大人こそ必見!新“絶対泣ける”韓ドラはこの作品!【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.47】

エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、最近作の中から、涙なしには見られない心を震わす名作をピックアップ! 

サッドエンドにして大団円。涙活にピッタリの「Mr.プランクトン」

「Mr.プランクトン」のウ・ドファン
「Mr.プランクトン」の主人公ヘジョ役のウ・ドファン。Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中
 映画「ある愛の詩」って観ました? 1970年の作品なのでエクラ世代では知らないという方も多いのではと思うのですが、当時としては“泣ける”映画No.1ともいわれて大ヒットした作品です。親の反対を押し切り、大富豪の家を出てまで結婚した最愛の女性が白血病で亡くなってしまう……という、いわゆる“死”によって引き裂かれる悲恋。「愛とは決して後悔しないこと」というあまりにも有名なセリフのリフレインに、ハンカチでは足りないくらいめちゃくちゃ泣いた観客はきっと数知れず。
「Mr.プランクトン」のウ・ドファン
Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中
 元来泣き虫だった私も当然、嗚咽した口なのですが、そんな私の横には、なんと、まんじりとスクリーンを見つめたまま、表情ひとつ崩さない女友だちがひとり。実は映画よりもむしろその事実のほうが泣き虫少女にとっては衝撃で、泣かないってなんか大人、泣かないってなんかカッコいい!という思考がしっかりと刻み込まれたというか。以来、“滅多なことでは泣かないぞ”自主トレを開始するに至ったわけなのです(他に積むべきことがあるだろうって話ではありますが)。それでも、そんな無駄な努力を重ねたせいか、どうにか備わってきてしまったのが、ドラマを観てもあまり泣かない強靭な精神力(?)。自分をよほど解放しない限り、悲しいだけでは、あまり泣けなくなっているんですね、今。
「Mr.プランクトン」のウ・ドファンとイ・ユミ
「Mr.プランクトン」ジェミ役のイ・ユミ(左)。Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中

