「歳を重ねること=老いること」という人類普遍の常識が、今まさに覆されようとしている。ロンジェビティ研究は単なるエイジングケアの域を越え、「老化を治す」時代へ!? 最先端テクノロジーがもたらす「不老長寿」の現在地を、美容ジャーナリストの齋藤薫さんが解き明かす。
誰もが「不老長寿」研究の恩恵を享受できる時代の先に、人生150年?
「不老不死」の夢は地球最古の文学にも書かれていた。
「永遠の命は神々のもの、人間に届くものではない」との悟りを開く結末だったが、それでも秦の始皇帝は「不老不死」を求めて逆に命を落とした。
決してかなわぬ欲望は、先史以来ずっと人々を苦しめてきたわけだが、そんな人類の歴史が、ここ1、2年で完全に塗り変わろうとしている。
不死はさすがに神々のもの。でも同じく“見果てぬ夢”と思われた「不老長寿」が一気に実現しつつあり、今やもう人生120年どころか150年という見立てさえ生まれている。
本来が「人間は38歳で死ぬように設計されていた」(生命科学博士・早野元詞氏)という。
生殖が終わったら死ぬ定めというわけだが、江戸前期までの平均寿命は実際30歳代、戦後すぐまで50歳代だったことを考えれば、寿命は既に倍増していて、医学の進歩にAIの進化が加われば、150年も不思議じゃない。
もちろん健康が伴わない長生きに意味はなく、内臓も外見も含めての“不老”が今、緊急テーマとなっているのだ。
医学的にも「老化は病気、だから治療ができる」というフェーズに入り、世界中で抗老化研究に莫大な資金が集まり活況を呈している。
そこで、日本におけるロンジェビティ研究の3人のトップランナーに、不老長寿の今と未来を取材した。
それぞれ先進の方法を追求する一方で、共通する意見は「運動・睡眠・食事も重要であることを訴えたい」。
さらに「誰もが同じように安価で、不老長寿研究の恩恵を享受できることを目ざしている」という志の高さも共通しており、この人たちに私たちの未来を託せる幸運を喜ばずにはいられない。
齋藤薫
さいとう かおる●女性誌やwebメディアなどで多くの人気連載を抱え、著書も多数。鋭い洞察力と独自の美学に基づく知的な語り口で、長年にわたり美容界を牽引しつづける。
取材・原文/齋藤 薫 ※エクラ2026年12月号掲載