料理研究家 有元葉子の料理の基本 -センスを生み出すキッチン流儀・簡単でおいしすぎる人気レシピ-
料理研究家 有元葉子さんの料理はどうしてそんなにおいしく、素敵なのか?ズバぬけたセンスと素敵さを生み出すキッチン流儀や簡単で飛びぬけておいしい神レシピなど、進化を続けるその魅力をまとめてご紹介。
有元葉子(ありもと ようこ)
料理研究家。東京・田園調布で料理教室「cooking class」を主催。6年間にわたる本誌エクラ人気連載を単行本化した「有元葉子 この2皿さえあれば。」(集英社)が好評発売中。
【おいしくて素敵な食卓が「2皿」でつくれる理由】
本誌エクラの人気連載、有元葉子さんの「この2皿さえあれば。」をまとめた待望の単行本が好評発売中。有元さんは普通の食材やメニューを、ちょっとした切り方、組み合わせで美味しい料理を作る天才。そんな有元さんは、まず「2皿さえあればいい」と言います。その秘訣を教えていただきました。
ボリューム肉+たっぷり野菜
ワインがすすむ2皿
色の妙
鍋+副菜
6年前にエクラの連載をスタートしたとき、なぜ「2皿」をテーマにしたのかといえば……。
例えば、お肉料理なら、私だったら、もう一品は野菜たっぷりのお皿が欲しい。炊き込みごはんなら、もう一品は汁物がわりの茶碗蒸しを作ろう……というふうに「2皿」なら、食べたい組み合わせが浮かびやすいからです。
「魚や肉/野菜」といった材料の違い。「カリッ/ふっくら」といった食感の違い。「しょっぱい/淡泊」などの味の違い。そして、「白/緑」といった色の違い。「2皿」はさまざまな点でバランスがとりやすいのです。
今はどんなものを食べたい気分かな、と体の中の声に耳をすまして、店先でおいしそうな顔をしている旬の食材を選ぶ。立派なほうれん草が目について、おひたしで食べよう、と決めたら、それなら相手はお肉かな、魚かな……と考えて2皿目を決める。
汁気が欲しければ、たっぷりのお茶や吸い口だけ添えたおだしを添えても。炭水化物が必要ならば、ごはんでもいいし、パンを添えても。「2皿」にさえ力を入れれば、あとはプラスアルファで、豊かな食卓が整います。こんなふうにふだんから「2皿」の献立を練習しておくと、人を招くときも気取らず素敵な食卓をつくれるようになります。
例えば、お肉料理なら、私だったら、もう一品は野菜たっぷりのお皿が欲しい。炊き込みごはんなら、もう一品は汁物がわりの茶碗蒸しを作ろう……というふうに「2皿」なら、食べたい組み合わせが浮かびやすいからです。
「魚や肉/野菜」といった材料の違い。「カリッ/ふっくら」といった食感の違い。「しょっぱい/淡泊」などの味の違い。そして、「白/緑」といった色の違い。「2皿」はさまざまな点でバランスがとりやすいのです。
今はどんなものを食べたい気分かな、と体の中の声に耳をすまして、店先でおいしそうな顔をしている旬の食材を選ぶ。立派なほうれん草が目について、おひたしで食べよう、と決めたら、それなら相手はお肉かな、魚かな……と考えて2皿目を決める。
汁気が欲しければ、たっぷりのお茶や吸い口だけ添えたおだしを添えても。炭水化物が必要ならば、ごはんでもいいし、パンを添えても。「2皿」にさえ力を入れれば、あとはプラスアルファで、豊かな食卓が整います。こんなふうにふだんから「2皿」の献立を練習しておくと、人を招くときも気取らず素敵な食卓をつくれるようになります。
【有元葉子さんのキッチン流儀「この2皿」を生み出すキッチン】
