口の中が粘ついて乾いたお菓子も食べづらい…「ドライマウス」の原因と対処法を医師が解説【変わりゆくカラダ学】

更年期世代に突入すると、これまでは感じなかった"体の不調”を感じやすくなるもの。連載「変わりゆくカラダ学」では、アラフィーからのカラダのお悩みに専門家が回答! 今回は、ドライマウスのかゆみについて。

ドライマウス

【読者のお悩み】
口の中がとても粘つきます。乾いたお菓子も食べづらくなりました

――54歳・自営業

変わりゆくカラダ学

このような不調はアラフィーにとても多く見受けられます。「口の中が乾いて舌がひび割れる」「唾液が減って飲み込みづらい」といった症状を訴える人もいますし、口内の乾きによって、口臭や味覚の低下、滑舌の悪さを感じる人もいます。こういった症状がある場合、「ドライマウス(口腔乾燥症)」の可能性があります。唾液の分泌量の低下によって起こり、その原因のひとつが加齢です。また、女性ホルモンの減少も関係します。唾液腺には女性ホルモンの受容体があり、更年期以降にホルモンが減少すると、唾液も減りやすくなると考えられています。そのためドライマウスは男性より女性に多く、特に50歳以降に多く見られます。また、噛む力の低下や、ストレスによる自律神経の乱れも唾液が減少する要因です。

唾液には、口内を潤すだけでなく、食べ物を飲み込みやすくする、汚れを洗い流す、酸を中和する、細菌の増殖を抑える、歯の再石灰化を促す、消化を助ける、粘膜を保護・修復するなど、多くの働きがあります。そのため分泌量が減ると、乾きや飲み込みにくさだけでなく、虫歯や歯周病、感染症のリスクが高まるという問題も。

また、注意すべき点として、加齢以外の原因に、薬の副作用の影響や「シェーグレン症候群」という自己免疫疾患や、糖尿病が隠れている場合があります。症状が長く続くときは、歯科や口腔外科、耳鼻科、内科などを受診しましょう。シェーグレン症候群の診断は、血液検査や唾液分泌量の測定、画像検査などを組み合わせて行います。検査で明らかな病気が見つからない場合、対策はセルフケアの指導が中心になります。代表的なものが、ドライマウス専用の口内を潤す効果のある保湿ジェルやマウスウォッシュ、歯磨き剤でのケア。一時的とはいえ口内が潤い、症状が楽になる人が多いです。ネット通販などでも購入できるので、自分で買って試すのもよいと思います。口内の粘つきが気になるときや、睡眠中の乾燥対策として就寝前に取り入れるのもおすすめです。

また、ガムを噛む、会話を増やすなど、口を動かすことでも唾液は増やせます。そのほか、あごの下や耳の前など唾液腺のある部位を指で優しくマッサージするのも唾液の分泌促進に効果的です。

ドライマウスは、病院でも「気のせい」と片づけられてしまうことがあり、なかなか理解されにくい症状なので、不安を抱えてドクターショッピングを繰り返し、メンタルの不調を起こす人も少なくありません。セルフケアによって症状がやわらぎ、改善していくこともあります。悲観的にならず、うまく付き合っていきましょう。

【お話をしてくれたかた】

志村真理子先生
歯科医師
志村真理子先生
歯科医師

しむら まりこ●志村デンタルクリニック副院長。
NTT東日本関東病院歯科口腔外科で、長年ドライマウス外来を担当。現クリニックでもドライマウス女性専門外来を開設し、多くの患者の診療にあたる。

【お悩み募集中!】
この違和感は何? この不調は私だけ? 気になる体のお悩みがありましたら、編集部(mail : info.eclat@ms.shueisha.co.jp)まで声をお寄せください。

text:Miho Wada illustration:Ogasawara ※エクラ2026年5月号掲載

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