さて、こちらは口縁の内側2箇所が近いところで大きく削げていて、「何をどうしたらこうなる?」という状態だった伊万里の猪口。憐れな値付けと見捨てがたさに、買い求めて繕いに出しました。
なりは小さいですが、早くから江戸にあったなら、幕末のコレラなんかも経験している大先輩です。器物を作り使うのは人なれど、人より長生きするのは間違いなく器物のほう。その点では人間のほうがよほど華奢ですが、人が受け継がないと何も残らないのもまた事実。
かろうじて五弁が残る桜を一輪浮かせ、今年のひとり花祭りは規模を縮小して行いました。
(編集B)