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【シネマに乾杯!~シャンパーニュ編~】芳醇な背景が広がる物語のあるお酒たち
映画のシーンを彩る名脇役であるワインたち。ワイン&フードジャーナリストの安齋喜美子が、映画に登場するワインの背景を解説。今回は登場人物の気持ちや生き方にリンクするシャンパーニュをご紹介します。
【シネマに乾杯!~ワイン編~】登場人物の人生を照らす、映画に登場するワイン7選
グラスの奥で輝きだす、主人公の人生
映画の中にはさまざまなワインが登場する。ほんの一瞬の登場ゆえに見逃しがちだが、ワインに着目してみると、登場人物たちの人生がより深みを帯びて私たちの前に映し出される。グラスの奥には数々の物語が秘められており、それが彼らの状況や心情とリンクして、ひとつひとつのシーンが輝きを増してくるのだ。
今回は、登場人物の人生を照らし出すワインを解説。50年の時を経てめぐりあう恋人たちを見つめる“熟成の美しさをもつ赤”、男性社会で前向きにがんばるヒロインの心を表すような“ピュアで意志的な白”――。品格を感じさせるワインが、さりげなく彼らに寄り添う。
映画とワインはときめきをくれる“心の美容液”。週末は、グラス片手に“映画と素敵な小旅行”を!
1.『ジュリエットからの手紙』×「カパルツォ」
年を経て結ばれる真実の恋もある。ふたりを祝福するのは“熟成した赤ワイン”
『ロミオとジュリエット』の舞台・ヴェローナを訪れた主人公のソフィは、世界中からの恋愛の悩みに答える「ジュリエットの家」の秘書たちと親しくなる。そこで50年前に書かれたクレアというイギリス人女性の手紙を見つけ、“ジュリエットの秘書”として返事を書くが、それをきっかけに、ソフィとクレアはかつてのクレアの恋人を探す旅へ――。道の途中のレストランで飲むのが「カパルツォ」なのだが、クレアが恋人との再会を果たしたのもこのワイナリーだった。「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」はイタリアの“3大赤”と称され、熟成してこそ、その魅力を増す。年を重ねて結ばれたふたりに寄り添うのにふさわしく、芳醇で深みのある味わいだ。トスカーナの田園風景も美しく、旅に出かけたくなる。
●U-NEXTにて配信中
カパルツォ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2015
イタリア・トスカーナ。サンジョヴェーゼ100%。赤いベリーの複雑な香り。果実味が豊かで、重厚かつ繊細な味わい。余韻も長い。750㎖ ¥6,800/ヴィーノフェリーチェ
2.『大統領の料理人』×「ニコラ・ジョリー」
新しい世界で奮闘するヒロインに共感! ロワールワインの魅力にも開眼
フランス大統領官邸初の女性料理人としてミッテラン大統領に仕えた実在の人物をモデルに、カトリーヌ・フロが主人公のオルタンスを演じる。大統領の一族が集う昼食会で、官邸のソムリエールが「シャラント風スープ」に合わせて提案したのがこのワイン。ニコラ・ジョリーは“ビオディナミの伝道師”と称され、生命力あふれる味わいが魅力。造り手のパイオニア精神が、どこかオルタンスに通ずる。官邸で働いたあとは南極観測基地の料理人になるなど、男性社会で奮闘する彼女の姿に勇気づけられる。ちなみに、写真の場面には「シャトー・ラヤス」が登場。
●U-NEXTにて配信中
ニコラ・ジョリー クロ ド ラ クレ ド セラン 2018
フランス・ロワール。シュナン・ブラン100%。熟した果実やカリンの香り。ミネラル感も豊か。「クレ ド セラン」は由緒ある最良の畑。750㎖ ¥12,900/ファインズ
3.『キングスマン』×「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド」
英国紳士の心意気はワイン選びにも表れる? “格”を無視する敵への“返し”がお見事!