有元さんが立つのは、ともに建築家である長女夫妻の八木家と一緒に、湘南の高台に建てた家のキッチン。天井が高く、南向きのガラス張りの窓から、日がたっぷり降り注ぐ。靴こそ脱ぐものの、玄関からキッチンまでフラットに続く設計で、床がタタキだった昔の家の雰囲気がどこか漂う。
「キッチンも、昔ながらの朝顔(鋳物ガスコンロ)を入れたりして、進化ではなく退化させているんです。そのほうが豊かでおいしいものが作れるから」ズバ抜けたセンスと素敵さを生み出すその魅力の源をキッチンから探ってみた。
「キッチンも、昔ながらの朝顔(鋳物ガスコンロ)を入れたりして、進化ではなく退化させているんです。そのほうが豊かでおいしいものが作れるから」ズバ抜けたセンスと素敵さを生み出すその魅力の源をキッチンから探ってみた。
有元さんのキッチン流儀 ”9つの哲学"
ゆったりとスピーディ。大胆で繊細。生き方にも通じる有元さんの台所仕事の鮮やかさ。そのキーとなる9つの哲学。
1.キッチンを“退化”させる
昔使っていた通称“朝顔”は弱火から強火まで火かげんが自在なコンロ。とてもいいので時代を逆行して新しいキッチンに導入。実は退化したキッチンのほうがおいしいものができるのです。
新しい家では七輪や朝顔が大事な「火」の道具。「野尻湖の家では暖炉を使って料理もします。薪、炭、ガス火―原始的になればなるほど、素材がおいしく焼ける。まったく味わいが違います」
2.“NO、プラスチック”
キッチンに立っているとどうしても温暖化やゴミの問題が他人(ひと)事ではなくなる。プラスチックのものをなるべく使わない、置かない。それだけでもずいぶん違うはず。暮らしが美しくなります。ステンレスやオリーブの木のボウル、天然木のまな板を愛用。「プラスチック製品は汚れやすく、汚れたら捨てなければならない。ゴミを増やしたくないのです。」
「包丁の切れ味という“触感”もとても大切。頻繁に自分で研いで、よい切れ味を保っています」。研ぐときの専用の台は、有元さんの手づくり
3.作るときも“目を愉しませる”
できあがった料理はもちろん、作っている途中も“目が愉しんでいる”ことが私にとって大事。調理中の状態が美しければ完成した料理は必ずおいしい。段取りや道具の力も大きいです。
グリーンのぶどうと、グリーンのサラダ野菜を組み合わせて、目にみずみずしいひと皿を作り上げる。「盛りつけ用、というのではなく、お皿の上に絵を描くように。目が愉しむように」
水を吸わせて養生した野菜は、ザルを重ねたボウルに入れて、プレートでふたをして冷蔵庫に入れておく。「この方法なら4〜5日は平気で野菜を元気に保てます」
そのときに使うものしか、外に出ていない有元さんのキッチン(都内のスタジオ)。肉を焼きつけたら、このバットにとって……と段取りされているので、調理は流れるようにスムーズ
4.一生どころか、二生も。“使えば使うほど美しくなる”道具を選ぶ
くっつかないフライパンは最初はいいけれど、使ううちに剝げたりしてゴミとして捨てることになる。一方、鉄のフライパンのような道具は使うほどに味わいが増す。美しくなる道具が好きです。
「手入れをした鉄のフライパンは、貫禄が出てかっこいい。どちらを選ぶかです。手入れは不要だけれど、早くゴミになる道具か。手はかかるけれど、使うほどに美しくなる道具か。私は後者が好きです」
「手入れをした鉄のフライパンは、貫禄が出てかっこいい。どちらを選ぶかです。手入れは不要だけれど、早くゴミになる道具か。手はかかるけれど、使うほどに美しくなる道具か。私は後者が好きです」
5.本当によい素材を“買う”
