やる気の最強スイッチは脳の奥に! 脳科学者が教える「やる気が出るスイッチ」の入れ方

日々の中で面倒に感じるあれこれ、やる気が出るスイッチがどこかにあったらなぁ……と思っている人に朗報! 実は脳の奥には実際に「やる気が出るスイッチ」があるらしい。お金も時間もかけずに、今日から“すぐやる人”になれるかも!
教えてくれたのは…
篠原菊紀さん

篠原菊紀さん

諏訪東京理科大教授。専門は脳神経科学、応用健康科学。日常の場面での脳活動や脳トレなどに詳しく、著書に『「すぐにやる脳」に変わる37の習慣』(KADOKAWA)など。

行動と快感が結びつくとやる気が生まれる!

人間のやる気にかかわっているのは、脳の奥のほうにある「線条体」という部分。やる気の根幹とも呼べる場所であり、やる気がある状態というのは、線条体が活性化している様態のことをさす。

「『やらなきゃ』と頭ではわかっていながら行動が伴わない=やる気が出ないときの脳は、言語にかかわるブローカ野、ウェルニッケ野といった部分が活動しているにもかかわらず、やる気の中核である線条体が鎮まったままの状態。脳はこのアンビバレンツを認識しているため、やらなきゃいけないのに……と苦しくなってしまうのです」

「線条体は、体を動かすことに関係する大脳基底核の一部で、快楽と行動を結びつける働きがあります。皆さんが何か物事に対してやる気が漲(みなぎ)っているときというのは、それをすると楽しい、気持ちいい、またはいい結果になる、といった予測が立つ場合が多いのではないでしょうか? このようなとき、線条体では行動と快楽が結びつき、働きが活性化しているのです。線条体には、実際に快感を伴う行動をしているときのほか、その行動によってごほうび(快感)が得られると予測したときに最も活性化するという性質があり、この予測こそがやる気の正体です」

「線条体は、意思や思考などをつかさどる脳(高度な脳)とは離れた場所にあり、意思でやる気をコントロールすることはできない構造になっています。だから、やる気が出ないのは怠惰な性格のせいなんて、思わなくていいのです」

やる気の最強スイッチは脳の奥にあります

やる気モードのカギは「線条体」

やる気モード のカギは 「線条体」

快感を感じると放出されるドーパミンを線条体がキャッチしてやる気ONに!

大脳基底核は、生きるのに必要な働きを担う“原始的な脳”であり、大脳全体から見ると奥のほう(中心部)にある。何かいいことやうれしいこと、気持ちいいことがあると、大脳基底核の下のほう(黒質、腹側被蓋野、側坐核)から線条体に向かって走る太い神経束から、快楽物質のドーパミンが分泌される。線条体は(側坐核を含む)ドーパミンをキャッチして「この行動をしたことでいい気分になった」という情報として蓄えられる。それを繰り返すことで「行動と快感」の結びつきが強化されていき、何かをやろうと考えただけで「よし、やろう」とやる気のスイッチが入るように。つまり、脳を「いい気分」にしてあげることが重要!

【COLUMN】やる気は意思ではコントロールできない!

やる気は意思では コントロールできない!
歩いたり座ったり……日常的な動作や行動は「自分の意思でコントロールしている」と思いがちだがさにあらず。歩くという動作ひとつとっても、筋肉や関節の動かし方、脈拍や呼吸の調子など、やる気を含めて大部分は意思でコントロールすることはできない。
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