【おしゃれな50代のリノベ&住み替え】人生最後のリノベーションは居心地のよさを追求〈宮田喜代美邸〉

心身の健康を取り戻すリゾートホテル『ホテルクアビオ』のオーナーを務める宮田喜代美さん。今後のライフスタイルに向き合い、「人生で最後」のリノベーションを行った都内マンションのお宅を拝見。

DATA

延べ床面積:約120㎡
築年数(居住年数):24年(1年)

購入したマンションをリノベーション。前の持ち主が1LDKで使用していた間取りを取り払い、キッチン、ダイニング、オーディオルーム、寝室につくり替えた。

■PROFILE
ホテルクアビオ オーナー  宮田喜代美

ホテルクアビオ オーナー 宮田喜代美

自身の体の不調をファスティング(断食)とマクロビオティック食(玄米菜食)で克服した経験から、’09年、群馬・草津温泉に心身の健康を取り戻すリゾートホテル『ホテルクアビオ』を開業。下の階に母が住み、愛猫「きんちゃん」と生活している。

ひとり暮らしを快適にする最後のリノベ

現在は都内マンションと草津、伊豆の3つの拠点をもつ『ホテルクアビオ』オーナーの宮田喜代美さん。一念発起し、今後のライフスタイルに向き合った「人生で最後」という都内邸宅のリノベーションを敢行。新しいものと古いもの、和と洋のデザインとさまざまなスタイルが調和されながら、居心地のよさもあきらめない。ひとりの時間でもゆっくりと過ごせる、空間づくりのヒントが満載だった。

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クチーナと相談しながらつくったオープンキッチンはリノベーションでも力を入れた空間。コンロの部分は間仕切りを壁の向こう側に設置することですっきりとして見える。シックな色調が全体を落ち着いたトーンでまとめ上げた

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ベランダに続く大きな窓があるオープンキッチンスペース。以前はステンレス製の角型だったものを、温かみのある大理石風の素材でカウンターの角を丸くオーダーし、人もつどいやすく。

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カルテルのスツールはマットな質感のトープカラーをチョイス。カウンター下の収納スペースと色を合わせることによって広々として見える

計算しつくされた収納計画でお気に入りのものは手放さず長く使う

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冷蔵庫横の空いたスペースは調味料やこまごまとした食品の収納棚に。冷蔵庫やスチームオーブンは「ふだんの生活スタイルに合っているから」という理由で日本製の電化製品を選んでいる。

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間仕切りの壁の奥にあるコンロのスペース。アーエーゲーで選んだIHを2口、ガスコンロを1口という組み合わせ。日々の管理が楽なのでIHもいいが、ガスコンロの強い火力で炒め物もしたいという希望をかなえた。塩とハチミツのコレクターを自称する宮田さんはコンロの横にさまざまな種類の塩を完備。

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世界中で集めた食器は引き出しに収納。夫とふたり暮らしのときに比べて出番は減ったという和食器もずらり

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キッチンカウンターの下はワイングラスを収納できるシェルフに。グラスの高さに合わせて棚を作っているので、サイズごとに収納できる。大人数の来客にも対応できるコレクションの多さもさすが

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サンクリドーでオーダーしたカーテンにもひと工夫が。窓側はコットンに、部屋側はリネンカーテンという通常と逆の組み合わせで使用している。夏の日射しが強い日は2重で閉めることも

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カーテンは窓ごとに異なるファブリックを使用。ディテールを楽しむこともできるし、白のトーンで統一することで、まとまった印象にもなる。エンブロイダリーの美しいカーテンはロロ・ピアーナ製。

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窓側のコットンカーテンを開けてリネンカーテンだけにすると、ほどよい光を取り込むことができる。夏の間は閉めっぱなしでも、ちょうどよい彩光具合だったのだそう。

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母のいた実家から持ってきた植栽や、人からもらった植物などをキャンドルと一緒にディスプレイ。計算しすぎていない配置も粋。メタルのテーブルに乗せて、海外のホテルのような優雅さも感じさせる

これからの生活に最適な空間を考えぬいた

群馬県草津町で心身の健康を取り戻す『ホテルクアビオ』のオーナーを務める宮田喜代美さん。’00年に建てられた都内マンションに夫とふたりで入居したが、14年前に夫が他界。4年前に同敷地内で空き部屋が出たため、これまで住んでいた1階から居を移した。今後はひとりでも暮らしやすいようにと思いきってスケルトン状態まで戻してからリノベーションを計画。今年4月に入居がかなった。

「主人と一緒に住んでいるときは3LDKでしたが、ひとりだと部屋数は必要ないんです。今回は120平米のスペースを自分ひとりでムダなく使えるようにするというのがテーマでした」

リノベーションを担当したのは、乃村工藝社に勤める友人。越した部屋はもともと1LDKで仕切りもなかったため、オープンキッチンとダイニング、プライベートエリアと大きく3つのゾーンに分けた。

「今は母が同じマンションの下の階に住んでいるので、行き来する生活。前の部屋では使わないスペースもありましたが、こちらはひとりの生活スタイルに合わせた動線に。オープンキッチンはカスタムメイドで相談できるクチーナにお願いしました。昔は友人たちをたくさん呼んでホームパーティをしていましたが今はもっと少人数のことが多いです。キッチンカウンターにカルテルのスツールを置いて、お料理をしながらちょっとずつワインを飲んで、おしゃべりをしてという感じですね。夜が深まってきたらダイニングに移動したり、テレビや趣味のレコードを置いているプライベートスペースへ。照明にはこだわりがあります。乃村工藝社と相談し、3つのゾーンに対して4つずつのシーンを設定しました。プライベートスペースで映画を見るときは4のスイッチを押すと、ちょうどいい雰囲気になる、と簡単に選べます」

自然光がたっぷりと射し込む室内はシックなグレーやトープカラーを基調にブルーの家具をさし色として効かせている。前の住居で使っていた家具や実家にあった植物、アンティークの家具などをうまく配置したバランス感覚のよさもさすが。

「フランスの会社に勤めていたこともあるので、骨董市なども大好き。この部屋はとにかく収納も多いのでアンティークのグラスやカトラリーなども収まりました。ずっと使っているシェルフやたんすなどもダイニングとプライベートルームとの間仕切りの壁に置いたりと工夫しています。居心地のよさという点でいえば、カウンターキッチンの角を丸くオーダーしたり、ダイニングのテーブルも円形にしたり。アーチ状の間仕切り壁も入れています。角があるものにぶつかって怪我をしないようにとの安全面も考慮しましたが、空間を豊かに使える感じがしますよね」

ムダのない動線とパリシックなセンスが洗練された空間をつくり出した。

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