何も考えずに店に並んでいる材料を買っているのではよい食事はできません。いいものを買おうとする努力が必要。その努力が店を動かす。作り手を励ます。自分の五感で確かめることです。
「本当においしいと感じられる食材を手に入れるのは大変」と有元さん。和食の基本となるだしを引く昆布もいりこも「自分の五感を総動員してよいものを選ぶ。その努力がおいしい暮らしの第一歩」
「本当においしいと感じられる食材を手に入れるのは大変」と有元さん。和食の基本となるだしを引く昆布もいりこも「自分の五感を総動員してよいものを選ぶ。その努力がおいしい暮らしの第一歩」
6.使える道具が“最強の助手”に
液体のキレがいいこと、油が飛び散らないこと……。スピーディかつ美しい“料理の流れ”をつくるためによい道具は必須です。道具は台所仕事をシステム化するツールです。
同じバットを並べて、粉、卵、パン粉とつけていけば揚げ物もスムーズで、キッチンが汚れない。「自分が使いやすい道具」を追求したキッチン道具『ラバーゼ』シリーズのプロデュースもしている。バット同様、『ラバーゼ』の揚げ鍋。油ハネが少なく、付属の揚げかごを利用して、使用済みの油も漉(こ)せる優れモノ。
7.ひとりごはんこそ“マイ折敷”
家でひとりの食事どきこそ折敷(おしき)の出番。仕事中の机も、書類を寄せて折敷を置けば“きちんとごはん”の様相になる。おつゆは漆椀で。ふだんにもよい器を使うのも、暮らしをちゃんとするための入口。「折敷は、卓上に結界をつくれるから便利。ある日のひとりごはんは、鶏とごぼうとこんにゃくのおつゆ、とうもろこしと枝豆のごはん。この2品に、常備菜を並べれば十分満ち足りた食事に」
8.“触感”って意外と大事
自分でスポンジをつくったとき。茶碗は何も感じないのだから、手に気持ちのいいスポンジをつくろう、と。毎日のことですから触感はとても大事。気持ちよければ仕事も楽しい。「キュッと握ったときの触感を大事にして」、試作を重ねてつくった『ラバーゼ』のスポンジ。「決して安くはないけれど、これが人気なんです。しかも白が一番売れすじ。日本人の清潔好きがうかがい知れますね」
「包丁の切れ味という“触感”もとても大切。頻繁に自分で研いで、よい切れ味を保っています」。研ぐときの専用の台は、有元さんの手づくり
9.ちょっとあき時間があれば作る“常備菜”
食べることは大事。疲れていて何も作りたくない日も冷蔵庫から常備菜を出して冷凍ごはんを蒸して温めれば、体と心によいものが食べられる。私の元気の源です。
ししとうとじゃこの煮物、野菜入りの肉みそなどの「地味なおかず」を、有元さんは時間を見つけてはせっせと作る。「鶏むね肉の酒蒸しは、裂いてあえ物やサラダがすぐに作れるから便利」。いずれもそのまま食卓にも出せる、高久敏士作のふたつき白磁に
ししとうとじゃこの煮物、野菜入りの肉みそなどの「地味なおかず」を、有元さんは時間を見つけてはせっせと作る。「鶏むね肉の酒蒸しは、裂いてあえ物やサラダがすぐに作れるから便利」。いずれもそのまま食卓にも出せる、高久敏士作のふたつき白磁に
【簡単なのにおいしすぎるから、何度も作りました!神レシピ3】
素敵で豊かな暮らしを体現し、多くの女性の憧れである有元葉子さんがエクラで連載している「この2皿さえあれば。」をまとめた待望の単行本がこの秋発売! 連載の中で特に人気だった神レシピ3を公開。
<神レシピ1>牡蠣の春巻きと白髪ねぎ
パリッ、サクッとした歯ごたえで、中の牡蠣のふっくらとしたうま味があふれだす!
