この秋、アイリスが奏でる名香が続々。古代ギリシャの虹の女神・イーリスが由来のアイリスの芳香は、パウダリーでどこまでもエレガント。蒼と紫に染まる高貴な香りが、大人の女性を輝かせる理由。
セレクトしたのは
あべ さわこ●サイエンスからホリスティックまで幅広い知識をもとに活躍。インナーケアやスパ、リトリートへの造詣も深い。
ゲラン ルール ブルー オーデパルファン
ゲラン初の女性調香師が手がけた、タフな現代社会を生きる女性に捧ぐ蒼の時間の香り
1912年に発売された「ルール ブルー 1912」が、110年の時を経て新たなフェーズに。独自の伝統技術によって生まれたアイリス チンクチャーをキーに、ギモーヴアコードやオレンジブロッサム、ヴァニラが奏でる蒼の時を感じる世界。透明感や浮遊感、自己肯定感が後押しされるような凛と研ぎすまされた香り。
30㎖ ¥12,320
神聖なブルーアワーを呼び覚ますオゾニックアコード
日の出前と日没後の、わずか数分間だけ、雲ひとつない空に訪れるブルーアワー。ご存じのかたも多いだろう。静謐(せいひつ)な蒼のグラデーションに染まる奇跡の瞬間を閉じ込めた初代「ルール ブルー 1912」にオマージュを捧げ、誕生したのが新しいルール ブルーだ。
手がけたのはメゾン初の女性調香師、デルフィーヌ・ジェルク氏。ゲランの香りのシグニチャー「ゲルリナーデ」に欠かせないアイリスに着目し、3年の歳月をかけ、イタリアで栽培されたアイリスから独自にチンクチャーを開発。パウダリーで繊細な表情をベースに、ギモーヴアコードやオレンジブロッサムをブレンド。アクアティックな香料のカスカロンを加え、まるで蒼に染まる空を浮遊するような、新感覚の香調を創り上げたのだ。
可憐でフェミニンなフローラル系とは異なり、澄みきったブルーアワーを思わせるクリーンな趣(おもむき)の中、ぬくもりと優しさにふわりと包まれる余韻は、ストレスフルな現代社会を生きる女性にそっとエールをくれるかのよう。くじけそうになったとき、ひと踏ん張りしたいときにまといたい香りだ。
ブルガリ パルファン ブルガリ オムニア アメジスト オードパルファム
スエードのようなぬくもりと、バイオレットを帯びたアイリス アブソリュートに包まれる幸せ
’07年に誕生した「オムニア アメジストオードトワレ」を象徴するアイリスの香りを、よりグラマラスに表現したオードパルファム。2つのリングが交差するタイムレスなデザインと、∞の形を連想させるボトルは、深みのあるバイオレットが高貴。
100㎖ ¥25,300
神秘的でラグジュアリーなアメジストをまとう香り
さまざまなジェムストーンからインスパイアされたブルガリの「オムニア コレクション」に新しく仲間入りしたのが、紫色の硬質な輝きを放つ「オムニア アメジスト オードパルファム」だ。
アメジストとはご存じのとおり、愛の守護石と呼ばれる紫水晶のこと。この神秘的でセンシュアルな世界観を、パウダリーなアイリスとバイオレットで表現しようとしたのがマスターパフューマーのアルベルト・モリヤス氏。
既存のオードトワレの香調を大きく変えず、サンセットの光彩を受け、ミステリアスに輝くアメジストのセンシュアリティにフォーカス。グラマラスで奥深い表情を、シグニチャーノートのアイリスでつややかに描写している。カギを握るのが、バイオレットを帯びたアイリス アブソリュートとダマスクローズ アブソリュートだ。
さらにバニラ ブルボンやシスタス ラブダナム アブソリュートが折り重なり、まるで品格という輝石をまとっているかのような香調に。もちろんオードパルファムだからトワレよりもリッチ。媚薬のように香り立つ、大人にこそふさわしい名香といえる。
photography:Fumito Shibasaki(donna) text:Sawako Abe ※エクラ2026年12月号掲載