“余命もの”だけど、悲しいからじゃない。手放しで大号泣の、その理由。

 ご存知のように、涙はストレス成分であるコルチゾールの分泌を低下させたり、副交感神経への切り替えスイッチになったり、涙の中に含まれるエンドルフィンが鎮静効果を発揮するなど、気分を落ち着かせてスッキリさせることが、科学的に解明されています。健康上、精神衛生上の観点からみると、やっぱり、人間、手放しで泣けるほうがいいに決まっているわけで。でも、余命ものとか悲恋ものとか、それだけでは、やっぱりなかなか涙が出てきてくれないのであります……。
 そんな無情ハートな私でも、久しぶりに大号泣してしまったのが、この「Mr.プランクトン」。しかも、これじゃあ泣けないなあと思う私的筆頭の余命もの。なのに、なぜ、手放しで大泣きしてしまったのか……。
「Mr.プランクトン」のウ・ドファン
主人公ヘジョ役のウ・ドファン。Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中
 主人公のヘジョ(ウ・ドファン)は、便利屋をしながら、目的を持たず、愛にも人にも留まることなく流れるように自由気ままにその日暮らしをしている若者です。タイトルにもある“プランクトン”は海の生態系において食物連鎖の一番底辺にある生き物ですが、つまりはヘジョもまた誰とも繋がらずに現代社会の底辺で浮遊しているプランクトンのような存在とでもいいましょうか。実の父親と思っていた人物が冷凍精子の取り違えで生物学的な父親でないことが判明したのが、そもそものプランクトン人生の始まりです。当然あるものと信じて疑わなかった愛が、幻のように消えていく空虚と孤独と理不尽……。その事実に耐えられずに高校卒業と同時に家出、路頭に迷っているところを、水商売的な女性ボンスク(イエル)に拾われて、なんとか今日まで生き延びてきたという経緯が。そのヘジョが、あろうことか脳腫瘍で余命3ヶ月を宣告されるところから、この大号泣物語は展開するのです。それ、普通の余命ものなんじゃない?というツッコミが入りそうですが、なんか違うんです。悲しいから涙が出てくるという感覚とは確かに異なるというか。
「Mr.プランクトン」のオ・ジョンセ
代々続く由緒ある「宗家」の息子、オ・フン役のオ・ジョンセ。Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中
 で、その余命宣告された病院で、ヘジョは偶然元カノだったジェミ(イ・ユミ)を見かけ、彼女が早期閉経と診断されたことを知ります。このジェミ、生まれてすぐに捨てられた孤児でして、つまりは家族の愛情を知らない天涯孤独な身の上。挙句、恋人だったヘジョにも捨てられたわけですが、夢は家族を持つことなのですね。その願いがようやく叶いつつあり、代々続く由緒ある「宗家」の息子、オ・フン(オ・ジョンセ)と婚約が整ったのですが、実はフンの母(キム・ヘスク)はジェミが嫁になることには大反対。フンはとても気の優しい性格でこれまで宗家を一人背負ってきた強い母に反抗することもできず、いわれるがままに鬱々と生きてきたというか、まるで籠の鳥のごとく、自由に羽ばたくこととは無縁の人生を送ってきたのです。
「Mr.プランクトン」のキム・ヘスク
フンの母親役キム・ヘスク。Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中
 そんなフンが、母の思惑関係なしに初めて好きになったのがジェミでして、ジェミを全くもって認めようとしない母にジェミが妊娠したと嘘をつき、渋々母の賛同を得てどうにかこうにか婚約に漕ぎ着けたという次第。フンは生まれて初めて自分の意志で行動したわけですが、なのに、ジェミは早期閉経という事実(フンはまだ知らないけど)。ジェミとしてはこのまま、知らぬ顔で宗家の嫁に収まるべきなのか……。そんな入り組んだ事情のあるジェミとフンの結婚式がいよいよ始まるのですが、その直前になんとヘジョが忍び込み、ジェミを略奪してしまうという。
「Mr.プランクトン」のウ・ドファン
Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中

アウトローな色気と可愛さが似合う。ウ・ドファンの魅力全開!

 そこから、物語はヘジョの生物学的に繋がる実父探しの旅へと展開していくのですが、自分のルーツを探すヘジョと、ヘジョに略奪されてその旅に無理やり付き合わされるジェミ、そのジェミを追うフンという構図で、釜山や済州島、挙句には無人島まで韓国各地を移動しながら、さまざまな人たちと交流し、期待と失望と、愛と裏切りと、くんずほぐれず絡まり合いながらドタバタとロードムービー風に進んでいくわけです。この3人のある種奇妙な三角関係に、フンを呼び戻そうとする母の追手とか、便利屋ヘジョにしてやられたヤクザたちとかが加わって、そりゃあそりゃあ、しっちゃかめっちゃか大騒ぎ。確かこれは最期を迎えるまでの悲しみの旅だったはず。なのに、思いっきり可笑しくて、思いっきり切なくて、どんどんどんどん、愛に包まれていく不思議。
「Mr.プランクトン」のイ・ユミ
ジェミ役のイ・ユミ。Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中
 実は、ウ・ドファンは、私的にはどちらかといえばスルーしがちな俳優だったのですが、ごめんなさい、私が間違っておりました。捨てられた大型犬的アウトローな色気と可愛さがこんなにも似合うナムジャ(男性)だったなんて! またまた古くてすみませんが、「傷だらけの天使」のショーケンとか、赤テント舞台の根津甚八とか、それを彷彿させるようなキャラを、アウトローがもはや死語になりつつある今の世の中で新たにお目にかかれるとは思わなかった。愛を求めつつ、愛に見放され、そして、自分の求めていた本当の愛を知る、世界一切なくて、世界一悲しくて、世界一幸福な男、ヘジョ。この役の魅力を堪能しきれたのもきっとウ・ドファンだったからなのかもしれません。とうの昔に涙枯れ果てた女をこんなにも泣かすなんて、何者?
「Mr.プランクトン」のイ・ユミ
Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中
「イカゲーム」以来、あまりパッとしなかったイ・ユミも、漫画のような笑顔がぴったりのキャスティングだったし、フンを演じる実力派オ・ジョンセのひ弱で誠実というお得意のキャラももちろん絶品だったし、特にヘジョとの奇妙な逃避行となっちゃう後半のケミ(相性)は、ふたりの胸熱化学変化がじんじん響くというか。そして、フンの母、キム・ヘスクの貫禄、その義妹を演じたキム・スジンのおとぼけ、ヘジョの便利屋の従業員キム・ミンソクのお茶目さ、ヘジョを拾ったイエルの粋。誰もかれも、もう本当に愛があふれんばかりなのですよ、これが。
「Mr.プランクトン」のウ・ドファン、イ・ユミ、オ・ジョンセ
Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中
 そう、だから、悲しいから涙が出るのではないのです。どんどん満たされていく感覚。悲しいけれど晴れやかな気分だし、とんでもなく切ないけれど、最高だったよといってあげたいし。これまでにありそうでなかったサッドエンドにしての大団円。いやあ、あふれ出る涙の清流が私の脳内の悪いものを一気に浄化していく〜、みたいな。涙って、やっぱりいい! 清々しく号泣したいあなた、愛と健康の涙活にはこのドラマを観るっきゃありません。
■Netflixシリーズ「Mr.プランクトン」独占配信中