「もう何十回と作っています。パリッ、サクッ、中の牡蠣はふっくらとうま味が出てきて、大好きです」―スタイリスト・千葉美枝子
【約4人分】
牡蠣(加熱用).....大粒8個
春巻きの皮(円形のもの).....大4枚(普通サイズなら8枚)
長ねぎ(白い部分).....2本分
薄力粉.....大さじ4
水.....大さじ4弱
粉がらし.....大さじ1
熱湯.....適量
揚げ油.....適量
*牡蠣は洗浄されている生食用よりも加熱用のほうがうま味があるので、加熱調理のときにはこちらを使うのがおすすめ。
1.牡蠣は塩水(材料外)でよく洗い、熱湯でさっとゆでてペーパータオルの上に並べ、水気をきっておく。
2.薄力粉に水を混ぜて、硬めの糊を作る。
3.粉がらしに熱湯を加えて菜箸で手早く混ぜ、少しゆるめの溶きがらしを作って、ふたをしておく。
4.長ねぎは3~4㎝長さの白髪ねぎにし、冷水に放っておく。
5.春巻きの皮を半分に切り、切り口を手前、半円を向こう側にして置く。手前から1.5㎝ほどのところの中央に牡蠣をのせて、半円のてっぺんのあたりに2の糊をつける。
6.春巻きの皮の左右を折り、折り重ねた上部に糊をつける。手前から巻いて、ひと口サイズのスティック状にする。
7.ひたひたの揚げ油(春巻きが油からかすかに出るぐらい)を中温に熱し、6を入れて、カリカリになるまでゆっくりと揚げる。白髪ねぎとともに器に盛り、好みで溶きがらしやしょうゆをつけていただく。
<神レシピ2>しいたけのサラダ
肉感的なしいたけと苦味の野菜が相性抜群の一品です。
「肉感的なしいたけ!苦味の野菜と本当によく合うんです」―ライター・白江亜古
【約4人分】
しいたけ……10~12個
クレソン、ルッコラ、イタリアンパセリ……各適量
オリーブオイル……適量
レモン……1個
にんにくのみじん切り……1片分
塩、こしょう、岩塩……各適量
1.しいたけは硬い石づきがあれば切り落とし、軸ごと縦に2~4等分に裂く。
2.焼き網を熱して、しいたけをのせ、強めの火で、箸で返しながらまんべんなく焼く。
3.クレソン、ルッコラを食べやすくちぎりながら大皿に盛りつけ、オリーブオイルをまわしかける。
4.焼き上がったしいたけをボウルに入れ、オリーブオイル大さじ2であえる。にんにくのみじん切り、ちぎったイタリアンパセリを加え、レモン1/2個を搾りかけて、塩、こしょうで味をととのえる。
5.3の野菜の上に4をのせ、岩塩を全体にふりかけ、レモン1/2個を添える。各人で取り分け、好みでさらにレモンを搾りかけていただく。
<神レシピ3>トマトとにんにくのパスタ
「にんにくをゆでるとぜんぜん違う!うちの定番パスタになりました」―カメラマン・三木麻奈
【約2人分】
プチトマト……30個
にんにく……1玉
オリーブオイル……適量
赤とうがらし……1本
塩……少々
スパゲッティ……180g
水……2ℓ
塩……大さじ1½
バジル、パルミジャーノ……各適量
1.プチトマトはヘタを落とし、半分に切る。
2.にんにく半玉は皮をむいて、軟らかくなるまでゆでる。串が通るほどに軟らかくなったら、包丁でつぶし、ペースト状に。残りの半玉は生の状態で粗みじんに切る。
3.鍋の底一面にオリーブオイルをひき、トマトを入れてふたをして蒸し煮にする。トマトからジュースが出てきたら中火にし、小口切りにした赤とうがらし、みじん切りにした生のにんにくを入れて中火で煮る。
4.分量の水を沸かし、沸騰したら塩大さじ1½を加えスパゲッティを入れ、サッと混ぜる。袋の表示より2~3分短くゆでる。
5.3のソースがなじんできたら、塩少々、ゆでたペースト状のにんにくを加えて、ふたをして煮る。
6.スパゲッティがゆだったら水気をきり、5のソースの中に入れてあえる。器に盛り、バジルを散らし、好みでパルミジャーノをすりおろしていただく。
【献立はシンプルに楽しく!センス光る「有元葉子流おもてなし」】
「人を招くときのメニュー選びも、まずはメインの2皿から考えます。あとは買ってきたものなどで、いくらでも素敵におもてなしができます」。センスが光る、有元葉子流おもてなしのしつらいを伝授。
