです。シャープさに引きずられて観客が舞台にのめり込んでいくんですね。僕は6歳くらいでしたけれど、子供心にも、このおじさんの芸がシャープだということがわかりました(笑)。六代目と出会わなければ、僕は歌舞伎を好きにならなかったと思う。
右近には、そんな六代目に通じるイキのよさがあります。右近の曾祖父は六代目菊五郎で、彼も六代目を崇拝しているから似たところがあるんでしょう。まだまだ未完成ですが、芸を磨けば観客の気持ちを自由につかまえることができるようになると思います。
そのためにもまずは自分のニン(仁)を見極めることが大事です。「ニン」というのは、その役にふさわしい雰囲気とか“らしさ”のことで、役者のニンが役にぴたりとはまったとき、驚くほど作品の世界が開けます。そしてその芸を極めていくことで体ができていく。一方、ニンにはまった役をやらないと、そういう体がつくられません。
僕が見る限り、右近のニンははっきりしています。二枚目と女方です。『忠臣蔵』だったら判官と勘平、そしてお軽です。年をとったら戸無瀬をやる。そういう役者なんです。でもきっと彼は「師直もやりたいし、由良之助もやりたい」っていう人だと思います。
彼はまだ冒険の途中で、いろいろなことに挑戦して、みんなを驚かせたいと思っている。今の時代がそれを求めているのはわかるけれど、僕が右近のマネージャーだったら、そういうことはさせない(笑)。だってほかの芸能と違って、歌舞伎では、なんでもできることは美徳じゃないですから。
人によっては、一生、女中役の人がいるかもしれないけれど、例えば「あの人が出てきたら、この料理屋は格式のある料理屋だとわかる」となったらたいしたもので、「女中役はあの人にかぎるね」といわれることが大事なんです。歌舞伎役者はみんなそういう生き方をしているわけです。だから自分が何者なのか早く知ることが大事で、自分探しの旅は、そろそろ終わりにしていいんじゃないかと。
これだけの才能はなかなかないですからね。姿もいいし、声もいいし、踊りもうまい。以前、彼が『酔奴(よいやっこ)』を踊るのを観て驚きました。日本舞踊というのは、歌詞の言葉をそのままに表現した当振(あてぶり)なので、ともすると説明的になってしまうのですが、右近は説明ではなく、踊りにしてみせたんです。それだけ腕があるということです。
だから自分の行く道を探し当てて、「これで行こう」と決めて修行すれば、どんどん芸が深くなって大成しますよ。『道成寺』も『弁天小僧』も勘平ももっともっとよくなる。彼が勉強家なのは知っているけれど、人間をどう表現するかというところをもっと追求してほしい。そうして当たり芸をもって、自分が座頭の歌舞伎座をいっぱいにできる──そういうスター役者になってほしいと願っています。
演劇評論家・渡辺 保
わたなべ たもつ●’36年、東京生まれ。演劇評論家。慶応大学卒業後、東宝株式会社に入社。’65年『歌舞伎に女優を』で評論デビュー。東宝退社後は、多数の大学にて教鞭をとる。著書多数。公式サイトで展開している歌舞伎劇評「今月の芝居」も人気。
(写真)女形舞踊の中でも大曲中の大曲といわれる『京鹿子娘道成寺』。僧の安珍に恋をして裏切られた清姫が、道成寺の鐘に隠れた安珍を蛇になって鐘ごと焼き殺したという伝説をもとに作られた。主人公の白拍子(しらびょうし)花子は、扇や手ぬぐいなどの小道具を持ち替えながら、約40分にわたって、さまざまな場面を踊り分けるため、心技体すべてがそろわないと踊れない舞踊で、これまでも六代目尾上菊五郎、六代目中村歌右衛門、七代目尾上梅幸など数々の踊りの名手がこの演目に挑んできた。『道成寺』を踊ることは右近さんにとっても長年の夢で、そんな念願がかなった今年1月。歌舞伎座という歌舞伎の聖地で、『道成寺』でトリを勤めるというのは、歌舞伎俳優の家の出身ではない俳優としては異例なこと。それだけ彼の実力が認められたということでもある
今の尾上右近を見逃すな!最新出演情報
六月ー開場二十五周年記念『六月博多座大歌舞伎』博多座6/2~17/夜の部『東海道四谷怪談』
七月ー『七月大歌舞伎』歌舞伎座7/1~24/夜の部『裏表太閤記』
八月ー自主公演『研の會』が開催予定。
-
年の初めは歌舞伎座へ!尾上右近が『京鹿子娘道成寺』を舞う
いつも以上に華やかさと特別感のある、一月の歌舞伎座。2024年は、エクラで『歌舞伎はモダンだ!』を連載中の尾上右近さんが夜の部に登場する。この日を待ちわびていた連載担当編集Wの募る想いを書き綴ります。
-
【尾上右近インタビュー】 注目の若手歌舞伎俳優が語る。夢中で過ごした2021年、今の想いとは?