こちらも見逃せない!“絶対泣ける”傑作選!

「照明店の客人たち」

「照明店の客人たち」
© 2025 Disney and its related entities
 ‘23年の傑作「ムービング」の脚本を自ら手がけた人気ウェブ漫画作家カンフルが放った待望の新作。チュ・ジフン、パク・ボヨン、オム・テグ、キム・ソリョン、イ・ジョンウンなどなど実力派が揃うキャストも豪華です。なのですが、前半は、不穏というか不気味というか、背筋が寒くなるような異様なムードに包まれたまま、まるで暗い霧の中に迷い込んでしまったようでして、彼らがどんな物語を展開するのか、どんな繋がりがあるのか全くわからないまま進むのです。
「照明店の客人たち」のチュ・ジフン
店主役のチュ・ジフン。© 2025 Disney and its related entities
 例えば、深夜のバス停。大きなスーツケースを持った白いワンピースの女(キム・ソリョン)がボーッと一人(深夜一人で観る時は要注意。ホラー苦手派は間違いなくギョッとしますから)。バスを降りるたびに、なぜかそこにいるその女が気になる乗降客の男(オム・テグ)。毎夜、母(イ・ジョンウン)の使いで電球を買いに来る女子高校生(シン・ウンス)。一軒家に住むことになぜか執着する作家の女(キム・ミンハ)。老人の孤独死を密かに捜査する刑事(ぺ・ソンウ)。犬の鳴き声がうるさくて眠れないとイラつく男。彼らは、吸い寄せられるように薄暗い路地の先にある「照明店」へとふらりと入っては、出ていっているようなのです。無数の電球の灯りがゆらゆらと温かく店内を照らしている深夜だけの営業というその店には、夜なのにサングラスをかけた店主(チュ・ジフン)が一人店番をしているのですが、一体、彼らは何をしに照明店を訪れ、何もせずにふらりとまた出ていくのか。
「照明店の客人たち」のキム・ソリョン
謎の女性ジヨン役のキム・ソリョン。© 2025 Disney and its related entities
 一方で、病院のICUに勤務する看護師(パク・ボヨン)は、面会謝絶の病室になぜか入り込んでいた男から、霊安室はどこかと聞かれます。ん?ひょっとして見える系なのか……。照明店とその病院に何かつながりはあるのか? 恐る恐る先を見進めるうちに、次第に暗闇に沈んでいた彼らの物語と繋がりが灯りに照らされていくかのように徐々に浮かび上がってくるのですが、そこまでくると、もう、涙の出番。照明店とICUは、生と死をつなぐ境界線。そこを訪れる人々のそれぞれの人生に、さまざまな角度から何度も何度も心揺さぶられること必至。彼らは死の世界に向かうのか、それとも生ある現実に戻っていくのか。その分かれ目はどこにあるのか……。店主チュ・ジフンのサングラスをかける理由と店主になった経緯には、思わず涙があふれてしまうことを確約します。作家カンフルの紡ぐ物語は、やっぱり泣ける! もちろん、感動だけでなく、ハッピーエンドには終わらない、ちょっと考えさせられる物語もきっちり盛り込んであるところも後を引くのですよね、これが。
■ディズニープラスで全話独占配信中