“すべてにがんばりすぎなくて いいんです”
息をのむほどに美しくておいしい有元さんの料理。「でも、忙しいですから、私も帰ってすぐにできるもので、おもてなしすることも多いんです」。
6年間の長きにわたる連載のテーマどおり、「おもてなしもまずは2皿さえ作れば大丈夫。あとは簡単なサラダ、買ってきたものをアレンジして組み合わせれば、十分に素敵な献立ができると思いますよ」。
6年間の長きにわたる連載のテーマどおり、「おもてなしもまずは2皿さえ作れば大丈夫。あとは簡単なサラダ、買ってきたものをアレンジして組み合わせれば、十分に素敵な献立ができると思いますよ」。
“パッと目をひく色、香り、温かさ…。 おもてなしの食卓は 何かテーマを絞るとうまくいきます”
例えば、カリフラワーのパセリソース、牛肉のパプリカ煮込みの2皿と決めたら……。
「いきなり、この2品を出すのでは間がもたないから、ここに行き着くまでの時間を楽しめるものが必要。メインがどちらも火を通した料理なので、生のみずみずしい味わいが欲しいですね。最初に乾杯するときに、梨やりんごとブルーチーズを組み合わせたお皿とか、買ってきたニシンの酢漬けとお野菜の組み合わせなんかがあるといいと思う。そうしたもので、シュワッとした泡や、軽い白ワインをまずは楽しんで。牛肉のパプリカ煮込みを食べるころには『次は赤をあける?』って。パプリカ煮込みはソースがおいしいので、つけて食べるパンを誰かに買ってきてもらうとか。バターライスもよく合いますので、白いごはんを炊いて、バターをたっぷりまぶしたのを締めに出すとか……。こんなふうに考えると、気楽で簡単でしょう?
2皿を決めたら、それを自分がどう食べたいか、前後に何を食べて、何を飲みたいかを想像してみる。私はいつもこうして献立を組み立てています」 メインとなる2皿は、カリフラワーのパセリソースのように「すぐにできるもの」と、牛肉のパプリカ煮込みのように「あらかじめ作っておけるもの」を組み合わせる時間配分もカギです。
「いきなり、この2品を出すのでは間がもたないから、ここに行き着くまでの時間を楽しめるものが必要。メインがどちらも火を通した料理なので、生のみずみずしい味わいが欲しいですね。最初に乾杯するときに、梨やりんごとブルーチーズを組み合わせたお皿とか、買ってきたニシンの酢漬けとお野菜の組み合わせなんかがあるといいと思う。そうしたもので、シュワッとした泡や、軽い白ワインをまずは楽しんで。牛肉のパプリカ煮込みを食べるころには『次は赤をあける?』って。パプリカ煮込みはソースがおいしいので、つけて食べるパンを誰かに買ってきてもらうとか。バターライスもよく合いますので、白いごはんを炊いて、バターをたっぷりまぶしたのを締めに出すとか……。こんなふうに考えると、気楽で簡単でしょう?
2皿を決めたら、それを自分がどう食べたいか、前後に何を食べて、何を飲みたいかを想像してみる。私はいつもこうして献立を組み立てています」 メインとなる2皿は、カリフラワーのパセリソースのように「すぐにできるもの」と、牛肉のパプリカ煮込みのように「あらかじめ作っておけるもの」を組み合わせる時間配分もカギです。
【息をのむほどに美しくておいしい<おもてなし2皿レシピ>】
おもてなしにぴったりの2皿レシピをご紹介。人を招くときのメニュー選びは、メインの2皿から考えると素敵なおもてなしができます。ひとつは「すぐにできるもの」、もう一皿は「時間をかけて作るもの」など、時間配分も考えてあげるとうまくいきますよ。
<おもてなし2皿レシピ1>牛肉のパプリカ煮込み×カリフラワーのパセリソース
パプリカ煮込みは前日に作っておき、当日は温めるだけでOK。前菜はカリフラワーのパセリソース以外にも「レバーペーストとカリカリに焼いたトースト」や「ピクルス」なども合います。
すぐにできるレシピ「カリフラワーのパセリソース」
材料(作りやすい分量)
カリフラワー……大1個
[パセリソース]
イタリアンパセリ……4~5本
にんにく……1片
オリーブオイル……大さじ4
レモン汁……1/2個分