今、最も注目される若手歌舞伎俳優のひとり、尾上右近さん。12月は歌舞伎座「十二月大歌舞伎」第二部、『男女道成寺』『ぢいさんばあさん』に出演する。はとこ同士でもある中村勘九郎さんとの共演は、「とても華やかで見応えのある舞台だった」、「もう一度観たい」とSNSでも話題に。一年の締めくくりに相応しい華やかな舞台。さっそく緊急インタビューを敢行しました!
-
【中村梅枝さんインタビュー】六代目中村時蔵を襲名。嫉妬や執着心をむき出しにする娘の役に挑むのが楽しみ
6月の歌舞伎座「六月大歌舞伎」で襲名披露を行う中村梅枝さん。襲名披露の演目のほか、休みの日の過ごし方についても教えてくれた。
-
【中村勘九郎さんインタビュー】中村屋の歌舞伎を歌舞伎町で。観てくれた人を狂わせるような芝居を
東銀座の歌舞伎座はもちろん、浅草をはじめ全国各地で展開する平成中村座。渋谷・コクーン歌舞伎に赤坂大歌舞伎、そして今度はなんと新宿は歌舞伎町に中村屋の歌舞伎がやってくる。
What's New
-
吉本ばなな版!下町ワールドを堪能できる連作短編集『下町サイキック』ほか2冊【斎藤美奈子のオトナの文藝部】
今話題の本を文芸評論家・斎藤美奈子さんがご紹介。今回は、吉本ばななさんの下町ワールドを堪能できる連作短編集『下町サイキック』ほか、下町の雰囲気を感じられるエッセイ&短編集をピックアップ。
ライフスタイルNEWS
2024年11月21日
-
“幸福学”研究の第一人者・前野隆司さんが指南!習い事が大人を幸せにする理由とは?
ストレスを抱えがちなエクラ世代の救世主となるのが、習い事……!? その根拠とは。“幸福学”研究の第一人者・前野隆司さんに、習い事が大人を幸せにする理由を聞いた。
ライフスタイルNEWS
2024年11月21日
-
「50代こそ、習い事適齢期!」エッセイスト・酒井順子さんが教える、習い事を楽しむ秘訣
やっと自分の時間ができた、自由を満喫したい……そんなアラフィーたちがこぞってハマっている習い事。自身も習い事ライフを謳歌する酒井順子さんに、習い事の効能やエクラ世代が楽しむ秘訣を聞いた。
ライフスタイルNEWS
2024年11月20日
-
【池松壮亮さんインタビュー】急速に変化する世界に翻弄されつつもひたむきに生きる青年を描く
4年前、ロケ先の上海のホテルで、ふと目にした日本の新聞小説に、池松壮亮さんは激しく胸が揺さぶられたという。「平野啓一郎さんの『本心』という作品でした。ものすごい勢いで進化しつづけるテクノロジー、格差や貧困、自然災害……と、地球が抱える、あらゆる問題に切り込んだ物語でした。これは今、映画で描くべきだと確信し、帰国後に石井裕也監督に話しました」
ライフスタイルNEWS
2024年11月20日
-
【50代から始める習い事】Jマダム®たちはどんな習い事をしている?
