【アラフィーの尿漏れ・頻尿への知識と対策】出産・筋力低下・ストレス…尿トラブルの原因は複合的!

50歳前後になると増える“シモ”の不調。いくつかある悩みで最も多いのが尿漏れや頻尿。タイプごとの対策を泌尿器科専門医 関口由紀先生が解説。
泌尿器科専門医 関口由紀先生

泌尿器科専門医 関口由紀先生

女性医療クリニックLUNAグループ理事長。GSMに関する知識を日本で広める立役者。

骨盤底筋ケア+それぞれの症状に応じた対策で快適に

多くのアラフィーが抱える、尿漏れトラブルには2つのタイプが。

「おなかに力を入れたときに漏れるのが腹圧性尿失禁で、強い尿意が起きてトイレに間に合わず漏れてしまうのが切迫性尿失禁。タイプによって治療や対策が違うので、まず自分のタイプがどちらなのか見極めることが大切ですが、どちらも骨盤底のゆるみが大きな原因のひとつとなっているので、ここを引き締めるトレーニングは必須です。また、頻尿は、切迫性尿失禁の原因ともなる“過活動膀胱”がその原因の大半ともいわれており、薬による治療が可能なので、専門医に相談を」(関口由紀先生)

そして尿漏れ・頻尿ともに注意したいのが尿とりパッドの使い方。

「失禁を恐れて一日中つけていると依存性が高まり症状を悪化させる一因に。つけるのはなるべく外出時だけにするよう、心がけましょう」(関口由紀先生)

あなたの尿漏れはどっちのタイプ?

【腹圧性尿失禁】

こんなときに尿漏れ
◻︎重いものを持ったらちょろり
◻︎くしゃみや爆笑したときにちょろり
◻︎全力疾走したときにちょろり

《原因》
おなかに力を入れたときに漏れるのが腹圧性尿失禁。出産や加齢などで骨盤底が傷ついたり弱くなったりしていると、骨盤底がたるむのでトイレが近くなる。それに加えて筋肉や靭帯がゆるむと、腹圧がかかったときに尿道の出口がしっかり締まらず尿が漏れてしまう。便秘でいきむことが多い人、花粉症などで咳やくしゃみが多い人、肥満の人などもなりやすい。

《治療》
骨盤底筋トレーニングの指導のほか、それでも改善しない場合は、尿道を引き締める薬(β2受容体刺激薬)や漢方薬を用いて症状を抑えたり、さらに症状が進んでいる場合は、尿道の動きを抑える手術を受けるという手もあるので、症状の程度を見ながら医師と相談のうえ治療を。

セルフケアは?
とにかく骨盤底筋トレーニング!
腹圧性尿失禁は、骨盤底筋のトレーニングで骨盤底のゆるみを改善することで治ることが多いので、とにかくこれを習慣に!

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【切迫性尿失禁】

こんなときに尿漏れ
◻︎冷たいものを触ったときにちょろり
◻︎水が流れる音を聞いたときにちょろり
◻︎近くにトイレがないと感じたときにちょろり

《原因》
突然強い尿意が起きてトイレまで我慢できず、尿漏れしてしまうのが切迫性尿失禁。水に触ったときなど、ちょっとした刺激によるストレス反射で膀胱が過敏に反応して尿意をもよおすことも。切迫性尿失禁は過活動膀胱のひとつの症状として起こることがほとんど。更年期の女性には、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が併発した混合性尿失禁になる人も。

《治療》
尿意を抑える作用がある抗コリン薬や、膀胱を広げる作用があるβ3受容体刺激薬などの薬で治療。また、わずかな尿意ですぐトイレに行く習慣を続けると膀胱が小さくなり尿がためにくくなるので、尿意を我慢する膀胱トレーニングや、水分摂取などのセルフケア指導も。

セルフケアは?
1.膀胱トレーニング
トイレに行きたいと思ったら、腟と肛門をキュッと締める。すると会陰(えいん)排尿筋抑制反射という反応が起こって尿意を抑えられるので、5分我慢。我慢できたら時間を少しずつ延ばし、トイレを2〜3時間間隔まで延ばしていく。
2.水分摂取を見直す
運動で汗をかく場合は別として、食事に含まれる水分以外に一日2ℓ以上の水分摂取はNG。冬は1ℓ、夏は2ℓ、春秋は1.5ℓ程度、白湯や水をとるのがおすすめ。コーヒーやお酒、柑橘ジュースなど膀胱を刺激する水分も控えて。

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【頻尿の原因の大半は過活動膀胱】

《原因》
朝から寝るまでに8回以上排尿がある場合が頻尿。夜間は1回でもトイレに起きると夜間頻尿で、不眠になるなら治療対象に。頻尿の原因の大半は、膀胱に尿が少したまっただけで、膀胱が過剰に活動して尿意に襲われる過活動膀胱という病気。明確な原因はわかっておらず、加齢や骨盤底のゆるみや、脳血管障害などが原因の神経の問題のほか、ストレスも原因といわれている。

《治療》
軽い過活動膀胱は骨盤底筋トレーニングや膀胱トレーニングの指導で改善することも多いが、抗コリン薬やβ3作動薬、漢方薬を用いた治療が主流。そのほか、’20年から膀胱の筋肉の動きを止める膀胱のボトックス注射が過活動膀胱に対して保険適用に。

セルフケアは?
切迫性尿失禁と同じく、骨盤底筋トレーニングや膀胱トレーニング、水分摂取の見直しを。また「急にトイレに行きたくなったら……」という恐怖感も症状を加速させるので、思いつめないことも必要。

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