塩、こしょう……各適量
作り方
1.カリフラワーは葉を少し残して余分な葉を切り落とし、芯の硬い部分も切り落とす。先のとがった包丁で芯に5 ~ 6等分に深い切り込みを入れて、手で割る。
2.パセリソースの材料をフードプロセッサーにかける。あるいはイタリアンパセリ、にんにくをみじん切りにして、オリーブオイル、レモン汁、塩、こしょうと混ぜてソースを作る。
3.湯気の立った蒸し器で1のカリフラワーを蒸す。芯に串を刺して、スッと通れば蒸し器から取り出し、皿に盛る。2のパセリソースをかけて、各人で取り分け、ナイフとフォークでいただく。
時間をかけて作るレシピ「牛肉のパプリカ煮込み」
材料(作りやすい分量)
牛かたまり肉(シチュー用)……1㎏
塩、こしょう……各適量
赤パプリカ……4個
玉ねぎ……大1個
にんにく……2~3片
にんじん……2~3本
セロリ……1本
オリーブオイル……適量
赤ワイン……750㎖
パッサータ(トマトの水煮の裏漉し)……1瓶(約680㎖)
パプリカパウダー……大さじ2~3
パプリカパウダー(スモーク)……適量
作り方
1.牛肉はかたまりか、なるべく大きく切って使う。塩、こしょうをふり、熱したフライパンで表面を香ばしく焼きつける。
2.赤パプリカはヘタと種をとり、ザク切りにする。玉ねぎ、にんにく(芯芽をとる)、にんじん、セロリもすべてザク切りにする。オーブン対応の煮込み鍋にオリーブオイルをひいて野菜をすべて入れ、サッと炒め、油がまわったらふたをして軽く炒め蒸しにする。
3.1の牛肉を2の煮込み鍋に移し、赤ワイン、パッサータを注ぐ。ふたをして140~150℃のオーブンに入れ、6時間以上煮る(肉質にもよるが、串を刺してふわふわした感じになるまで)。途中で足りなくなったら水(材料外)を加え、肉が煮汁からあまり顔を出さない状態で煮る。
4.肉が十分に軟らかくなったら取り出し、鍋のソース(煮汁)をハンドミキサーかフードプロセッサーにかけて、なめらかにする。
5.4のソースを鍋に戻し、パプリカパウダー、あればスモークしたパプリカパウダーも加え、塩、こしょうで味をととのえる。肉を戻し入れ、さらに1~ 2時間、140〜150℃くらいの低温のオーブンで煮込む。
<おもてなしレシピ2>アナゴの湯葉巻き×湯豆腐
まずは湯豆腐という意外性が魅力。寒い冬の夜に鍋と日本酒で温まったところへ、ふっくら香ばしい揚げ物の登場。「アナゴを湯葉で巻いておけば、これもすぐにできます」。湯豆腐を楽しんでもらっている間に、湯葉巻きをサッと揚げて、あつあつをシャンパーニュでいただく至福の献立。
「締めは炊き込みごはん。あるいは誰かにお寿司を買ってきてもらうのも手」
「締めは炊き込みごはん。あるいは誰かにお寿司を買ってきてもらうのも手」
すぐにできるレシピ「湯豆腐」
材料(作りやすい分量)
絹ごし豆腐……2丁(好みで木綿と1丁ずつでも)
春菊……1/2束
昆布(10×20㎝)……1枚
[タレ]
かつおだし……1/2カップ
しょうゆ……1/2カップ
ねぎの粗みじん切り……1本分
かつお節……3パック
七味とうがらし…… 小さじ1
作り方
1.豆腐はひと口大に切り、水を張ったボウルにとって、かけらなどを落とす。
2.タレの材料を混ぜ合わせて、深めの小さな器に入れる。
3.土鍋に昆布と水適量を入れ、火にかける。昆布が膨らんでユラユラしてきたら、中央にタレの器を置く。豆腐を入れて、温まってきたら春菊の葉を摘みながら加える。
4.取り皿に豆腐と春菊をとり、タレをすくってかけ、ゆで汁でのばしながらいただく。
時間をかけて作るレシピ「アナゴの湯葉巻き」
材料(作りやすい分量)
アナゴ(生)……2本
生湯葉(幅が広いもの)……2~3枚
揚げ油……適量
塩、山椒……各適量
作り方
1.アナゴを揚げ鍋に入る長さに切り、生湯葉で二重に巻く。
2.170℃くらいの油に入れ、生湯葉が開かないよう、最初だけトングなどで押さえる。固まったらトングをはずし、アナゴに火が通り、湯葉がパリッとするまで揚げる。
3.キッチンバサミで2~3等分に切り、器に盛る。塩と山椒をつけていただく。
