【50代におすすめの元気がでる本3選】ライター細貝さやかさんが選ぶ。「私ってダメだな」と落ち込んだ時に読みたい本はこれ!

毎日を頑張りすぎて「私ってほんとダメ……」と落ち込んでしまう、そんなときは読書がおすすめ! エクラ書評班がおすすめする、50代におすすめする「元気がでる本」。第二回はライター細貝さやかさんのセレクトです。「本棚から取り出してページを開くと、いつも胸の奥の深いところから何かグツグツとわいてくるような気がするんです」。
●細貝さやか(ほそがいさやか) エクラ本誌の書評欄の担当を長年つとめ、文芸書の著者インタビューも執筆。海外文学やノンフィクションに特に精通している敏腕ライター。

女性が生きやすい社会の土台は、こうしてつくられた

『アメリカ合衆国連邦最高裁判事 ルース・ベイダー・ギンズバーグの「悪名高き」生涯』 イリーン・カーモン シャナ・クニズニク 柴田さとみ/訳 光文社 ¥2,365

『アメリカ合衆国連邦最高裁判事 ルース・ベイダー・ギンズバーグの「悪名高き」生涯』 イリーン・カーモン シャナ・クニズニク 柴田さとみ/訳 光文社
タイトルの「悪名高き」は、頭の固い差別主義者たちにとって。2020年に87歳で亡くなるまで27年にわたり最高裁判事を務めたルースは、弱者の権利を守り広げるため法廷で闘い続け、若者からも敬愛された。彼女自身と多数の関係者に取材し、その人生を活写したのが本書。女性差別の激しかった時代に、幼い娘を抱え、がんになった夫を支えながら法律を学び、アメリカ社会を変える存在へと成長していく姿に勇気と力を分けてもらえる。

世知辛い世の中に負けない自分の「核」を守り育てたいなら

『あなたの言葉を』 辻村深月 毎日新聞出版 ¥1,540

『あなたの言葉を』 辻村深月 毎日新聞出版 ¥1,540
小学生新聞の連載をまとめたエッセイ集だが大人が読んでも、いや、空気を読むことに長けてしまったアラフィー女性にこそ刺さるはず。子ども時代、ヘンだと思われ笑われたくなくて、友だちの前では出せない気持ちをノートに書いていた体験などがつづられていく。胸中に抱いたモヤモヤを言語化して自分の言葉を獲得することは、正解のない社会の中で自分を守ることにつながる、と著者。深い洞察に満ちたパワーワードがてんこ盛りだ。

「私は私」と言い切れる底力が身につく 

『わたしに会いたい』 西加奈子 集英社 ¥1,540

『わたしに会いたい』 西加奈子 集英社 ¥1,540
主人公たちは、女性であるがゆえ性的な視線にさらされ、心ない言葉を投げつけられる。コンプレックスと生きづらさを抱え、不安や怒りに駆られもする。でも葛藤の末、自分を縛っていた周囲の目と固定観念から解き放たれ、ちょっとやそっとじゃ手折られない自信を身につけていくのだ。収録された8編のうち3編は、乳がんで両乳房を全摘した著者自身の体験から生まれたという。病や老いによる体の変化も込みで自分を愛おしみたくなる短編集。
文/細貝さやか、本誌編集部
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