「LOST 人間失格」

 ホスト時代の元同僚の心中事件。物語はリュ・ジョンヨル演じるガンジェが家族さえも引き取らない同僚の葬儀を代わりに行うところから始まるのですが、どこかやるせないそんな冒頭といい、タイトルといい、どんな暗い理不尽な物語がそこから展開するのか……と思いますよね。ということで、日本で配信されたのは昨年でしたが(韓国の放送は’23年)、なかなか視聴する気になれなかった作品なのです。私の信頼する韓ドラ仲間から「めちゃ、いいよ〜〜〜」と背中を押されて、つい最近、視聴。結果からいうと、まさに「めちゃ、よかった〜〜〜」というわけでして。「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」とか「愛だと言って」とかに近い感じとでもいいましょうか。
「LOST 人間失格」のチョン・ドヨンとリュ・ジュンヨル
主役のチョン・ドヨン(左)とリュ・ジュンヨル(右)。© JTBC Studios Co., Ltd. all rights reserved.
 物語の主人公ブジョン(チョン・ドヨン)は作家になるのが夢だったオーバー40の女性。出版社でゴーストライターをしていたのですが、あるトラブルから退社、心を病んで日雇いの家政婦をしながら、なんとか生きているといった感じ。一方、もう一人の主人公ガンジェは、家族とか友だちとか、なんなら恋人とか、役割代行の仕事をしながら、目的もなくただお金を得るためだけに暮らしている元ホスト。ドラマは、絶望と空虚を抱えたそんな二人が出会うことで、揺れ動いていくそれぞれの思いを繊細に映し出していくのですが、果たしてその先に見えてくるものとは……。少々文学的な作品ではありますが、観ていてなぜか安らぐというか、心地いいというか。重いテーマにも関わらず、全編通して貫かれている目線がかなり優しいのですね。悪意というものが一切登場していないのはもちろんのこと、主人公のふたりはもちろん、彼らを取り巻く周囲の人たちも、それぞれにそれぞれの立場を真摯に生きているだけのです。なのに、うまくいかないのが人生で。そんな哀切にじんわりと泣けるというか。
「LOST 人間失格」のチョン・ドヨン
ブジョン役のチョン・ドヨン。© JTBC Studios Co., Ltd. all rights reserved.
 夫婦とは、家族とは、人間とは、幸せとは……、常識的には実は収まらないそれぞれのあり様に観終わった後も深い余韻が後を引くというか。ブジョンの夫(パク・ビョンウン)の届かない優しさ、娘の幸せだけを願う父(パク・イナン)の深い愛、口うるさいけれどいい奴な姑(シン・シネ)の苦労、長年の常連女優(パク・ジヨン)を静かに見守るホストの純愛、などなど、それぞれ胸に迫ってくるというか。そして、やっぱりブジョンとガンジェです。心の渇望を埋めるのはお互いの心だけ。そんな究極のプラトニックエロスの緊張感が圧巻。チョン・ドヨンの細やかな感情表現とリュ・ジョンヨルの抑制の効いた唯一無二の色気がマジで半端なく。感慨深い涙に浸るなら、ぜひ、この作品を。
■U-NEXTにて配信中
山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。今年に入って、インスタ(@harurikuumi)も始動。ドラマシーンのイラスト&勝手な解説を挙げてます。
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