「急いで帰ってきて、夜にお客さま、というときに、この2品はとても便利。まずは湯豆腐で温まってもらう趣向です。お豆腐と春菊だけのシンプルな湯豆腐ですから、切って土鍋に入れるだけで前菜のできあがり。外国からのお客さまにもとても喜ばれます」
<おもてなし2皿レシピ>りんごのキャラメルソテー×豚肉のポットロースト
有元さんよりメッセージ:「豚肉のポットローストは、ローリエやローズマリーを放り込んだ見た目がかっこいいでしょう。それに薪を燃やしているみたいな、いい香りのお部屋になる。その香りでお客さまを迎えることが、すでにおもてなしなんです」この2品の前に、市販のおいしいパンとピクルス、サラミやチーズを楽しんで。「あとはシンプルな葉っぱのサラダが欲しいかな。お肉を食べて、まだおなかがすいていたら、簡単なパスタやバターライスを用意します」。
すぐにできるレシピ「りんごのキャラメルソテー」
材料(作りやすい分量)
りんご(紅玉)……2個
バター……50g
メープルシュガー(なければメープルシロップ)……大さじ5
シナモンパウダー……適量
作り方
1.りんごは皮ごと、クシ形に切る(皮が硬ければむく)。
2.フライパンにバターとメープルシュガーを入れて火にかけ、よく溶かす。
3.りんごを入れて焼き、2を少し焦がしながらからめる。取り出して、シナモンパウダーをふる。
時間をかけて作るレシピ「豚肉のポットロースト」
材料(作りやすい分量)
豚肉(ロース、または肩ロースのブロック)……約800g
メープルシュガー……12g
塩(あればゲランドのFingris)……12g
クローブパウダー……大さじ2
ローリエ、ローズマリー、好みの塩……各適量
作り方
1.豚肉は脂身に1〜1.5㎝幅で切り込みを入れ、メープルシュガーと塩を全体によくまぶす。冷蔵庫に入れて、ひと晩おく。
2.肉を室温にもどし、クローブパウダーを全体にすり込む。フライパンで脂の面をこんがりと焼く。出た脂と一緒に、オーブン対応の鍋に脂身を上にして入れ、ふたをする。
3.160℃のオーブンに入れ、1時間半から2時間焼く。竹串を刺してすっと通ればOK。
4.肉のまわりにローリエとローズマリーを入れ、ふたをしないで再び160℃のオーブンに入れてハーブの香りが広がるまで軽く焼く。
5.肉を取り出して切り分け、りんごのキャラメルソテーを添える。好みの塩をつけながらいただく。
エクラ大人気連載!有元葉子さん『この2皿さえあれば。』
素敵で豊かな暮らしを体現し、女性の憧れの的の有元さん。「毎月、本当に食べたい2皿を」というお題のもとに始まった連載『この2皿さえあれば。』2012年から続く168レシピの中から、秋冬に食べたいレシピを厳選し、まとめた一冊。”シンプルなのに極上においしい”本当に食べたい味だけを集めた有元レシピの決定版!
有元葉子さんの単行本『この2皿さえあれば。』
6年間にわたる本誌連載から、牛肉のパプリカ煮込み×カリフラワーのパセリソースをはじめとする、秋冬のおもてなしに向く選りすぐりの料理を一冊にまとめた。料理にまつわるエピソードやコツなどのエッセーも充実。全国書店で好評発売中。¥1,800 集英社
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日中の気温が12度の日は何を着ればいい?服装のポイントや40代50代におすすめのコーディネートをご紹介。今回は、気温12度に最適なニットとワンピースのおすすめコーディネートをご紹介します。
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小顔に見えて女らしさもアップ!40代に似合う「おしゃれなショートヘア」17選
40代になると髪が細くなったり、髪がパサついたり、ツヤがなくなったり、顔の印象も変わってきた...など、40代のお悩みを解決しながらおしゃれに見せるショートヘアをお届けします。
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