【50代の悩み】老眼だけじゃない! 加齢で始まる目のトラブルをチェック <2>

老眼だけじゃなく、加齢とともに発症する目のトラブルはたくさん存在。eclat12月号では、将来病気を発症する恐れのある、疑わしい自覚症状をご紹介。正しい知識を身につけて、早め早めの対処を!

加齢黄斑変性(おうはんへんせい)

視界のゆがみから失明の危険も。食生活の欧米化で増加傾向。
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【どうして起きる?】
網膜色素上皮細胞周辺の異常が原因。
日本人は、新生血管から滲出液(しんしゅつえき)が出て、網膜の機能異常をきたす例が多い。遠因としては酸化、紫外線、脂肪の多い食事、ストレス、喫煙などがあげられる。

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    [正常な場合] 網膜の中でも感度の高い黄斑部。ここの網膜色素上皮細胞とブルッフ膜の間には老廃物がたまり、通常は新しい細胞が成長するときに処理してくれるが、加齢とともにその処理が追いつかなくなる。このため、ゆるやかに網膜組織が「委縮」して黄斑変性になることも。

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    [滲出型加齢黄斑変性の場合] 加齢により、網膜色素上皮細胞に障害が生じると、脈絡膜から「新生血管」(細かくもろい異常な血管)が発生する。この血管が破れてそこから血液や水分があふれることで、網膜組織を圧迫して黄斑変性を起こす。日本人にはこちらのパターンが多い。


「酸化」が一因とされる視野の中心の“異常事態”

エクラ世代になって、物がゆがんで見える、視界の中心が暗い、視力が極端に落ちてきたといった場合に疑われるのが、加齢黄斑変性。

小島先生「加齢とともに新陳代謝が衰えると、網膜の中でも感度の高い黄斑部に老廃物がたまりやすくなり、酸素不足になります。するとそれを補おうと、異常な新生血管が発生します。この血管は非常にもろく、血液成分が漏れ出したり、出血したりすることで視覚障害が起こります。これを滲出型加齢黄斑変性と呼びます。滲出型とは別に、網膜色素上皮細胞が萎縮し、視細胞が減少して視力が落ちていく『委縮型』もあります。どちらも放っておくと失明につながり、欧米では成人の失明原因の第1位になっている危険な病気です」


発症には「体の酸化」も関係している。紫外線や喫煙、高脂肪食や野菜の少ない偏った食事、ストレスなどの酸化要因が重なって、近年、日本人にも増えているという。

小島先生「治療は、滲出型の場合は、硝子体に新生血管を弱らせる薬を注射する方法が一般的で、これで進行を抑えられます。萎縮型の有効な治療法は残念ながら見つかっていませんが、進行がゆるやかなので経過観察をします。異常を感じたら、すぐに眼科で検査を受けてください」


予防するには、先に述べた要因となる生活習慣を改善することも大事。

小島先生「喫煙は避け、外出時はサングラスなどで目を紫外線から守りましょう。ふだんの食事で、野菜などから抗酸化成分を摂取することも心がけて。眼科でも、ルテインやβ–カロテン、ビタミンC・Eなどの抗酸化成分が配合されたサプリメントの処方を取り入れています」


どんな治療法がある?

・外来治療で注射を打つ抗VEGF療法
→新生血管の増殖を抑える薬を、眼球に注射するもの。入院不要で、外来で受けられる。レーザーで新生血管を焼きつぶす治療法もあるが、中心窩に病変があると施術不可など制限がある。保険適用。

・サプリメントの服用
ルテインなどの抗酸化物質を配合したサプリメントの処方も行われている。ふだんの食事で、抗酸化物質の豊富な野菜などもとっておくほうがよい。
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