表向きは高級テーラー、その実は世界最強のスパイ組織「キングスマン」。エージェントのハリー(コリン・ファース)が、巨大な陰謀を企む敵に招かれた席でふるまわれたのがファストフード店のハンバーガーとボルドー・5大シャトーの筆頭「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド 1945」。“ワインの格”に敬意を払わない敵に、ハリーは「スポンジケーキとシャトー・ディケムも合う」と応答。“上流階級の遊び心ある組み合わせの妙”で応えるところが英国紳士らしいユーモア精神を感じさせる。
●U-NEXTにて配信中
シャトー・ラフィット・ロスチャイルド 2011
フランス・ボルドー。カベルネ・ソーヴィニヨン主体にメルロなどをブレンド。メドック格付け第1級。典雅の極みで、心に長い余韻を残す。750㎖¥130,000/エノテカ
4.『プロヴァンスの贈りもの』×「シャトー・ラ・カノルグ」
劇中で「まずいワイン」は現実では美味! 子供のころのノスタルジアも蘇る
主人公マックス(ラッセル・クロウ)のおじが遺(の)こしたプロヴァンスのシャトーを舞台に描かれるラブストーリー。相手役はマリオン・コティヤール。撮影に使用されたのは「シャトー・ラ・カノルグ」で、リュベロンの偉大な生産者として評価が高く、原作者ピーター・メイルのお気に入りとしても知られる。シャトーのワインは、映画では「まずいワイン」として描かれているが、果実味豊かで、そのおいしさは折り紙付き! 表向きはラブストーリーだが、陰の主役は小学生の甥に延々とワインをレクチャーするマックスのおじとブドウ畑について熱く語る栽培家のデュフロ。映画を通して、プロヴァンスワインの魅力と人生の楽しみ方を教えてくれる。
●U-NEXTにて配信中
シャトー・ラ・カノルグ ラ・カノルグ ロゼ 2018
フランス・プロヴァンス。シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルをブレンド。チェリーの香りとさわやかな酸味が印象的。750㎖ ¥2,800/ル・ヴァン・ナチュール
5.『ボンジュール、アン』×「クロ・デ・パプ」
大人の恋の始まりに、ワインは必需品! エレノア・コッポラ監督のワイン選びも粋
有名映画監督の妻・アン(ダイアン・レイン)は耳の不調で飛行機に乗れなくなり、夫の仕事仲間のジャックとカンヌからパリへ車で向かうことに。最初のランチで訪れたレストランですすめられたのがこのワイン。夫以外の男性とのふたりだけの食事にとまどいを見せるアン。大人の恋の始まりを予感させるシーンだ。赤に生ハムとメロンを合わせるのも地元流でおしゃれ。行く先々で魅力的なワインを飲んで語らい、“寄り道”をするうち、自分自身とも向き合っていく。「よい食事は魂の糧にもなるんだよ」というジャックの言葉も心に残る。
シャトーヌフ・デュ・パプ クロ・デ・パプ・ルージュ 2017
フランス・ローヌ。グルナッシュ主体。「クロ・デ・パプ」は“教皇の区画”の意で歴史ある
畑。味も優雅。※写真は2002年。現行ヴィンテージは2017年。750㎖ ¥16,000/エノテカ
●『ボンジュール、アン』DVD発売中 ¥3,800 発売・販売元:TCエンタテインメント
6.『サイドウェイ』×「ヒッチング・ポスト」
カリフォルニアワインを変えた問題作。この映画をきっかけに“ピノ・ブーム”が到来!
教師でワイン通のマイルスは、親友とふたりでサンタ・バーバラのワイナリーめぐりに出かける。バツイチの彼がのちに思いを寄せるワイン好きの女性、マヤと出会うのが「ワイナリー ヒッチング・ポスト」オーナーのレストランで、劇中にはこの生産者のピノ・ノワールが登場。主人公がこの品種を偏愛していたことから、現地では“一大ピノ・ブーム”が起こり、多くの生産者が栽培に着手。カリフォルニアワインの潮流に大きな影響を与え、今では世界有数の産地となったほど。映画はアカデミー賞脚色賞を受賞、“ワインオタク”のセリフが時に痛々しく、そして感動的。
●U-NEXTにて配信中
ヒッチング・ポスト ハイライナー ピノ・ノワール サンタ・バーバラ・カウンティ 2016
アメリカ・カリフォルニア。ピノ・ノワール100%。豊かな果実味とハーブのニュアンス。タンニンもなめらか。750㎖ ¥7,000/ワイン・イン・スタイル
8.『悪の華』×「シャトー・オー・ブリオン」
フランスの階級社会をワインで表現。“不条理”を見守るのはボルドー最高級の白
フランス・ボルドーのブルジョワ一族“ヴァスール家”の退廃的な物語。どこかギリシャ神話の悲劇を思わせる映画で、監督は“最後のヌーヴェル・ヴァーグ”と評されるクロード・シャブロル。長男のフランソワが久しぶりに帰省したときに、大叔母の“リーヌおばさん”が用意したのが郷土料理の「ウナギの煮込み」。それに合わせて父が選んだワインが5大シャトーのひとつ「シャトー・オー・ブリオン」が造る白だった。週末、家族が集まる食卓に地元の最高級の白が登場。今も根強く残るフランスの階級社会をさりげなく表現している。同時に、ワインの清らかで品格ある味わいが、彼らが抱える秘密や澱んだ時間を浄化してくれるかのようにも思えてくる。
シャトー・オー・ブリオン ブラン 2017
フランス・ボルドー。ソーヴィニヨン・ブラン主体。オレンジの花の香り。優雅で妖艶。※写真は2007年。現行ヴィンテージは2017年。750㎖ ¥170,000/エノテカ
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【シネマに乾杯!~シャンパーニュ編~】“祝福のお酒”はシーンを彩る名脇役
ワインを知ると映画はもっとおもしろくなる。ワイン&フードジャーナリストの安齋喜美子が、映画に登場するワインの背景を解説。今回はシャンパーニュ編。誰もが知る名画とシャンパーニュの関係を紐解きます。
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