人生に新たな風を吹かせる「50の手習い」、始めませんか。Jマダムへのアンケートでは1位ヨガ、2位お花系、3位ダンス系という結果に。ほかにもさまざまな習い事が!
ライフスタイルNEWS
2024年11月19日
-
-
高貴で女性らしい手元を演出してくれる「ジャガー・ルクルト」のブレスレットウォッチ
「50代こそ運命の腕時計との出会いを模索すべき時」と語る、“ジュエリーコンシェルジュ”伊藤美佐季さん。若いころと比べ、時計選びを左右する最大の変化は“肌の色み”。ゴールド適齢期の今こそ、ジャガー・ルクルトの腕時計を!
-
【ZARA】トレンドコーデ
50代はどう着こなす?読者モデル 華組コーデ集
-
エクラ公式通販の人気アイテムランキング
もう迷わない!50代が買うべき旬の服
-
【2024最新】ヘアスタイル・髪型カタログ
髪のお悩み解決!若々しく見えるヘアスタイル
-
1年中履ける!ヘビロテ必至スニーカー
おしゃれな50代のスニーカースタイル
-
イヴルルド遙華の12星座占い
毎月更新の12星座占い。大注目の開運ランキングも必見!
-
50代が今買うべきファッションアイテム
人気ファッションアイテムを厳選してご紹介
-
一度は泊まりたい!高級ホテル・旅館
日常を忘れて至福のときが過ごせる極上の旅へ
-
50代に必要なのは即効性のあるコスメ
閉経してからキレイになる人は何が違う?
-
【ユニクロ・GU】プチプラ高見えコーデ
センス抜群!読者モデル 華組の着こなし集
-
【ReFa】ギフトにもおすすめ!
人気ドライヤーなどがスペシャルキットに。ホリデーを彩るイベントも開催
-
若々しくて、上品な印象「50代のミディアムヘア」あか抜けスタイル
大人のかわいさとエレガントさが手に入るミディアムヘア。髪を結わいたり、下ろしたり多彩なアレンジが楽しめる人気の髪型。顔回りをすっきり見せるカットやくせ毛やうねりを生かしたスタイルにすればお手入れもラ…
-
若々しくて、おしゃれに見える!50代の今どきショートヘア24選
50代の髪型で気をつけたいのは「前髪の生え際」ここが見えると老けて見えるから、分け目をつくらない前髪がおすすめ。前髪を下ろすのが苦手な人は顔回りにレイヤーを入れておデコを小さく見せて。
-
【50代 コーデ】今手に入れたい!新アウタースタイル6選
日に日に寒さが深まり、新しいアウターが欲しくなる頃。冬本番まで着られる保温性の高い中綿入りコートから、暖かい日にさっと羽織れる軽めのフーディまで、今季エクラがおすすめする注目のアウターを厳選。すぐマ…
-
上品で女性らしい雰囲気!50代に似合う「若見えボブヘア」15選
大人の上品さと女性らしさで好印象のボブヘアはアラフィ―女性に人気の高いヘアスタイル。今どきカットで小顔見せ&若々しさを手に入れて。
-
生え際の老け見えを回避!40代・50代が若返るショートヘア【50代髪型人気ランキングTOP10】
ウェブエクラ週間(2024/11/3~11/9)ランキングトップ10にランクインしたヘアスタイル人気記事をピックアップ。40代・50代の髪型で気をつけたいのは「前髪の生え際」。老けて見えないためのおすすめの髪型をご紹介…