宮崎の鮨店でワインとの相性を楽しむ 一心鮨 光洋

今、地方の若手の鮨がおもしろい。名を馳せる鮨屋が数ある中、注目の店はどこか。うまい鮨+α。全国の鮨好きがこぞって訪れる、大人の女性好みのお店をご紹介。
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左が’87年生まれの一光さん、右が’78年生まれの一洋さん。息ぴったり、漫才のようなサービスも、この店ならでは。中庭を望むカウンターはゆったり開放感があってくつろげる。ほか会席コースを出す個室やテーブル席もある
 ここまで突き抜けた鮨屋はなかなかない。大将の木宮一洋さんは、冗談ばかりいってカウンターをわかせつつ、豪快なキャラクターとは正反対の繊細なにぎりをさっと出してくる。すると蝶ネクタイ姿のマネージャー・一光さんが現れ、その一貫に合うワインをグラスでサーブ。ふたりは9歳違いの兄弟。父から受け継いだ店の名を、ここ数年で一気に全国区にした。
 一洋さんは21歳のとき、父の下で鮨職人の道を歩みはじめた。真の修業は父が亡くなったあとからだと話す。6年前のことだ。自分の鮨をにぎりたい。その一心でいろんな人を訪ねる。先輩鮨職人、漁師、杜氏、他ジャンルの料理人……。魚の長期熟成にも挑んだし、酢めしを4種作り分けた時期もあった。まさに試行錯誤。2年前、宮崎の伝統野菜・黒皮かぼちゃに出会う。砂糖でなく野菜の甘味を利用した酢めしにはその前からトライしていたが、黒皮かぼちゃの煮汁で炊いたところ、ぴたりときた。酢めしが決まった。同時に魚の長熟はきっぱりやめる。「自然な甘味のシャリに対し、熟成魚は強すぎる。口に入れた瞬間のインパクトより、10 貫食べても疲れない鮨を目ざしていこう、と」
 そのころ、他店に修業に出ていた一光さんが本格的に店に加わる。修業先は横浜のイタリア料理店。そこで一光さんはイタリアを中心とする自然派と呼ばれるワインに出会う。白も赤も、フレッシュなものも熟成感のあるものも、等しく体にしみ渡るような飲み心地に驚いた。鮨屋といえばお決まりなグランヴァンでなく、自分がおいしいと感じるワインを推していこう。そう決意する。サービスのプロとして。それらのワインは、奇しくも兄のたどりついたにぎりと同じ方向を向いていた。
『一心鮨 光洋』はワインペアリングが楽しめる稀有(けう)な鮨屋だ。朝、一洋さんから仕入れと仕込みを聞き、一光さんがワインを考える。酢めしが決まってから、一洋さんは仕込みの方法をすべて一から見直した。県外からのゲストも増えたが、まだまだ攻めの姿勢をくずさない。ここだけの味、時間を、兄弟でさらに突き詰めようとしている。
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『一心鮨 光洋』のにぎり。(左から)福岡のヤリイカ、宮崎の車エビと豆アジ。ヤリイカは塩水に浸してさっとボイル。車エビはゆでてからかつおだし入りの醤油地でヅケに。水槽のエビがストレスを受けると知って、鮮度に頼らず味を出す仕事を考えた
魚は宮崎、九州のものが中心。米はあきたこまちと花キラリを使用。黒皮かぼちゃの煮汁で炊き、米酢と合わせることで、はらりと開き、かつ米のうま味をしっかり感じる酢めしに。配合は一種だが、鮨ダネに応じ4通りににぎり分ける
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    天草のコハダ。唐津加唐島の塩と赤酢で締める

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    銚子の金目鯛。松前漬けにし、身には決して火が入らないよう皮目を焼き、柚子の香りを添えて 

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    唐津の赤ウニ 

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    有機卵で作るフォアグラの茶碗蒸し。柳川の一番摘みののりを使ったのりのあんかけ

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    宮崎の天然真鯛。5%の塩水に浸したあとで3日間寝かせ、塩で締めてうま味をきれいに凝縮させる。

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    マグロは築地から。塩で締めたあと、酢めし用の合わせ酢で酢締めに

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    『一心鮨 光洋』のワインペアリングの一例。イタリア、フランス、日本のワインに混じり日本酒『新政 陽乃鳥』(左から5番目)も。カツオ刺しには酸の美しいピエモンテの赤(左から4番目)

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    金目鯛のにぎりにはアロマティックなアルザスのゲヴュルツトラミネール(右から3番目)を、と1~2品に1杯を合わせてくれる。食後には宮崎『白玄堂』のとびきりの煎茶が供される

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    名物料理のフォアグラ茶碗蒸しにはカニあんバージョンも(のりかカニ、いずれかが供される)

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    ノドグロ焼き。愛媛『梶田商店』の再仕込み醤油で炊いた肝をのせて。フリウリで果皮ごと醸して造ったオレンジ色の白ワインと

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    宮崎産カツオの刺身。わきに添えられているのは、本わさびではなく、あえての練りわさび。宮崎の甘い醤油にすっかり溶かして、血合いもつけたままの厚切りをつけていただく

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宮崎県宮崎市昭和町21 
☎0985・60・5005
11:30~13:15(LO)、18:00~20:30(LO) 
㊡火・水曜
おまかせ 昼・夜¥18,000~(会席コース 昼¥5,000~・夜¥12,000~)、
ワインペアリング¥6,000~
カウンター12席、テーブル17席、個室5室
AFTER SUSHI に行くなら…

Shot Bar Oak

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旬のフルーツを使ったカクテルが楽しめるバー。宮崎産の生の果実を主に使い、果皮のうま味まで生かした、"今だけ""ここだけ"が味わえる。マンゴー、ぶどう、イチゴ、きんかん、日向夏…訪れるたびに果実との新しい出会いが。
宮崎県宮崎市中央通1の10第一ビル1F
☎0985・29・1909
19:30〜翌1:00(金・土曜は〜翌2:00)
不定休あり
フルーツカクテル¥1,100〜、
手作りジンジャーエールのカクテル¥1,100〜
チャージなし
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